*今回はトーク全文を掲載いたします。
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DKKプレゼンツ『DJ MIKIO・飯島勲 今夜も一緒に語りましょう』。今日のテーマは「秘書の仕事の醍醐味について」。
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DJ MIKIO「従来からちょっとお聴きしたいことがありまして。(飯島さんは)秘書をずっとされていたと。私もちょっとそういう時代がございまして、今の時代、秘書と称される、まあ(一般社会では)女性が多いのかもしれませんけれども、たくさんいらっしゃる。あるいは目指している方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、『秘書はこういう方たちがあるべき』というものがありましたら、教えて頂けますでしょうか」
飯島「まず秘書になりたいという人は、巷、男女を問わずいますね。で多くの(場合)『チャンスがあれば議員になりたい』と。県会議員とか市会議員とか」
DJ MIKIO「政治家の(秘書)……」
飯島「できたら国会議員、と。こういう夢を見てなる人が相当な数いると思う。これは僕は(自分が)議員だったら(秘書に)そういうのは採用しません」
DJ MIKIO「そうですか」
飯島「つまり(そういう人を採ると、軒を貸して)母屋を取られるような感じですね。秘書って、本当に考えると残酷で、地元の道路とか(支持者からの)いろんな要請行動がありますね。じゃそれを、どうしても(通そうと)理解を得るために霞ヶ関を(陳情に)歩いたりする。そうすると、1億円の道路だとか、あるいは公園とか、これはうまく行ったら議員の手柄。うまく予算が付かなかったら自分の責任と。これだといい話は全部、仕える議員の手柄になりますから、選挙に出るチャンスは永遠に出てこないですね」
DJ MIKIO「ああ、はい」
飯島「『ダメなら全部、秘書の責任』。実際そうじゃなくても……これが僕は、本当の(秘書が持つべき)モットーだと思うんですよ。それでもやっぱり多くの人が『彼を(後継者として選挙に)出そう』という例は別にしてね。得てして(秘書になっても)あんまりいい話はないですね。裏方稼業ですから」
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飯島「政治家の秘書というのは、すごくいいのは『あらゆる知らない人に会えるパスポート』だと思うんです。とりあえず誰か必ず逢ってくれますから。(たとえば)『MIKIO社長に会いたい』……すると(社長が考えるのは)全然面識のない、しかし、聞いたことあるような政治家の秘書さんから電話。『なんだろう?』と思って、とりあえず、いつ何時(その議員と)接することがあるかもしれないから、『まあ分かりました。限られた時間で』と会ってくれる。こういういい意味でのパスポートが、秘書の肩書きです」
DJ MIKIO「(議員の)先生の肩書きでいろんな人が来るけれども、秘書の人はいろいろな人と話す機会とか、接する機会が多くなりますんで、その分だけ知人も多くなるし、それからお話の内容的にも(有益な話を)吸収できる、というメリットもございますね」
飯島「ただ、議員はもちろん秘書も、『知らない』『分かりません』という言葉は使えないようなムードってありますね。たとえばMIKIO社長から『これこれこういう件で相談』といった場合、知らなくても知ったかぶりで『ああ、分かった分かった』と。『じゃあちょっと日にち、時間頂いて回答しますから』と。……で、さあ、(請け負った秘書は)心臓ドキドキ。誰に陳情へ行ったらいいか分からない、ということもよくあるし、そんなふうに変に利用されて、事件に巻き込まれると。『M資金』(*)みたいなのなんかそうですよね」
(*註:GHQが占領下で接収した秘密資金が極秘に運用されている、という架空の話。大型詐欺の手口でよく使われた)
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飯島「限られた収入で、豊かな生活もできない。ある種、秘書というのは職業的には残酷物語だと思います。考えようによっては、森羅万象的に、人間が生まれてから死んだ後までのあらゆる現象を(様々な人から相談されることで)全部経験できるところなんですね。まあ私の場合は、そういうアレでは恵まれて46年間来てますけれども」
DJ MIKIO「逆に、飯島さんお一人でなかなか賄いきれない部分もあって、飯島さんの秘書の方がついていらっしゃる、というときも結構ある気がするんですけれども、そういったときに、飯島さんは秘書の方に対して、どういう仕事の出し方とか、接し方をされていらっしゃいましたか?」
飯島「ええとまず、基本的には、私46年間、『ノービジネス・ノーマネー』。ですから、金儲けの話は一切拒否。ただ(ビジネスの話を持ちかけられて)なるほどと。すごいアイデアだと。これはうまく行くといいね、と思うこともあります。その場合(その案件には直接関わらず)いちばんのキーパーソン、役所だったらどこの局の誰か、偉ければいいっていうんじゃなくて、ノンキャリアだろうと、局長クラス、課長であろうと、その中でいちばんのキーパーソンで生き字引をセッティング、紹介、(話を)聞いてもらうように、ということは私、いっぱいやってきてます」
