3月3日(水)

『9時のサプライズ』

最近東芝からデビューした新人歌手に「クーペ」という
55歳のバツイチ歌手がいます。
京王線聖蹟桜ヶ丘駅近くのライブハウス「スタンド・バイ・ミー」を経営する本間良介さんがその人です。
クーペさんは、18歳の時、ふるさと山口県を出て、森進一さんの
生みの親・チャーリー石黒さんに弟子入りし、歌手を目指しますが
「お前は、歌よりも話のほうが面白い」と。林家三平さんを紹介されます。当時、若いのにサニー・クーペに乗っていて、それから
三平師匠に「林家クーペ」と名付けられます。
裕福な家庭で、甘やかされて育ったせいか、クーペさんは
人はいいんですが、金銭感覚がまるっきりない。
金遣いが荒く、酒とギャンブルにハマリ、不祥事を繰り返して
とうとう破門されてしまいます。
結婚してからも、ギャンブル癖は治らず、家に生活費を入れませんから、愛想をつかした妻は、一歳の娘を連れて、家を出て行って
しまいます。それっきり妻子は行方知れず….
その後も酒に溺れ、賭け事も止められない。増えるのは借金ばかり。
居酒屋を始めては潰し、バーを始めてはまた潰し
今の店もどうにかこうにかやってきているそうです。
そんなある日、25年前に別れたきり、一度も会っていない、
娘からの手紙が届きます。
「生きているうちに一言言いたい。私を生んでくれて有難う。」
と書かれてありました。
この手紙が届いてから、クーペさんは心を入れ替えるんです。
酒を止め、ギャンブルを止めると、なぜか、歌が次々に
生まれてきました。
クーペさんの歌の根っこにあるのは、迷惑をかけた人への
「詫び状」だそうです。
『娘に逢えなくてもいいけど、心残りは、ひな祭りを一度も
 祝ってあげられなかった事….』
今夜もクーペさんは、声を振り絞って、娘への「詫び状」を
歌いつづけます。