スポーツ伝説

7月5日~9日の放送内容

【ラグビー 福岡堅樹選手】

 5月23日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたジャパン・トップリーグ決勝。日本選手権を兼ねたこの試合は、パナソニック・ワイルドナイツがサントリー・サンゴリアスを31対26で下し、トップリーグでは5度目、日本選手権では6度目の優勝を飾りました。このシーズンを最後に引退することを決めていたパナソニックの福岡選手にとっては、ラグビー人生最後のゲームです。前半30分、スタンドオフの松田力也選手からのロングパスを、左隅ギリギリにダイビングトライ。この現役ラストトライで優勝に貢献した福岡選手は、高校・大学・社会人を通じて自身初の日本一となり有終の美を飾りました。
 祖父が内科の開業医、父が歯科医という家庭で生まれ育ち、幼いころから医師に憧れてきた福岡選手は、ラガーマンとして頂点に立つ夢と医師になる夢の両方を追い求めてきました。福岡選手は今年2月、28歳で順天堂大学医学部に合格。当初は2020年の東京オリンピックに7人制ラグビーの日本代表として出場することも夢に描いていましたが、オリンピックが1年延期となったため断念。その代わり、現役最後の試合を優勝で飾ろうと決意し、最高の形で競技人生のフィナーレを飾りました。
  


【バスケットボール 富樫勇樹選手】

 B1リーグの頂点を決める、チャンピオンシップ決勝。2020-21シーズンは、2度目の優勝を狙う東地区1位・宇都宮ブレックスと、初優勝を目指す東地区2位・千葉ジェッツの対決になりました。決勝は3試合制で、先に2勝した方がシーズン王者となります。これまで2度決勝に進出し、いずれも苦杯をなめてきた千葉ジェッツ。3度目の正直と、必勝を期して臨みました。その中心となったのが、司令塔のポイントガードであり、このシーズンからキャプテンに任命された27歳の富樫選手です。
 身長167㎝、 B1で最も小柄なプレーヤーながら、持ち前の闘争心でチームを牽引。初戦は最終クォーターで富樫選手が連続得点を決め、千葉ジェッツが勝利。続く第2戦は宇都宮ブレックスが圧勝し、1勝1敗のタイに。優勝の行方は、最終第3戦に持ち越されました。勝った方がチャンピオンとなる大一番。ところが、富樫選手は第1クォーターでいきなり2つのファウルを犯してしまいます。出場時間が限られる中、富樫選手は第1クォーターだけで、7得点4アシストを記録。勝負は最終クォーターまでもつれた末、富樫選手の気迫のプレーが実を結び、千葉は71対62で勝って悲願の初優勝を果たしました。


 
【サッカー 鎌田大地選手】

 鎌田選手は現在、24歳。まだ若手ではありつつも、無名時代が長かったからこそ、さまざまな経験を糧に少しずつステップアップを重ねてきました。ジュニア時代は、ガンバ大阪のユースチームに昇格できず、高校のサッカー部でプレー。世代別の代表経験もありません。しかし2015年、サガン鳥栖でJ1初出場を果たすと、その試合でいきなりゴールをマーク。18歳9ヶ月での初ゴールは、クラブ史上最年少記録でした。そんな鎌田選手の名前が一気に注目されたのは17年。20歳でドイツ・ブンデスリーガの名門フランクフルトと契約したときです。ただし名門クラブであるがゆえに、なかなか出場機会に恵まれませんでした。移籍2年目の18年、ベルギーのクラブにレンタル移籍。ここで鎌田選手は腐ることなく、リーグ戦12ゴールという結果を残しました。自信をつかんだ鎌田選手は、1シーズンでフランクフルトに戻ると、今度はレギュラーで活躍し始めます。
 着実に経験を重ねた鎌田選手は20年、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント・ザルツブルク戦で大活躍を見せます。まずは前半12分、相手キーパーの股間を通す技ありシュートで先制すると、前半終了間際に追加点。後半にはヘディングシュートで3点目を挙げ、ハットトリック達成。ヨーロッパリーグでは南野拓実選手に次ぐ日本人2人目の快挙でした。2019-20シーズンは、相手を手玉に取るような鮮やかなドリブル突破が光り、ついた異名は‟魔術師”。公式戦で合計10得点を挙げ確かな成長を見せました。続く2020-2021シーズンは、今度はアシストでも結果を残します。32試合の出場で5得点、リーグ3位となる12アシストを記録。ドイツ1部リーグでは、清武弘嗣選手の日本人最多10アシストを塗り替えました。



