4月8日(木)

『9時のサプライズ』

今、全国の市町村で「合併」の話が進められています。
いわゆる「平成の大合併」と呼ばれるもので、
政府は全国に3200弱ある市町村を、3分の一の1000までに
減らすのが最終目標だといわれています。
これはいくつかの市町村が一つにまとまることで、
仕事をより効率的にして、かかるお金も大きく減らせるというのが
その理由です。
しかし、これまで独立した形で存在してきた町や村が
一緒になると問題が起きてきます。
その問題の一つが「議員」をどうするか?です。
基本的には,新しい自治体が出来たのですから、選挙を行って
新しい議員を選ぶのが基本です。
ところが、それでは議員が嫌がって「合併」が進まない!と
政府が新しい法律を作っています。
「合併特例法」と呼ばれるもので、最長で二年間、そのまま全員が
新しい町や市でも議員を続けられると決められています。
しかしこの特例を使うと妙なことが起きます。
山梨県に去年の4月、誕生した「南アルプス市」もその一つです。
「南アルプス市」は6つの町と村が合わさって出来たのですが、
議員の数は全員で95人にもなります。
この数、山梨「県」議会の議員数42人の二倍以上です。
確かに、合併で失職する議員がたくさんでてしまうのは事実です。
しかし組織の合理化とは、そういうものではないでしょうか。
市民からは納得がいかないという声がたくさん聞こえてきました。
ところが当の議員は「黙して語らず」。
合併協議で決められた事だから…と、そのまま全員が議員を
続けるのでは?と思われました。
しかし、一人立ち上がった議員がいたのです。
金丸忠仁(かねまるただひと)さん。
旧・若草町の新人議員だった方です。
金丸さんは、町議会議員になる前に、こんな公約を掲げていました。
「合併後に全ての議員がそのまま市議になることを阻止する」
当選した以上、この公約を守る義務があると考えたのです。
ますは仲間の市議7人と一緒に、特例の期間を二年から一年に
短縮する条例案を議会に提出しようと考えました。
しかし、前例がないと受理されません。
そして今年の二月、議員の辞職を決意します。
自分が辞めれば一人、市議会議員が減るというわけです。
南アルプス市議会で、金丸さんの辞職を話し合う事になり、
その席上、辞職の理由が朗読されました。
「私は、公約達成に少しでも近づけるために辞職します」
辞職後、金丸さんは市民の後押しを受け、「議会の解散請求」の
計画を立てます。
しかし、この時点で,議会も金丸さんの行動を無視出来なくなります。
そして「南アルプス市議会」は3月、ついに特別委員会で重要な
決定をおこないました。
議員の任期を五ヶ月縮め、10月に自主解散とする。
実は、金丸さんが若草町議になったのにも理由がある。
当時の町議の任期が,合併成立の二ヶ月前に切れることになっていた。ところが誰も選挙をやりたくなかった。
できれば「全員がそのまま無投票で南アルプス市議に…」
との目論見(暗黙の了解)があった。
それはおかしい!とただ一人、選挙に立候補。
結局選挙をやることになって、わずか8万7300票で最下位ながら当選した。(同じような思いで後押しした市民がたくさんいたということか。)