7月25日(水)

『写真展「子どもは天才!」』

横浜市にある日本新聞博物館の2階で、いま写真展『キッズ フォトグラファーズ 子どもは天才!』が開かれています。写真を撮ったのは、横浜の盲学校に通う23人の子供たちです。この写真展を企画したのは、土門拳賞も受賞されている写真家の管洋志(すがひろし)さんです。管さんはライフワークとして小学校で写真教室を開く活動を続けています。ある日、知人から「うちの学校でも、写真教室を開いて欲しい」と話がありました。そこが盲学校と聞いて、目の不自由な子どもに写真を教えることに、はじめは抵抗があったそうです。しかし、今年の2月、横浜市立盲特別支援学校で、小学生から高校生までの23人を集めて「写真教室」が開いてみると、その不安はすぐに消えたそうです。管さんが持ってきたレンズ付きフィルムカメラを受け取った子どもたち、うれしくて、大騒ぎ! カメラが、どうなっているのか、まったく知りませんから、中にはレンズを自分に向ける子どももいました。シャッターの場所とフィルムの巻き方、そして、「手ブレ」しないように、脇を締めて、シャッターを押すように教えました。テーマは「ボクとわたしの好きなモノ!」。締め切りと決めた2週間後、23人が撮った写真が管さんの手元に届きました。写真を1枚1枚めくりながら、管さんは思わず、こう叫んでいました。「みんな、天才だよ!」
中でも管さんを驚かせたのは、永井さきちゃん(小学2年生)が撮った写真。さきちゃんは、可愛い、弟の慎(しん)ちゃんを撮ろうと思っていました。でもカメラを向けたら一歳の慎ちゃんに取られて、壊されてしまうかもしれない。「貸して、貸して!」と泣かれても困る。でも、可愛い、可愛い、弟の慎ちゃんを、どうしても撮りたい。そうだ!慎ちゃんがお昼寝するまで、待とう。いつも元気な慎ちゃんは、なかなか寝てくれません。それでも、さきちゃんは、辛抱強く、寝静まるのをジッと待ちました。すると、そのうち・・・《すー、すー、すー》やっと寝息が聞こえてきました。さきちゃんは、弟が寝ている布団に、そっと近づき、カメラを向けました。作品名「弟の慎ちゃん」。この寝顔の写真を見て、写真家の管さんは、ビックリしてしまいます。どうして、こんな写真が撮れたんだろう?40年も、写真を撮り続けてきた管さんは、こう気づきます。「いま、プロが撮っている写真は、技を競うような作品ばかり。心で撮った子供たちの写真を見て、原点に戻った気がした。写真とは、心で、撮るものだ。」

●『キッズ フォトグラファーズ 子どもは天才!』
 日本新聞博物館で、8月26日、日曜日まで。入場料無料。
●8月11日土曜日は、写真を撮った子供たちと写真家・管洋志さんとのトークショー。午後2時から4時まで。入場無料、定員100名。
●東京でも、8月30日からニッポン放送のすぐ近く、日比谷にある「フォトエントランス日比谷」で写真展が開かれます。