東京が抱える様々な問題に対する都の取り組みを調査。
問題の背景にあるものを、掘り下げてお伝えします。

■2005年9月24日(土曜)第26回

『未来を担うこどもたちの、こころを救え!
         石原都知事も提唱する“心の東京革命”!B』



<心の東京革命とは>

石原都知事が就任した平成11年以来、常に提唱している「心の東京革命」。
日本では、これまで、物質的な豊かさの追求に目を奪われて、
青少年たちの「こころの問題」がないがしろにされてきました。
そこで東京都では、親と大人が責任をもって、人が生きていくうえで当然の
「正義感」「倫理観」「思いやりの心」を育んでいく
様々な取り組みを行っています。
この取り組みをまとめて「心の東京革命」と呼びます。



<心の東京革命・実践編〜中学生の主張・優秀作品紹介>

東京都では、9月11日(日)に、心の東京革命の一環として、
「中学生の主張・東京大会」というイベントを開催しました。
    
中学生ならではの主張を真摯に書き綴った作文が、
都内の中学・なんと58校・1552名から寄せられました。
大会では、その中から選ばれた10名の中学生たちが、
作文を読み上げたんですが…会場の都民ホールは、
大きな感動に包まれたようです。
今回は、放送で塚越アナ・山本かおるさんが読み上げた
中学生の優秀な作文を、ホームページ上にて紹介いたします。

■最優秀賞(東京都知事賞)「今に生かそう 江戸仕草(しぐさ)を」
 (墨田区立立花中学校3年生・渡辺隆介君)

最近、僕と同年代の若者たちが巻き起こしている、様々な問題行動。
これは、相手の気持ちを考えない、自己中心的な若者が増えてきたことと、
けして無縁ではないだろう。
では、この問題を、解決の方向に向かわせる具体的な手段は、あるのだろうか。
僕は、解決の糸口となる鍵として、「江戸仕草」という言葉を提唱したいと思う。
江戸仕草とは、昔、江戸に住んでいた人々が、
「お互い気持ちよく暮らせるように」と生み出された、生活の知恵である。
この耳慣れない言葉を知ったのは、つい最近のことだ。
小雨が降るなかを、僕は、父と一緒に、狭い歩道を歩いていた。
すると・・前から歩いてきた人が、すれちがいざまに、
傘を横に、傾けてくれたのである。
父は、お礼を言ったあと、嬉しそうに、こうつぶやいた。
「あぁ・・・江戸仕草が、まだ残ってる人だねぇ」
「江戸仕草」とは、なんだろう?興味を覚えた僕は、父に詳しく教えてもらった。
このように、傘を横に傾けて、雨のしずくがかからないように気を配ることを、
「傘傾げ」(かさ・かしげ)・・・
狭い道ですれ違うとき、肩を横に引いてぶつからないようにすることを「肩引き」・・
席が混んでいるとき、少しずつ詰めあって、
ひとりでも多くの人が座れるようにしたことを「腰浮かし」と、呼んだという。
要するに、お互いが気持ちよく過ごすための、ちょっとした思いやりのある行動が、
「江戸仕草」と呼ばれるものなのだろう。
僕の住む町・墨田区には、その精神が、まだまだ息付いているようだ。
ただ、残念なことに、これらの行動を取っているのは、
お年寄りの方だけになりつつあるような気がしてならない。
文化財や伝統芸能などは、国や都が保護してくれるが、お年寄りの見えない財産・
「江戸仕草」は、あと数十年ほどで、廃れて無くなってしまうかもしれない。
小さい頃からごく自然に、お年寄りと接する機会を多く持ち、
江戸仕草の精神に触れ、それを少しでも自分のものにしていく・・・
そのことが、自分勝手に振舞う若者たちの意識を変え、ひいては、
皆が暮らしやすい街を築いていくことにつながっていくのではないだろうか。
派手なパフォーマンスはいらない。
このような、地に足をつけた地道な取り組みこそが、
今の時代に必要とされているのではないかと、僕は思う。


■優秀賞(心の東京革命推進評議会・会長賞)「私が得たもの」
 (あきる野市立中学校2年生・岸野美奈さん)

四月になったばかりの、あの日。
クラス替えが行なわれたばかりの、あの日の体育の授業中──
私は、ちょっとした不注意から、足を、骨折してしまいました。
でも・・・骨折してからの、3ヶ月半という期間は、
私にとって、実に学ぶことの多い、貴重で大切な期間となったのです。
骨折のせいで、私は、とても楽しみにしていた「鎌倉校外学習」にも、
参加することができませんでした。
ところが・・・校外学習の日の、夕方過ぎのこと。
なんと、クラスの友達が、制服のまま、お土産をウチまで、
持ってきてくれたのです。
「はやく美奈に、渡してあげたかったんだ。」
友達は、にっこり笑いながら、そう言いました。
(たくさん歩いて、疲れているのに、わざわざ届けてくれたんだ・・・)
そう思うと、涙がこぼれそうになりました。
クラス替えしたばかりで、
まだそんなに深く知り合っていないはずの友達だっただけに、
余計に嬉しかったのかもしれません。
ようやく、学校に行けるようになってからも、回りの友達の心遣いが、心に染みました。
ギプスから顔を出している、素足の指先を見て、
「冷たいでしょう?」と、タオルをかけてくれた友達。
「よかったら、使ってよ!」と言いながら、
手作りの指先カバーを、はずかしそうにプレゼントしてくれた友達。
私は、骨折したことで、改めて、人の温かみを、
しみじみと知ることができたのです。
思うように動けない辛さや悔しさと引き換えに、
生きていくために大切なことを学ぶことができたような気がします。
そして・・・困ったときこそ、
自分が普段から人に接している態度がはね返ってくるんだな、
ということも、身をもって体験できました。
逆に、まわりの人が大変な目にあったときには、
気持ちよくサポートできるような・・・
そんな素敵な人になりたいと、改めて感じました。
最後に、みんな!ありがとう!
心から信頼できる友達をもてた私は、幸せです。


※掲載した作品は、放送時間の関係上、
 若干・割愛・構成させていただいています。

“東京都が標榜する心の東京革命は、確実に進みつつある!”と
感じさせてくれる、“今どきの”中学生の作文…。
次世代を担う学生達、結構、期待できるかもしれませんね。



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