【サッカー 遠藤航選手】
 
 5月まで行われたドイツ・ブンデスリーガで、シュツットガルト所属の遠藤選手が快挙を成し遂げました。相手選手と1対1でボールを奪いあった時の勝利数を意味する「デュエル・ランキング」で、堂々リーグ1位に輝いたのです。もはや日本代表だけでなくドイツでも、中盤の要ボランチの第一人者となった遠藤選手ですが、そのキャリア形成の影では様々な挫折も味わってきました。2016年のリオ・オリンピックでは、遠藤選手はキャプテンを務めましたが、結果は1次リーグ敗退。2年後のロシアワールドカップでは、初のワールドカップ代表メンバー選ばれるも一度もピッチに立つことはありませんでした。その悔しさを晴らすべく、ヨーロッパ移籍を決意。18年の夏にベルギーリーグに移籍すると、デビュー戦でいきなりゴールを決めてみせたのです。
 19年からドイツのシュツットガルトに移籍した遠藤選手は、安定した守備とマイボール時に試合の流れを落ち着かせるパフォーマンスが高く評価され、レギュラーの座を勝ち取ります。ドイツのメディアから‟日本のボディカード”‟ミスター信頼”と命名されるほど、チームにとって欠かせない存在になりました。当時、ブンデスリーガの2部所属だったチームを1部昇格に導き、チームでただ1人、2部のベストイレブンにも選ばれた遠藤選手。2020-21シーズン、初めて経験する1部でもリーグ戦34試合のうち33試合で先発出場し、チームの中心として活躍します。身長178㎝と、屈強な選手ばかりのブンデスリーガでは小柄にもかかわらず、1対1の競り合いを挑み続け、リーグの‟デュエル・キング”となったのです。



【サッカー アントワーヌ・グリーズマン選手】 

 2016年に開催された前回のサッカー・ヨーロッパ選手権フランス大会で、地元優勝を目指していた若きエースがグリーズマン選手でした。このとき25歳。伸び盛りのグリーズマン選手は、まずはグループリーグのアルバニア戦で大会初ゴールを挙げ、チームを勝利に導きます。グループリーグを突破し、迎えた決勝トーナメント・アイルランドとの初戦では、グリーズマン選手はさらなる活躍を見せます。1点を追いかける後半、ヘディングでゴールを決め同点に追いつくと、その3分後、今度は左足を振り抜き逆転ゴールを決め、フランスが勝利を収めます。その後も、準々決勝のアイスランド戦で1ゴール2アシスト。準決勝はドイツとの大一番に2ゴールと、フランスの決勝進出に貢献します。グリーズマン選手はここまでに6ゴールを記録。ユーロでの1大会6ゴール以上は、1984年大会で9ゴールを決めたフランスの英雄、ミッシェル・プラティニ選手以来史上2人目の快挙でした。
 決勝の相手は、クリスティアーノ・ロナウド選手を擁するポルトガル。ロナウド選手も、ここまで3ゴール3アシストと絶好調で勝ち上がってきました。グリーズマン対ロナウドのエース対決が注目となった一戦でしたが、前半25分、ロナウド選手がフランスの選手との接触で左ヒザを負傷。これで俄然有利になったフランスでしたが、グリーズマン選手は激しいマークにあい、試合は0対0のまま延長戦に突入。最後は延長後半4分、途中出場のポルトガル代表エデル選手のゴールが決勝点となってポルトガルが優勝。グリーズマン選手は、あと一歩のところで地元優勝を逃しました。しかし大会6ゴールの奮闘が讃えられ、MVPと得点王にあたる「ゴールデンブーツ賞」とのダブル受賞を果たし、ヨーロッパサッカー史にその名を刻みました。



来週のスポーツ伝説は……

7/12(月) 陸 上  金井大旺選手
7/13(火) ゴルフ  全米女子オープン2021
7/14(水) サッカー 久保建英選手
7/15(木) サッカー 板倉滉選手
7/16(金) サッカー 中山雄太選手

お楽しみに!!
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