スポーツ伝説

6月14日~18日の放送内容

【プロ野球 中野拓夢選手】

 今年の阪神は、3人のルーキーがチームを盛り立てています。開幕からホームランを重ねるドラフト1位の佐藤輝明選手。先発陣に名を連ねる、2位の伊藤将司投手。そして堅実な守備とバッティング、俊足ぶりが際立つ、24歳の中野選手です。ドラフト6位という順位もあり、開幕前の注目度は決して高くありませんでしたが、アマチュア球界では知られた選手でした。高校は日大山形。2年生夏の甲子園で、山形県勢初のベスト4進出に大きく貢献します。その後進学した東北福祉大学では、4年間でベストナインを3度受賞。4年生春には大学選手権に出場し、決勝戦で勝利に導くタイムリーを放つなど、チーム14年ぶり日本一の立役者となりました。社会人時代は、三菱自動車岡崎で1年目からショートのレギュラーを獲得し、秋の日本選手権で打率4割2分1厘と、得意の守備だけでなくバットでも存在感を示し続け、ドラフト指名へとつなげたのです。
 プロ1年目の今シーズン、開幕一軍を勝ち取った中野選手は、まず代打や代走などでアピール。4月10日の横浜DeNA戦でついにスタメン出場のチャンスを掴むと、起用にみごと応えてみせました。守備でファインプレーを見せたかと思えば、打っては初打点と初盗塁を記録。また5月4日のヤクルト戦では、待望のプロ初ホームランと共に、プロ初となる3安打猛打賞も記録。その後も打率3割近い数字を維持するなど、チームを盛り立てています。



【プロ野球 伊藤将司投手】

 即戦力左腕として注目を集めた阪神タイガースのルーキー・伊藤投手。その期待通りに開幕ローテーションの座を勝ち取ると、プロ2試合目で早くも結果を残します。4月7日、甲子園球場での巨人戦に先発すると、毎回ランナーを背負いながらも落ち着いたピッチングで7回1失点。セ・リーグの新人投手では一番乗りとなるプロ初勝利を挙げました。
 横浜高校では左のエースとして甲子園に出場した伊藤投手。その後進学した国際武道大学でもエースとして活躍し、侍ジャパン大学代表にも招集されます。ところが大学4年生で迎えたドラフトでは、ヒジの故障もあってまさかの指名漏れ。その悔しさを糧に、社会人野球の名門・JR東日本で投球術を磨くとともに、筋力強化に励んだことで、即戦力左腕としての評価を高めました。ストレートの最速は140キロ中盤と決して速球派ではありませんが、コースに投げ分ける正確なコントロールと、多彩な変化球を駆使して相手バッターを翻弄します。伊藤投手は初勝利から無傷の3連勝を記録。阪神の新人投手で無傷の3連勝は37年ぶり、左投手では67年ぶりの快挙でした。

 
【プロ野球 廣岡大志選手】

 廣岡選手は、ヤクルト入団時から“和製大砲候補”と呼ばれ続けてきました。奈良の強豪・智弁学園では、高校通算25本のホームラン。高校の1年先輩、のちに巨人の4番を任されることになる岡本和真選手以上とも評された実力と将来性を買われ、2015年のドラフト2位でヤクルトに入団します。すると1年目の16年9月、横浜DeNA戦でスタメンデビュー。その第一打席でプロ初ホームランを放って周囲を驚かせました。セ・リーグ高卒新人の初打席初ホームランは56年ぶり、しかも浜の番長・三浦大輔投手の引退試合だったこともあって、大きな話題を集めました。4年目の19年には自己最多の91試合に出場し、初の2桁となるホームラン10本を記録。しかし今年、勝負の6年目を迎えた矢先、巨人へのトレードが急遽発表されました。
 電撃トレードのきっかけは、キャンプ終盤の巨人とヤクルトの練習試合。廣岡選手は、巨人のドラフト1位・平内龍太投手からホームランを放ち、その放物線を見た原監督からラブコールが届いたのです。そして迎えた今シーズン、廣岡選手の見せ場は開幕直後に訪れます。4月4日、古巣・ヤクルト戦の7回、同点ながらツーアウト・ランナー三塁と一打勝ち越しのチャンスで代打を任されると、移籍後初ヒット。これが決勝タイムリースリーベースとなりました。さらに4月13日の中日戦では、またも同点の場面で相手エース・大野雄大投手から、待望の移籍後初ホームランとなる決勝アーチを放ちます。これは原監督も絶賛する価値ある一発となりました。



【プロ野球 松原聖弥選手】
 
 巨人のトップバッターとして活躍する松原選手は、明星大学で首都大学2部リーグのベストナインに5シーズン輝くも、2016年のドラフトでは指名されず。育成ドラフト5位で巨人入りし、滑り込みでプロへのスタートラインに立ちました。約1年半の育成期間を経て、18年に支配下選手となり、昨年ついに1軍デビュー。8月中盤からはライトのポジションに定着し、その守備でチームのピンチを救う伝説のビッグプレーが生まれます。8月27日の東京ヤクルト戦、4回ツーアウト三塁の場面で、高梨裕稔選手の打球が松原選手の守るライト前へ。その打球を捕球すると、迷わずレーザービームで一塁に送球。ライトゴロに仕留めて失点シーンを防いだのです。実はこの時松原選手は、打球方向を予測して前進しつつライト線に数歩寄って守備位置を変えていました。しかも一塁の中島選手に「ライトゴロ行きます」と事前に伝えていたといいます。このプレーに原監督も「満塁ホームランに値するくらいのワンプレー」と称賛しました。
 今シーズンの開幕当初は、DeNAからFA移籍してきた梶谷隆幸選手が1番を担っていました。しかし打撃不振に伴い打線が入れ替わり、松原選手が1番に。4月10日の広島戦では、勝ち越しの1号ソロホームラン。15日の中日戦では、セ・リーグの育成出身として初となる先頭打者アーチを放つなど3打点の大活躍を見せました。松原選手は、4月の月間打率3割1厘をマークしています。



【プロ野球 塩見泰隆選手】 

 帝京大学から社会人野球を経て、2017年のドラフト4位で東京ヤクルト入りを果たした塩見選手。その武器は、足の速さと一発のあるバッティングです。50m走は5秒9、大学時代には野球部の練習場が神奈川県相模原市内の山間部にあったため、よく野生のイノシシを追いかけ回していたといいます。即戦力を期待されて、背番号「9」を託されましたが、過去3シーズンは主に二軍生活。18年の台湾でのウィンターリーグでは首位打者、翌19年秋のフェニックスリーグではホームラン王に輝くなど、二軍では結果を残してきました。しかし一軍に上がると実力を発揮できず、“二軍の帝王”“イースタン・リーガー”と揶揄されることもありました。
 3年連続で開幕一軍入りを果たした塩見選手。今年こそ一軍定着を目指す戦いが始まりました。そんな矢先、チームに新型コロナが襲い、3月31日のDeNA戦の前に一軍メンバーが離脱。チームの柱・山田哲人選手も濃厚接触者の疑いで抹消されてしまいます。この緊急事態に3番を任されたのが塩見選手でした。塩見選手はその期待に応え、3回に先制の2点タイムリーヒット、5回にもタイムリーを放つ3打点の活躍でチームの連勝に貢献。主力が抜けた状況を前向きにとらえ、その穴を見事に埋めました。

 

来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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