2003年2月放送


「トヨタ飛び出せ街かど天気予報」この時間、お天気を伝えてくれるのは、
「晴ればれキャスターズの山口良子さんです。

毎月テーマを決めて、いろいろな場所からお天気を
お伝えするのですが・・・今月のテーマは、「歌人の足跡を辿って」です。



2003年2月22日(土曜)


おはようございます。
今朝は港区三田にあります「加賀の千代女」の歌碑を
訪ねました。薬王寺というお寺の中、墓地の片隅に
ひっそりと佇んでいます。



加賀の千代女といえば「朝顔に つるべとられて もらい水」
の歌で有名ですが、この井戸のつるべが朝顔に取られて
いたという訳です。



旅の途中、薬王寺の井戸水が霊水であるとの噂を
耳にした加賀の千代女がここに立ち寄り、歌を詠み
ました。今ではその井戸は「朝顔の井戸」と呼ばれ
ています。



歌が詠まれてから250年あまり、今では井戸の
裏手のフェンスに朝顔がからみついているようです。
「朝顔に フェンス取られて 井戸見えず」
・・・失礼しました。


2003年2月15日(土曜)


今朝は渋谷にやってまいりました。
道玄坂を上がったところ、
マークシティの入口に与謝野晶子の碑が立って
います。こんな渋谷の繁華街にも、歌碑があるんです。
ご存知でしたか?



中継時の気温は3.9℃。
よく晴れて冷たい空気が気持ちよい朝でした。
いつもは人で溢れている道玄坂も、
朝7時前とあって人影もまばらです。



「母遠うて瞳したしき西の山
     相模か知らず雨雲かかる」
この歌は「明星」に収められた歌で、
妻と歌人の二束のわらじに疲れた晶子が、
道玄坂から西の山々を眺め、
郷里の大阪にいる母を思った歌です。
ほんの100年前には、渋谷から山々が見渡せたんですね。


今度から渋谷で待ち合わせをする時は、
「道玄坂の与謝野晶子「母とうて」前で待ってるね」
なんていかがですか?



2003年2月8日(土曜)


今朝は文京区本郷、石川啄木が過ごした
蓋平館別荘(現太栄館)にやってまいりました。
中継時の気温は3.4℃、風がなかったのでそれほど
寒くはなかったのですが、調子に乗ってコートを脱いで
本番に望んだら、足下から冷えてきてガタガタ震えていました・・・



太栄館は修学旅行生が多く利用する宿として知ら
れています。井筒監督も学生時代に泊まったとか。
このページをご覧の皆さんの中にも、泊まったこと
のある方、いらっしゃるのでは?



玄関脇には「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 
蟹とたわむる」と啄木の歌が刻まれています。
これは国木田独歩の死を函館で知り、その悲しみを
詠んだ歌とされています。



その歌碑の足下には・・・・
蟹です。
とってもリアルに刻まれています・・・
函館の大森浜が歌の舞台と言われるだけあって、
蟹も大きいです。
この季節、蟹が恋しくなりますね・・・


2003年2月1日(土曜)


2月の街角天気予報のテーマは、
「歌人の足跡を辿って」
「あしあと」ではなく「そくせき」です・・・
初回の2月1日は東京都江東区深川万年橋近く、
松尾芭蕉が晩年を過ごした「深川芭蕉庵」に
行ってまいりました。


中継時の気温は4℃・北の風4m。
風が1m吹くと体感温度は1℃下がります。
つまり体感的には0度。手足の先までしびれるような
寒い朝でした。芭蕉像も心なしか寒そうです・・・



「古池や蛙飛び込む水の音」
この句もここ芭蕉庵で詠まれました。
そのせいもあって、芭蕉庵には蛙の置き物がたくさん
飾られています。この子はガマガエルでしょうか。
ゲコ。



芭蕉庵にはもう1句掲げられています。
「さまざまのこと思ひ出す桜かな」
この句は芭蕉庵で詠まれたものではない上に、
写真のこの木、さくらではなく、いちょうの木です。
・・・謎は深まるばかり・・・