スポーツ伝説

8月15日~19日の放送内容

【プロ野球 今永昇太投手】

 横浜DeNAベイスターズ今永投手は、2019年に自己最多の13勝を挙げたあと、20年に左肩を痛め、クリーニング手術を受けます。その影響もあって、一昨年・昨年はいずれも5勝止まり。プロ7年目の今年は復活を懸けて臨みましたが、2月のキャンプで左腕に肉離れを起こして、有力だった開幕投手の座も明け渡しました。約1か月遅れで一軍に復帰し、5月17日の中日戦で3年ぶりの完封勝利を挙げるなど、復調気配をみせた今永投手。6月最初の登板は、ビッグボスこと新庄剛志監督率いる、7日の北海道日本ハム戦でした。
 この日は、ストレートが走っていた今永投手。糸を引くような伸びのある真っ直ぐに、日本ハム打線のバットはが空を切ります。一方、日本ハムの先発・加藤貴之投手も好投を見せ、試合は息詰まる投手戦に。加藤投手は6回に降板しましたが、後を受けた中継ぎ陣も得点を許さず、試合は0対0のまま最終回へ突入しました。最終回、DeNAはツーアウト一、二塁から宮崎敏郎選手が2点タイムリーツーベースを放ち、今永投手に待望の援護点が入ります。あとはその裏をノーヒットに抑えるだけ。9回は、みんながマウンドに来てくれることをイメージして投げたと見事3人で締め、プロ野球史上85人目のノーヒットノーランを達成しました。

  
 
【プロ野球 山本由伸投手】

 パ・リーグを代表するエース、オリックスバファローズの山本投手。昨年は18勝を挙げ、完封も4度記録しましたが、ノーヒットノーランは、まだ1度も達成したことがありませんでした。そのチャンスが巡って来たのが6月18日、ベルーナドームで行われた埼玉西武ライオンズ戦です。山本投手は相手打線のデータよりも、その日、自分の調子のいいボールを中心にピッチングを組み立てていくタイプ。この日はそれがストレートでした。バッテリーを組む若月健矢選手とも相談し、初回からストレートを中心にグイグイ押していき、適宜フォークやカーブも織り交ぜて、西武打線を手玉に取っていきます。5回ツーアウトまでパーフェクト。5回にフォアボールで初めてランナーを許した後もヒットは許さず、試合はそのまま終盤へ突入しました。
 7回をノーヒットに抑えた時、初めて記録のことを意識したというオリックス山本投手。9回ワンナウト、大記録まであと2人になったところで、西武が代打に送ったのが、この日先発を外れていたスラッガー・森友哉選手でした。しびれるような緊張感の中、山本投手はツーストライクと追い込むと、155キロのストレートを外角低めに決め、森選手は手が出ず見逃し三振。最後は、川越誠司選手をファーストゴロに打ち取り、自らベースカバーに入って一塁ベースを踏み、プロ野球史上86人目のノーヒットノーランを達成。シーズン4人目のノーヒッター誕生は、79年ぶりの快挙達成でした。

  
 
【プロ野球 湯浅克己投手】

 今シーズン、プロ4年目にしてブレイクした阪神タイガース・湯浅投手、23歳。6月24日、甲子園球場で行われた中日戦で、同点に追いつかれた8回、1アウト二塁の場面で登板。このピンチを冷静に抑えると、直後にチームが勝ち越しに成功、湯浅投手に嬉しいプロ初勝利が舞い込みました。しかしここに至るまでに、湯浅投手は度重なるケガに苦しみ、その都度、乗り越えてきたのです。福島県の名門・聖光学院に入学直後から腰痛に悩まされ、本格的なピッチングを始められたのは2年生秋のことでした。努力の甲斐あって最速145キロを投げるまでに成長しましたが、3年夏の甲子園ではベンチ入りメンバーから外れ、高校最後の夏は甲子園のスタンドで仲間の戦いを見守りました。卒業後は、独立リーグの富山GRNサンダーバーズに入団。そこで、現ヤクルト投手コーチの伊藤智仁さんに出会います。つきっきりの指導を受けてフォーム改造と筋力強化に取り組み、最速151キロを計測するまでになった湯浅投手。1年後の2018年、ドラフト6位で阪神に入団したのです。
 しかし期待に胸躍らせたルーキーイヤーの19年、 腰椎の疲労骨折を2度も発症。プロ入り後もケガとの戦いを強いられ、2年間、1軍のマウンドには立てませんでした。転機となったのは、今年の春季キャンプです。憧れの藤川球児・球団特別補佐から直接指導を受け、開幕1軍へとつなげました。湯浅投手は4年目にしてやっとつかんだこのチャンスを逃さず、中継ぎとしてフル回転し、前半戦だけで37試合に登板。こだわって磨いてきた150キロ台のストレートを武器に、セ・リーグトップのホールド数を記録し、オールスターゲーム出場も果たしたのです。
  

