2005-02-20更新

『もうひとつの冬ソナなんだけど・・・』

おまえ、のん気に番組やっている場合では、
ないだろうと言われそうなほど、
連日のように弊社の名前が活字に踊っている。

この大騒動の当事者として、
何かメッセージを発信すべきなのだが、
腹立たしいほどに、
この先どうなるのかがわからない。

ことはもう、このラジオ局のことは、
もはや小さな問題でしかなく、
メディアの世界を変える画期的なことなのか、
単なるマネーゲームの争いなのか、
正義はどちらにあるのかという、
争いになっている。

コメンテーター諸氏にとっては、
その先のことばかりが関心事で、
テレビや新聞をどうにかするために、
足がかりにされるばかりの存在の、
小さなAMラジオ局のことなんぞ、
かまっていられない状況なのだろう。

私だって部外者の立場なら、
同じような考え方をするのだろうが、
なにせ当方、渦中の会社の、
それも毎日、生放送をやってきた人間だ。

人にとっては鼻くそみたいなことでも、
20数年、ラジオのことを考えてこそ、
なんとか今の私がいるわけだし、
生活だってかかっている。

私にとっての大きな存在である場所が、
単なる道具のような扱いになっていることに、
大変な憤りを感じざるをえない。

はるか頭の上で、
弊社をどちらが獲得するのかという、
戦いがし烈に行なわれていることは、
もはや私の手の届くことではないことを、
諦めともに、受け入れるしかないのか。

伝説のDJ、ウルマン・ジャックは、
ラジオの通販で金を稼ぎながら、
地方都市の小さなラジオ局からスタートし、
大きなラジオ局を買収してのし上がっていった。

口はばったい言い方をすれば、
そこには、ラジオに対する深い愛情が、
あったのだと思う。

毎日毎日、体調が良いの悪いの、
なんのかんのと言いながら、
それでも生身の人間がわいわい集って、
効率を考えれば、随分無駄が多い中、
地道に作っていくのがラジオ。

そんな番組を、
それどころじゃないんだよと、
呆れられながらもリスナーのあなたに、
親戚みたいにつきあってもらっているのが、
これまたラジオ。

大きくは儲かる事はないだろうし、
飛躍的に伸びて行くことは難しいけれど、
そこにはラジオを作るのことが、
大好きな人間と、
ラジオを聞く事が好きでいてくださる人間が、
大勢いるのだということが、
あまりにも無視されてはいないだろうか。

私のやっていることは、
文化的でも芸術的でも、
利益率がよいわけでもないけれど、
だからと言って、世の中で、
なくてもいい存在だとは思っていない。

このまま、ラジオはさておき、
という雰囲気のなか、物事がどんどん、
進んで行くのだろう。

インターネットのBSのCSのデジタルのと、
メディアの環境は大きく変わってゆくことだろう。

しかし、何度も言うようだが、
生身の人間が、マイクの前で語るという、
ラジオの形は決して変わらないで、
残って行くのだと私は信じている。

また、しゃーねぇなぁと思いながらも、
このメディアを面白がっていただける、
想像力豊かな方々も、
きっと存在し続けるのだと、
やはり信じたいのだ。

今回の件、面白がっていただいて結構。
株式の上場のリスクを語って頂いても結構。
弊社を陣取り合戦の道具に使われても、
・・・もはやしかたない。

ただ、私は言いたい。

ラジオを作る人々の意向を無視するな。
ラジオを聞く人の意向を無視するな。
ラジオを愛する人々を、無視するな。       ・
       ・    
さーて、大きく出たうえやなぎさん。
誰かに、余計なことは言うなよと、
怒られるのかね。

まぁそれはそれとして、
では、お前のラジオはなにやんだよ、
と言いますと・・・

「もうひとつの冬ソナ」の朗読だ!
これね、意外と私の好きなカテゴリーなのよ。

「10時のちょっといい話」とか、
「あなたへの手紙」で朗読をやっているが、
あの世界の集大成になればと考えている。

黒木瞳さん、黒田福美さん、安藤優子さん、
小島奈津子さん、阿川佐和子さんを、
日替わりでお迎えする一週間。

なんだい、聴取率週間の特番かいと、
おっしゃる?

確かにその通りだけれど、
これ、学園祭と同じで、
かなり、燃えるんだよなぁ・・・

ニッポン放送
うえやなぎまさひこ