6月7日(木)

『ドキュメンタリー映画『選挙』の主人公山内和彦さんの話』

今週の土曜日「選挙」というドキュメンタリー映画が公開されます。2005年秋、川崎市議会議員の補欠選挙に自民党の公募で選ばれた山内和彦さん。当時40歳。この山内さん、東京大学出身。でもただの東大でじゃない。授業料はただ、給料も出るわけで、最初気象大学校に入学。2年生のときに「山を見たい」と、信州大学。ところがやっぱり、東大に行きたいと、24歳の東大に入り直します。で、11年もかかって卒業するという自由人。職業は、切手・コイン商。つまり、政治には全くの素人だったんですが、ただ1点。小泉改革には賛同していた。そこで、自民党の公募に論文と面接で合格。こうして市議会議員候補になった山内和彦さんは、12日間の選挙活動を、ドキュメント映画にしてしまうんですね。選挙が始まると、「政策は必要ない、名前だけでいい」「とにかくお辞儀、電信柱にもお辞儀」「握手の最後は相手の目を見て」「ラジオ体操をしに行け、運動会に行け、神輿を担げ!」己を殺さなければ、アホにならなければ、候補者は務まらない。これが選挙の現実でした。今年2月、ベルリン国際映画祭で上映された「選挙」。拍手喝采を受けます。評価の中で「ナント自然な演技なんだ!」という声に、「いえいえ、あれは全部ホントの事です」。ドイツ人は、目を丸くして驚きました。「ドキュメンタリー? 日本はなんてバカげた選挙をやっているんだ!」この映画が、日本のおかしな民主主義に一石を投じてくれたら・・・。そんな願いから、山内さんは、ちっともカッコよくない自分、滑稽でぶざまな姿をスクリーンにさらけ出すことを了承しました。5月2日、任期満了と共に、次の選挙には立候補しなかった山内さん。いまは、今月生まれてくる赤ちゃんの育児支援に専念したいと考えているそうです。

○ドキュメンタリー映画『選挙』
 今週土曜日、渋谷「シアター・イメージフォーラム」で公開。
 お問い合わせは、東京03−5459−1173