  
【プロ野球 佐藤奨真投手】

 千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希投手の出現で、160キロ台を投げるピッチャーも珍しくなくなったプロ野球界。そんな中、ストレートは最高140キロ前後ですが、80キロ台の変化球も操り、50キロ以上の緩急の差でバッターを手玉にとっているのが、同じ千葉ロッテの育成出身である佐藤投手です。大学時代の平均球速は130キロ台の中盤。それでも、全国から好素材が集まる専修大学で2年生の時からエースを務めました。3年生の春には、2部リーグで6勝を挙げリーグMVPを受賞。これが評価され、2020年に育成ドラフト4位で千葉ロッテに入団したのです。
 ロッテの野球教室に参加するなど、少年時代からロッテファンだった佐藤投手。憧れのユニフォームに袖を通し、まずは2軍で安定したパフォーマンスを見せます。そして2年目の今シーズン、開幕直前に支配下契約を勝ち取り、3月31日には早くもプロ初登板を果たし、5月14日には初先発のチャンスもつかみ取ります。オリックスのエースで、同学年の山本由伸投手と投げ合いプロ初黒星を喫しましたが、6回を2安打1失点に抑える好投。首脳陣から評価される内容で、本人も手応えをつかみました。1ヵ月後の6月12日、横浜DeNAとの交流戦で先発した佐藤投手は、最速139キロのストレート、85キロの超スローカーブと、54キロ差の緩急を駆使してDeNA打線を翻弄。6回を2失点に抑える好投で、嬉しいプロ初勝利を挙げました。



【プロ野球 佐々木健投手】

 例年、強力打線が売り物の埼玉西武ライオンズですが、今年は投手陣がチームを引っ張っています。前半戦終了時点で、チーム防御率はリーグ1位の2.51。最下位に沈んだ昨シーズンのチーム防御率、リーグワーストの3.94から大幅に改善されていることがわかります。好調の投手陣を象徴する一人が、中継ぎで活躍するサウスポー・佐々木投手です。NTT東日本を経て、2020年にドラフト2位で西武に入団。2年目の今シーズン、前半戦は29試合を投げ、防御率は2.01。時にワンポイント、時にロングリリーフと、様々な場面で活躍を見せています。6月19日のオリックス戦では、味方が逆転した直後の5回に2番手でマウンドへ。ランナーを許したものの、主砲の吉田正尚選手をダブルプレーに仕留め、1イニングを無失点に抑えます。試合はそのまま西武が勝ち、佐々木投手は嬉しいプロ初勝利を手にしました。
 今シーズンは好調な佐々木投手ですが、1年目の昨年は厳しい結果に終わりました。即戦力として期待されながら、左ヒジの違和感で自主トレから出遅れ、一軍初登板は6月上旬でした。なかなか結果が出ないまま迎えた2度目の先発試合で、先頭打者の頭部へデッドボールを与え、わずか3球で危険球退場。先発投手が打者ひとりで退場したのは史上初、という不名誉な記録も作ってしまいました。そんな1年目のマイナスを取り戻すため今シーズン、佐々木投手はコントロールの改善とフォームの改造、さらにツーシームを習得。このツーシームが、今シーズンの飛躍の要因となります。左バッターには内角に食い込み、右バッターには外に逃げる変化が威力を発揮。狙ったように、バッターを内野ゴロに仕留めていきました。前半戦では20試合連続無失点も記録。チームにとってなくてはならない存在となっています。

  

来週のスポーツ伝説は……

8/22(月) プロ野球 ライアン・マクブルーム選手
8/23(火) プロ野球 アダム・ウォーカー選手  
8/24(水) プロ野球 山崎晃大朗選手
8/25(木) プロ野球 牧原大成選手
8/26(金) プロ野球 増田陸選手

お楽しみに!!
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