11月11日 11月13日は「語り芸」特集

ラジ天ブログ「カメ&セイドー」(亀渕昭信&藤井青銅)
#32「語り芸」

カメ     …だから、アメリカの語り芸文化ってのはそういうことなんだよ…
       (先週から一週間ずーっと喋っている)
       …わかった?
セイドー   …はあ。(それをずーっと聞かされている)
カメ     日本だと、講談、浪曲、落語…なんてのが
伝統的な語り芸にあたるんだろうけど、それがラジオに場を移す。
そのラジオもワイドショーの時代になって、
「テキトーに喋ってりゃいい」ということになってから…
セイドー   テ、テキトー…ってことはないでしょう、ご隠居。
カメ     じゃ何だい? フリー? アドリブ? 場つなぎ? 無駄話?
セイドー   …い、いや。まだ「テキトー」の方がおだやかですかね。それでいいです。
カメ     で、そういう時代になって、
語り芸ってのは少しずつレベルが下がってきたような気がするな。
あのカメなんかはヒドかった...。

天才的な「語り芸」

セイドー   まあまあ、ご隠居も自虐的なご性格ですね。
ところで、語り芸といえば、古くは徳川夢声、
そして古川ロッパあたりですかね。
今回はアーカイブから、古川ロッパが語る「ロッパモシモシクラブ」
(昭和29年・1954)という、古い番組を見つけてきました。
カメ     私が知ってるロッパさんは、もっとお爺さんだけど、
ここでのロッパさんは、聞いてみると、ずいぶんお元気だね。
語りの歯切れがいい。
セイドー   はい。
カメ     「聞かなきゃ一生後悔するっ!」
セイドー   ご、ご隠居、そのキメゼリフはまだ早いです。もうちょっと続きますから。
カメ     あ、そうか。
       で、ロッパさんのあとの世代としては?
セイドー   その十年後くらいに、「プロ野球三国志・長嶋茂雄」という
語り芸の番組を見つけました。
ここでの語りは、小沢昭一さんです。(昭和38年・1963)
カメ     それも聞いてみたけど、小沢さんの語り、うまいねぇ。天才的だね。
「聞かなきゃ一生後悔するっ!」
セイドー  ですから、まだ早いってんです。
カメ     あ、すまん。年寄りは先が短いから、つい急いじゃって…。
小沢さんが、のちにTBSで長年に渡って名人芸を披露する原型が、
すでにこのときには出来てるねえ。
セイドー  あ、いいんですか? 他局の話?
カメ     他局もなにもないよ。私の心は広〜く、ラジオ界全体に及んでるんだ。
セイドー  広いですね。
カメ     広い広い。どこまでも広い海のようだ。
あ、そういえば、キミは「海」って知ってるかい?
セイドー  知ってますよ。青くて、しょっぱいアレでしょ?
カメ     「海」ってアルバムだよ。
セイドー  アルバム?
カメ     その昔、ロッド・マッケンというフォークソングの人がいてね。
その人の書いた詩を岩谷時子さんが翻訳して、
石坂浩二さんが朗読した、語り芸のLPがあったんだ。
「海」「空」「大地」って三部作で…
セイドー  あっ! それ知ってます。わが家に「大地」ってアルバムがありました!
カメ     ほう。
セイドー  姉が買ってきたんです。BGMに乗せて、
石坂浩二さんが朗読するやつですよね? 
「ママは僕をモーツァルトにしたかったけど、
僕は野球選手になりたかった…」みたいな内容の詩があって、
僕は中学生の頃「カッコいいなあ」「おしゃれだなあ」なんて思いながら、
聞いてました!
カメ     だろ。ああいうのも、語り芸だよな。
       あれの元は、アメリカではジェス・ピアスンという役者兼歌手が朗読している。
音楽はアニタ・カーシンガーズのアニタ・カーが作曲してるんだね。
セイドー   そうかぁ。ずーっと忘れてたけど、いまご隠居に言われて思いだしました。
       実は僕が放送作家になって、カッコいいナレーションの番組を作る時、
自分の中でお手本としている語りのイメージは、あのアルバムだったんです。
カメ     ほう。つまり、アメリカのラジオが培った語り芸の伝統が、
日本に翻訳されてアルバムになり、
それを聞いて育ったキミが作家になり、
またあらたなラジオでの語りの番組を作ってるってわけか。
文化は国境と時代を越えて、めぐってるってわけだ。
セイドー  あ、ご隠居、大変です!
カメ     どうした?
セイド―  今回は、なんか「イイ話」になってます!
カメ     …ま、たまにはそういうこともあるさ。
       で、語り芸ってのは、ラジオではさ……
セイドー  ご隠居、まだ続くんですか?
カメ     当たり前だ。語り芸だけに、いくらでも語ろう!
セイドー  はあ…
      (さらに、次回に続く)