2007-08-17更新

『そりゃビールは飲みたくなるが・・』

地球が発熱しているとしか、
表現のしようがない猛暑が、
続いたこの数日。

昼間の暑さは、
熱の塊を頭の上に、
押し付けられているようで、
耐え難いものがあったし、
夜は夜で、
粘ついた発熱する物体を、
体中に塗りつけられているようだ。

浅草演芸ホールに行って、
地下鉄の駅までの帰り道、
この国は温帯じゃない、
熱帯だと確信したもの。

熱中症の被害も、
連日報道されている。

喉が渇く前に、
水分の補給をと、
どの番組でもアナウンスしている。

熊谷と多治見で、
40.9度を記録した日の夕方、
安倍総理は記者団に、
「今日も暑かったですね」
と聞かれ、
「ビールが好きな人にとっては、
ビールがおいしいんでしょうけど、
私は飲みませんから、
ただ暑いだけですね」
とお答えになった。

もちろんこの後に、
暑さに対する注意も、
呼びかけたと記憶しているが、
報道されたなかで、
印象に残るのは、
「ビールが〜」と答えた、
前段の部分になってしまうし、
新聞でもその部分が、
強調されていた。

政治家の発言とは、
そういうものなのだ。

総理は忙しい方だから、
最高気温を記録したことを、
知らないまま会見に、
臨んだのだと思う。

しかしこの日、
多くの国民の関心事は、
いったいこの気温の高さは、
なんなのだということだ。

とすれば記者団から、
それに関する質問が、
来るかもしれないと、
何故周囲の人間が、
アドバイスしなかったのだろう。

いや、アドバイスというのも大げさだ。
世間話や挨拶の一つとして、
大変な気温になっていますねと、
そんな会話すら総理に対して、
出来ぬほど総理は孤独なのだろうか。

安倍総理は、
連日マスコミから批判されている。
もうかなり弱っていると、
行っても過言ではない。

そのような対象に、
反論されないことをいいことに、
これでもかと攻撃するのも、
どうかとは思うのだが、
この「ビールが〜」は、
国のトップの発言として、
あまりにも軽い。

総理として、
熱中症対策を語って欲しかった。

高齢者や幼児のことを、
周囲の人々で見守ろう。
喉が渇く前に水分を取ろう。
室内にいても熱中症になる。
夏休みにクラブ活動に、
熱中する子供達に注意を払おう。
外で働く人たちも、
体調に変化が現れる前に、
休憩を取ろう。

総理として、
少々細かいことを言うようだが、
十分に注意をして、
この夏を乗り切ろう。

そしてこの機会に、
日本の、そして地球の環境について、
考えてみよう。

というようなメッセージを、
送るべきだったと思うのだ。

「国民の目線に立って」という言葉があるが、
これは立場立場で目の高さも異なり、
なかなか難しい。

しかし今回の件に関して、
何を今語らなければならないかを、
考えることはさほど難しいことではない。

言い古された言葉だが、
大切なのは、
想像力の問題なのだと思う。

ニッポン放送
うえやなぎまさひこ