2005-02-27更新

『巨人楽天オープン戦にて』

土曜日早朝、大分行きの飛行機に乗るため、
京浜急行にて、羽田空港へ。

途中、京急蒲田で乗り換えるはずが、
新聞を読んでいて、ふと気がついたら、
何故か、京急川崎に着いてしまい、
慌てて京急蒲田に戻って空港に。

スタッフと合流して、
搭乗手続きをするべく、
金属探知機をくぐると、
携帯もキーホルダーも小銭も、
すべて取り出したにもかかわらず、
「ピンポン!」という音。

有無を言わさず、
靴を脱がされスリッパを履かされ、
通っても「ピンポン!」
ベルトを外して通ってもまだ鳴る。
どっと噴出す汗。

やっと胸に携帯ラジオを、
入れていたことを思い出し、
やっとのことで通過、機中の人に。

昼前に大分空港に到着したが、
あいにくの曇り空で、時々粉雪が舞う。

ホバークラフトに乗って、
市内へ向かうのだが、
最初は横滑りになりながら、
S字クランクのようなコンクリートの、
道を進むと、そのまま海へ滑り出す。

60キロの速度で、
海面をザンザン進むのだが、
とにかく音がにぎやかなこと。

新大分球場近くの港に着いた頃には、
横殴りの雪が降り、はたしてこんな状況で、
野球ができるのかと心配になるが、
タクシーの運転手さんには、
大分は九州のなかでも、
特に寒い所だといわれた。

粉雪を運んでくる冷たい風が、
スタンドやグランドに吹き付けるが、
とにかくもう満席、報道陣多数の、
新大分球場だ。

放送席では、解説の大矢さんと、
松本アナウンサー、スポーツ部長に、
ディレクター、技術スタッフが、
試合開始を待っている。

屋根があるものの深々と冷え込む、
窓のないコンクリートの部屋で、
中継を見学する。

どんなに寒くても、
選ばれし人々が繰り出すプレーに、
興奮して見とれてしまうのがスポーツ。

そして、それらを音声のみで伝える、
職人としか表現できない中継スタッフ。

この両者に、ホッカイロを脚から背中から、
8枚貼って感心する私であった。

夕方3時から、今度は私と松本アナウンサーで、
電リクを始める予定であったが、
試合がシーゾーゲームになってきたので、
急きょ、中継をメインに番組を進めることに。

解説の大矢さんがいらっしゃれば、
なんとかなると思ったのだが、
3時半のホバークラフトで、空港に行くようで、
3時にはタクシーにお乗りになった。

残されたのは松本さんと私。
どうすればよいのかはっきりしたことは、
わからないまま、中継&番組が始まる。
私のようなものが、試合中に中継席で、
しゃべるというのは、
神聖な場所を汚しているような気持になり、
申し訳ない気持で一杯なのだが、
東京からの指示なので仕方がない。

ヒンシュクは覚悟の上で、
プロの試合とプロの実況を、
極めて至近距離で、
思いっきり堪能してしまった。

どうぞ、オープン戦ということで、
ご容赦いただきたい。

試合終了後は、グランド整備と、
スタンド清掃の中、二人で慌ただしく電リク。

ベンチ情報担当の栗村アナウンサーが、
コートの襟のボタンを一番上まで留めて、
「眠るなぁ、眠ると死ぬぞー!」
という冗談をいうが、あまり冗談に、
聞こえないほどの夕方の寒さのなか、
5時前に放送終了。

中継スタッフはそのまま、
日曜日の試合会場、山口に電車移動。

私は日曜日の昼、大阪城ホールで、
「十戒」というミュージカルを、
取材するために、また大分空港へ戻る。

例のホバークラフトの時間の関係で、
空港に着いたのは離陸40分前。

何を慌てているかというと、
金曜日のパートナー阿川佐和子さんに、
大分空港の3階にあるお寿司屋さんは、
とってもおいしいから、必ず行ってみてと、
わざわざアドバイスいただいたので、
何が何でも寄りたかったのだ。

うまい寿司を食べたいことは当然だが、
次回、阿川さんとお会いした時に、
共通の話題というのができるじゃない。

店にいられた時間は20分ほど、
おまけに、お客さんが多かったらしく、
関さば、関あじは売り切れだったけれど、
しかしそれでも、うまかった。

また、寒さのために水分を控えていたので、
短時間に生ビール2杯も飲んでしまい、
機中、ふと目覚めればそこはもう大阪だった。

決して効率的でもなんでもなく、
誉められたもんでもない一日だったが、
やはりそこに行ってみてわかること、
同じ空気を吸ってみてわかることが、
たくさんある。

こんななんてことのない経験を、
一つ一つ積み上げていって、
なんだかやたらと地道に作ってゆくのが、
中波ラジオだったりもする。

今回の旅でわかったことは、
どんなに技術の進歩があっても、
鍛えぬかれた肉体が織り成すプレーを、
結局は手書きの細々したメモと、
頭の中の膨大な経験という名の資料と、
スタッフ間の連携プレーで中継していくことは、
未来永劫変わらないであろうという事実だった・・・

といったら、あまりにも松本アナウンサーが、
カッコ良すぎるかななぁ。

でもあの人、ちゃんと釣りの道具を、
出張先に持ってきていましたからぁ!残念!

ニッポン放送
うえやなぎまさひこ