2005-03-19更新

『主役』

パックマンだのホワイトだの、
クラウンだのなんだのと、
これまでの人生で聞いたこともない、
企業買収の世界の隠語。

またそれらを、
毎日毎日嬉々として解説する、
様々な人たちがいる。

最近では、軍事評論家が忙しかったけれど、
ここで俄然、金融関係の人々が、
脚光を浴びている。

しかし、よくもまぁこれだけ次々に、
怪しげな言葉が次々に登場するものだ。

まだまだあるのなら、
心の準備もできるので、
誰か教えてくれないだろうか。

今から10年前、
地下鉄サリン事件が起こった。

あの頃、毎日のように、
カルト教団の怪しげな言葉と、
毒物に関する言葉が解説されていた。

また、拉致事件が明らかになった時は、
北朝鮮に関する様々が、
これまた連日、語られていた。

あれほど用語が氾濫していたのに、
あれほど時間を費やして、
連日語られていたのに、
サリン事件の被害者の方々は、
いまだに後遺症に苦しめられ、
また国を狙ったテロにもかかわらず、
何の補償もなされていない。

また、拉致被害のご家族も、
確かな情報を得られないまま、
不安な日々を過ごしていらっしゃる。

毎日起こる事件によって、
テレビ、新聞、雑誌、そしてラジオは、
ニュースの主役を追い求めてきた。

しかし、その主役達を、
一時の流行りごとに仕立て上げ、
消費することだけで、
終わらせていたことに、
今さらながら気付かされる。

先日、地下鉄サリン事件の、
被害者やご家族の10年を追う、
ドキュメンタリーを見た。

何の罪のない人が、
何故このような仕打ちを受け続けるのか、
深い憤りを感じた。

また、地下鉄サリン事件や拉致被害の、
関係者の皆さんは、
今回の、買収用語に関する連日の報道で、
事件がどんどん過去のものに、
なってしまうことを、
きっと、懸念していると思う。

ニッポン放送
うえやなぎまさひこ