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2005年9月3日(土曜)北砂編・氷屋の音

昔、懐かしい「氷の音」を求めて、下町をてくてくしていましたら、
北砂界隈で1軒の氷問屋さんを見つけました。



氷問屋さんは、製氷工場で作られた氷を、使いやすい大きさに切って、
飲食店などに卸す仕事をしています。
今回、取材に応じてくださったのは、江東区北砂で、
大正10年から営業している老舗の氷問屋「三正(さんしょう)」さんです。

※「三正」ホームページ
http://www.icenet.or.jp/sansho/



◆氷を切る音

最盛期の昭和30年代、都内に1000の氷問屋があって、
都内の至る場所から、氷を切る音が聞こえてきました。
しかし、今も残るのは、10分の1の100軒程度。
氷そのものも、大量生産されるようになって、
機械で切ることも多くなりましたが、
もちろん、昔のように「のこぎり」で切ることもあります。
氷の硬い部分を切ると「金属音に近い音」、
柔らかい部分を切っていると「こもった音」がするそうです。



ご協力いただいた「三正」さんを取り仕切っているのは、
3代目の鵜澤昭次(うざわ・しょうじ)さん(44歳)。
物心が付いたころから、氷に囲まれて育ってきたそうです。



氷を扱う人にとって、一番苦労するのが「温度管理」。
基本的には「マイナス12度」で一定管理なんだそうです。
朝起きて、真っ先に気にするのは、その日の気温!
気温1度の違いが、商品管理に影響するといいます。
そもそも1つの大きな氷を作るのに72時間を要するといいます。
生産に携わる人は、3日3晩寝られないといいます。
1つの氷ができるまでに、大きな苦労があるわけですから、
問屋さんも「気温1度」に一喜一憂するのも、納得です。



氷問屋さんにとって忙しかった夏も、そろそろおしまい。
懐かしい「氷を切る音」…、大切にしていきたいものです。



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