2005-03-13更新

『車中にて』

先週の金曜日の夕方東京タワーから、
松本秀夫アナウンサーの番組に、
照明プランナー石井幹子さんの発案の、
スマトラ沖地震チャリティーイベントの、
模様を中継した。

そのために有楽町を出発したのが、
ちょうど、例の裁判の結果が出た直後で、
会社の周りは、TVなど取材陣に、
取り囲まれた状態だった。

言わば、世間でかなり注目された時に、
「ニッポン放送」と横っ腹に、
ダーンと書かれたラジオカーで、
雨の中、芝に向かっていたのだ。

車中、カーラジオからは弊社の放送が流れ、
私は私で、携帯ラジオで各TV局の、
夕方のニュースの音声を、
ザッピングしていた。

興奮状態のキャスターや、
記者の声を聞いていると、
他人事なら、この手のニュースは、
伝える方も聞く方も、
相当に楽しい事なんだろうなぁと、
ごくごく当たり前のことを、
雨の都心の夕景をボンヤリ眺めながら、
考えた。

そんな中、頑なに通常の放送を、
続ける弊社の放送は、
どう思われているのだろうとも、
思った。

裁判の相手を批判するだけの言葉を、
電波に乗せる事は、
出来うる限り避けようという、
暗黙の了解に近いものがあって、
それは、それで一つの見識だ。

が、せめてあの瞬間だけでも、
専門家の賛成反対の意見とともに、
私たちの気持を聞いていただく、
20分、いや10分の放送が、
行なわれてもよかったのではないか。

スタジオや社内で聞くことと、
外で聞く事の温度差、
なのだろうけど、
そんなことを思ってしまった。

閑話休題

挨拶もなく、土足で人の家に、
入ってきた男がいる。

「なんですか、あなたは!」と、
注意するとその男は、
「いや、靴の裏にはビニールが、
貼ってあるから土足ではないです。
だいたい、おたくの玄関には、
カギがかかっていませんでしたよ」
と言った。

さらに男は、
「アメリカでは、靴を履いたまま、
絨毯を敷き詰めた家の中に、
入るのがあたりまえです」
とも言う。

ならばと、
「では畳の部屋なら土足と言う訳には、
いかないでしょう、ここから出てってください」と、
絨毯の上に畳を敷きつめようとしたら、
それは、あまりに唐突だと、
男は怒り始めた。

これはいったいどちらに理があるの?
こんなくだらないたとえ話を、
している場合じゃないけれどさ。

ちなみにアメリカでは、
80年代に、挨拶なしの土足乱入が、
横行しすぎて相当もめて、
今では細かいルールができたという。

さあ、土足派の皆さん、
日本ではまだそのルールは出来ていません。
おまけに偉い人もそれを認めました。

ジャンジャン土足で人のお家に、
挨拶なしで踏み込んで、
新しい日本を作るという、
土足派の皆さんの夢を、
拍手喝采で、かなえてあげましょう。

でも、それでホントにいいのかな・・・

ってほど単純なことではないけれど、
当事者の私が小学生に説明するなら、
こんなことを言ってしまいそうなのが、
いまの私の気持だ。

ニッポン放送
うえやなぎまさひこ