DJ MIKIO「なるほど」
飯島「それでうまくいけば、それでいい」
DJ MIKIO「まあそうすると、特定という形ではなくて、その場、その場の状況に応じて、いろんな人に手伝ってもらう。知識をもらったりする、というようなスタイルで、飯島さんの場合はここまでいらしてるんでしょうね」
飯島「はい」
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DJ MIKIO「普段からどこにどういう方がいらっしゃるということは、知っておいたり見ておかないと、適材適所(の采配は)できないですよね」
飯島「やたらに名刺交換とか、会ったりはしないようにしてるんです」
DJ MIKIO「あ、そうなんですか」
飯島「意外と悪い人間ですね」
DJ MIKIO「いやいやいや(笑)」
飯島「普通だともう、率直に言って『ノービジネス・ノーマネー』っていうと、経営者は寄って来ないですね、普通の人は」
DJ MIKIO「あ、そうですか」
飯島「そういうのは抜きにして、お付き合いするっていうのはありますけど、そんなに多く増えるわけじゃないですから。その代わり、ざっくばらんな話でこうだああだ……いい勉強になりますね」
DJ MIKIO「まあ、そういうところに飯島さんは、ご自身の喜びだとか、目的を見つけて励んでいらっしゃったんで、ここまで立派にというか、3代首相・総裁に仕えていらっしゃるという形が保てているんでしょうね。どこかで邪念と言いますか、何かがあると、きっとここまでは来られなかった、というふうに思いますけれども」
飯島「ただ、時代劇の隠密同心じゃないが、表でこうだ、っていうことはしたことがない。人生、裏街道ばっかり来てますから」
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♪(オンエアの1曲目:エラ・フィッツジェラルド『Dream A Little Dream Of Me』)
DJ MIKIO「お届けいたしましたのは、エラ・フィッツジェラルド『Dream A Little Dream Of Me』でした。彼女は、アメリカ・ヴァージニアの出身で、1917年生まれ。1996年に亡くなっております。ビリー・ホリディ、サラ・ヴォーンと、20世紀のトップ3と呼ばれる位置付けになっております。13回、グラミー賞を獲っておりますが、ジョージ・W・ブッシュ(大統領、2001〜09在職)の時代に大統領自由勲章をもらっております」
♪(アーカイブの1曲目:MIKIO「麦畑、風の中へ」)
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DKKプレゼンツ『DJ MIKIO・飯島勲 今夜も一緒に語りましょう』。前半は「秘書の仕事の醍醐味について」伺いましたが、後半は「ご家庭での飯島さん」について語って頂きます。
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DJ MIKIO「(最近は)巣ごもりというか、家にいらっしゃる方が多いんで、ペットを飼う方が多いという話も聞いたりもいたしますが……」
飯島「私はもう5年くらいになりますが、銀座の博品館で、ペットの犬を買ったんですね。ただし、エサも何にも要らない。あのSONYの犬の……これね、怒った目をしたり、吠えるんですよ」
DJ MIKIO「AIBOでしたっけね」(*SONY製・AI搭載ペットロボット)
飯島「そうです」
DJ MIKIO「いまだに健在ですか、それは?」
飯島「いや、孫にあげました」
DJ MIKIO「あ、そうですか(笑)。やっぱり、可愛くなるものですか?」
飯島「どう……っていうか、何というかねえ。女房と会話がない場合、『おはよう』って言うと『ワンワン!』って吠えるんですよ」
DJ MIKIO「そうですか(笑)。でも飯島さん、公務をたくさん持ってらっしゃるから、(人と)お話しする機会は一日、山のようにあるように思いますが……」
飯島「いやいや、家を出たときの会話と、家に帰ったときは違いますからね」
DJ MIKIO「ああ、なるほど」
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飯島「まず(夫婦関係が)コロナで大変ですね。私の知っている経済界の人も、(コロナ禍の前は)朝早く(家を)出て、朝食・昼食……3食(全部)外と。これがコロナが来て、会合はなくなるわ、早朝の会議もなくなるわ、そうすると、朝食・夕食を自宅で食べる。突然、奥さんはコロナで、家事の仕事が増えるわけですね。だから(夫婦仲が)険悪な状況になったりという話も聞きますが、私の場合も同じで、外でチヤホヤされて、家に帰ったら、そういう意味では女房の負担がものすごく増えてますから、完全に食事は家、と。あと、家に帰る時間は完全に夕方ですから、テレビばっかり観てると会話がないし、いろんな意味で(夫婦関係が)大変ですね」
DJ MIKIO「家にお帰りになってから、テレビをご覧になったりされるんですか?」
飯島「『時代劇チャンネル』(CS)が好きなんですね」
DJ MIKIO「ああ、そうですか!」
