7月23日(月)

『心臓移植にあった「もう1つの壁」』

今、福岡県に「心臓の移植」を待ちながら闘病生活を送る
男性がいます。松永真和(まつなが・まさと)さん、
29歳です。それまで宅配便のドライバーとして忙しい毎日を
送っていた松永さんが、体調不良を訴えたのは6年前のこと
でした。最初は風邪を引いたのか?と思ったのですが、
血の混じったものが咳と一緒に出て、病院で検査を受けたの
です。その結果は、想像もしないものでした。
病名は「拡張型心筋症」=突然、心臓の動きが悪くなって…
心臓の壁が薄く伸び、中の空間が大きくなる病気です。
はっきりとした原因が分かっていない難病で、治す方法も
分かっていません。そのまま放っておくと5年後には、
2人に1人が亡くなってしまいます。
そのため、助かる道は、別な心臓を新しく入れ替える=
「心臓移植」しか方法はありません。

ところが…日本ではこの心臓の移植には、「大きな壁」が
あるといわれています。それは「自分の心臓を使って」と
言ってくれる「臓器の提供者」=「ドナー」が、とっても
少ないということです。
今、100人近くの人が心臓の移植を待っている
そうですが、実際に行なわれるのは、単純に計算すると…
年間、5件ほどです。

そこで多くの患者さんが…待っていては命が危ないと
考えて、もっと件数の多い、海外での「心臓移植」に道を
求めることになっているのです。松永さんも同じでした。
お医者さんや家族と相談した結果、ドイツにある
「心臓センター」での移植を決意しました。
ところが…松永さんの「心臓移植」には、「もう1つの壁」
があったのです。
海外での手術となれば、当然「保険」もきかない上、
飛行機代や病院代、家族の滞在費用など大変なお金が
必要です。松永さんの場合、7000万円と計算して
います。こんな大きなお金を、普通のひと家族だけで払う
のは不可能です。そこで、多くの方の善意に頼ることに
なります。松永さんの友人たちが『まさと君を助ける会』を
結成、今年の4月から募金活動を始めました。

でも、あるところで…金額は、一時足踏み状態になったと
いいます。理由の1つと考えられたのは、「年齢」でした。
海外での移植を望む患者さんが「子供の場合」、
可哀相という気持ちが強くなるのでしょうか?
お金も集まりやすいといいます。
また、法律で「15歳未満の子供からの臓器提供」は
認められていないので、海外に行かざるを得ないという
事情も、そこにはあるのかも知れません。
そのため、29歳の男性という「立派な大人」の松永さんの
場合、募金が集まりにくいという…「もう1つの壁」が
あったのです。
そのため、お姉さんの直美さんも会社を午前中で早退、
午後を募金活動にあてるなど必死に協力を呼びかけました。
すると…ある時期から、また、募金の金額が伸びて
いきました。もちろん、募金箱を持って各地を飛び回った
努力もありましたが…
この話を知った見ず知らずの個人が、インターネット上で
公開している自分の日記=「ブログ」で、募金を呼びかけた
のです。
「人の命が年齢によって差別されることがあっては
いけない」
そんな言葉で、現状を訴えたのです。
その日記を読んだ人が、自分の日記に書くという「リレー」
が行われて、『助ける会』も知らないところで、
どんどん呼びかけの輪が広がっていったというわけです。

きのう現在で、募金の総額は4500万円となっている
そうです。あと2500万円。松永さんの病状は一進一退を
繰り返しており、予断を許さない状況です。
今日も『まさと君を助ける会』は、移植手術にあった
「もう1つの壁」を乗り越えるために、募金を呼びかけて
います。

 募金への協力は、「事務局」へお問い合わせ下さい。
 『まさと君を助ける会』
 電話番号は=福岡093(281)2552