6月28日(木)

『亡き息子さんがくれた生涯の仕事を生きがいに・・』

 介護問題が日々報道されている中、福岡県に外国人介護ヘルパー養成に励んでいる66歳の男性がいらっしゃいます。
中村政弘さんは、元銀行マン。退職後、関連企業にお勤めされたあと、地域のサポートセンターのセンター長となり・・
老後は「大好きな料理や家庭菜園、釣りをしてノンビリ暮らしていこう」
そんな人生設計を描いていたそうです。

しかし、今から3年前・・2004年。
息子の謙一郎さんは悪性脳腫瘍で亡くなってしまうんです。
実は、謙一郎さんには夢がありました。
日本で働きたい、という外国人・看護師の方をサポートする、という・・つまり、アジアと日本の架け橋になりたい!
独立されてからも一生懸命、頑張っていました。
でも、様々な壁にぶつかり・・結局、志なかばで
他界されてしまうんです。

懸命に貯めた貯金と「会社は整理してほしい」
そんな遺言を託された家族たち。
中村さんは息子さんの遺言の通り、会社をたたむべきか
しかし、これまでの努力を無駄にしてもよいのか?
一年間悩みました。

そして、そんな時に偶然出会った、ある方の言葉に背中を
押され、一大決意をします。
一年かけて勉強や交渉を重ね、
福岡に「インターアジア」を設立。
息子さんが果たせなかった、外国人の介護ヘルパーを育成する!という講座を開きます。

もちろん、採算などないそうです。
ほぼボランティアに近い状態だといいます。
しかし、何よりも前向きで頑張り屋さんの彼女たちに囲まれ
毎日がとても楽しい・・といいます。
フィリピンをはじめ、中国、アルゼンチンなどなど、
様々な国から日本へやってきた彼女たち。
国の家族を思いやるように、介護に対しても広い心で
温かい気持ちで臨んでいるんだそうです。

息子さんの急逝によって、人生が大きく変わってしまった
中村さん。
でも、いつも心の中で息子さんにこう話しかけています、
「親孝行してくれて、ありがとう!
 今、父さんは、毎日がとても楽しいよ。」