10月18日(水)

『秋と女と、アノ話  お客さまは中村メイコさん』

昭和9年、杉並区下高井戸でお生まれになった中村メイコさん。5月に五月晴れに生まれたので、本名は「五月」。家では英語読みの「メイちゃん」と呼ばれていました。2歳のとき「コをつけて呼んでよ」と直訴して、晴れて「メイコちゃん」になりました。お父様はユーモア作家の中村正常氏。お母様は元女優のチエ子さん。モボとモガの最先端夫婦で、メイコさんが1歳の誕生日に、灰田勝彦さん率いるバンドの生演奏で、誕生パーティが開かれたほどでした。芸能界デビューは、2歳8ヶ月。映画『江戸っ子健ちゃん』のフクちゃん役に大抜擢されます。その後、天才子役として映画やラジオに引っ張りだこ。テレビ番組には、戦前の実験放送の頃から出演されていて、日本のテレビ史を語る上で欠かせない存在です。ご主人は作曲家の神津善行さん。長女は作家の神津カンナさん、次女は神津はづきさん、長男は画家の神津善之介さんと、芸能一家で知られています。ちなみに、はづきさんのご主人は俳優の杉本哲太さんです。いまは、お子さんも独立されて、ご主人と二人暮らし。「おしゃれな老いの迎え方」「老妻からのラブレター・老いてほどほど」「五月蝿い 五月晴れ」など著書も多く、来年芸能生活70年、いまも女優として大活躍されています。「10時のちょっといい話」では、あの名曲誕生秘話をうかがいました。実は、永六輔さんはメイコさんに恋心を抱いていたんですが、メイコさんが神津善行さんと婚約したことを知り、そのショックで、メイコさんの父親の前で泣いたそうです。そのとき父が「涙がこぼれないように、上を向いて帰るんですぞ」と慰めた。永さんはその言葉をノートに書き残し、あの名曲「上を向いて歩こう」が誕生したということでした。知ってました?