飯島「女房とは全然(趣味が)合わないんですね」
DJ MIKIO「(笑)そりゃそうですよね」
飯島「女房のほうから見ると、和製のメロドラマとか、そっちのほうに行きますね。私は、お笑いとかそういうのじゃなくて、時代劇観て嬉しくなってるほうですから、はい」
DJ MIKIO「あー、そうですか」
飯島「あとは洋画ですね。私は若い頃は、みんなアラン・ドロンって言ってるなか、ジャン=ポール・ベルモンドとかね」(*フランスの俳優、『勝手にしやがれ』主演)
DJ MIKIO「……のほうがお好きだったんですか? アラン・ドロンのライバルみたいな見方をされてましたね」
飯島「ええ、サスペンス物とか、いわゆるスパイ小説みたいな、まさに私、そういうのが好きでね。頭の体操にもなりますし」
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DJ MIKIO「なにか、健康法をお持ちでいらっしゃるんですか? ご自宅へ帰って何か……」
飯島「何にもないですけどね」
DJ MIKIO「何にもされてらっしゃらない?」
飯島「ええ、いい加減ですから」
DJ MIKIO「いい加減(笑)……でも、まったく病気をされてらっしゃらないですよね」
飯島「ええ、してないですね」
DJ MIKIO「とくに健康法はないと」
飯島「ないです。ただ今、車でドアtoドアの生活ですから『歩け歩け』って(家内が)うるさくて大変ですね」
DJ MIKIO「散歩はされてらっしゃるんですか?」
飯島「してないですね」
DJ MIKIO「あ、それもしてない?」
飯島「ええ、子どものときから鍛えられてるから」
DJ MIKIO「その貯金でずっと大丈夫ということですか」
飯島「ええ、そうですね」
DJ MIKIO「飯島さんは奥様が厳しいんで『(運動しなくて)大丈夫か?』とだいぶ仰られませんでしたか?」
飯島「家内が友達と会う場合も、お茶飲む場合も、飲むときはマスクを外しますよね。そのときはもう無言で、またマスクをしてから会話というパターン」
DJ MIKIO「それはもう、気をつけてらっしゃるんですね」
飯島「みたいですね」
DJ MIKIO「はあ〜、徹底してらして、まあそうやっていると……」
飯島「家内、年上なもんですから、私ももう、今年で76になりますから、後期高齢者。だからね、コロナ禍でいちばん私ら大変なのは、いつ亡くなっても、あるいは突然コロナで、ってことはありますから、もうあの世に逝く前に、私物を全部整理しろって(家内が)うるさいんですよ」
DJ MIKIO「(笑)」
飯島「いや、本当に」
DJ MIKIO「飯島さん、私物整理するのに、5年10年かかるんじゃないですか?」
飯島「いや、だから困りますね。で、自分の思い出のいろんな品があるわけですね。あ、これはあのとき行ったときに大統領にもらったとか、首相にもらったとか……これ、捨てられないですよね」
DJ MIKIO「そりゃそうですよねえ」
飯島「ただ、私の子どもたちも孫も(そういう貴重な品に)興味ないですね。それ、やっぱりみんな処分しろって。困っちゃうんですよね」
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DJ MIKIO「自然体がいちばんの健康法、っていうことですかね」
飯島「そうですね」
DJ MIKIO「睡眠時間は長くていらっしゃるんですか?」
飯島「だいたい……今ちょっと増えまして、1時からだから、3時間半ぐらいは寝られるんですけどね。ありがたいですね」
DJ MIKIO「自然に目が覚めていらっしゃるんですか? 3時間半で」
飯島「そうですね」
DJ MIKIO「はあ〜(感服)」
飯島「あのね、年取ってますから、トイレが近いから、ちょうどうまく対応……」
DJ MIKIO「起きられるんですか?」
飯島「1時くらいに寝て、で、夜中に一回起きて、で、ちょうど3時半頃、またトイレに行きたくなるんですよ。だからそれが目覚ましみたいなもんでね」
DJ MIKIO「はあ〜」
飯島「あとはもうずっと起きて、新聞見たり」
DJ MIKIO「そうすると、奥様に『うるさい』とか怒られませんですか?」
飯島「ありますね。『寝られない』って」
DJ MIKIO「ああ、そうですか(笑)」
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♪(オンエアの2曲目:ルイ・アームストロング『La Vie En Rose』)
DJ MIKIO「お送りいたしましたのは、ルイ・アームストロング『La Vie En Rose』。『サッチモ』の愛称で親しまれ、ニューオリンズの出身ですけれども、わたくしも一回ニューオリンズに行きまして、古ーいライブハウスに行ったことがあるんですけれども、リクエストは1回5ドル。ただし『聖者の行進』、これは20ドルと書いてありまして、意味が分からずに聞きましたら、観光客がやたらに『聖者の行進』だけリクエストするので、アーティストたちが「もう嫌だ」という意思の表れだと聞きまして、そういうもんかと感心した次第です」
♪(アーカイブの2曲目:MIKIO「悠久の時」)
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