スポーツ伝説

12月7日~11日の放送内容

【体操 内村航平選手】

 今秋、イギリスのグラスゴーで開催された体操の世界選手権大会・男子個人総合で、内村選手が自身の史上最多記録を更新する6連覇を達成。団体でも37年ぶりの優勝を果たしました。いつもはポーカーフェイスの内村選手も「達成感がいつもと違う。日の丸を2回もあげられたのは初めてだったので」と大興奮でした。
 内村選手はオールラウンダー。世界的に見ても、10年に1人現れるかどうかという稀有な存在です。今回の世界選手権では、団体・個人総合・種目別鉄棒の3冠を達成。通算で世界選手権の金メダル10個、銀メダル5個、銅メダルが4個で合計19個。オリンピックを合わせた世界大会でのメダル獲得数を24個とし、監物永三さんの日本人最多に並んでいます。本人は2020年の東京オリンピックまで競技するとの目標を掲げていますが、体操選手のピークは世界的に25歳。内村選手は来年1月3日に27歳の誕生日を迎えます。まずは世界選手権の活躍で、2016年のオリンピック代表に内定。魅せることにこだわり続け、あくまでも「美しい体操」「楽しい体操」を目指します。 
 


【大相撲 御嶽海久司関】

 11月場所初日、新入幕の御嶽海関が豪風関を豪快な突き出しで下し、白星スタートをきりました。アマチュア時代に獲得した個人タイトルは15。鳴り物入りで幕下付け出しデビューを飾り、所要4場所で幕内に昇進しました。このスピードに追い付かなかったのが、髪の長さ。ざんばら髪で土俵に上がりましたが、長野県出身の力士は43年ぶりの新入幕とあって、地元では号外も。実は平成になってから唯一、関取を出していなかった都道府県が長野県。郷土の英雄として、“木曽の星”のニックネームもつけられています。
 大学時代は4年生で学生横綱・アマチュア横綱のビッグタイトルを筆頭に、個人15冠を達成。ところがプロ入りの意思はまったくなく、卒業後は実業団の強豪・和歌山県庁に就職することが内定していました。それを強引に口説き落としたのが、元幕内・小城ノ花の出羽海親方。2014年2月に11代出羽海を襲名した親方にとって、部屋の再興は緊急課題でした。2010年に普天王関が幕下に転落したことで、1898年以来、常時部屋にいた関取がいなくなり、112年間も続いていた看板が失われたのです。そんな逼迫した状況下での、必死のスカウト。親方の情熱が固い決心を動かし、楽しみな日本人力士が登場することとなったのです。
 
 

【プロ野球 高橋博士選手】

 日本ハム・ファイターズの高橋選手は、かつて1試合で全部のポジションを守った日本唯一の選手。1964年に南海にキャッチャーとして入団しましたが、プロの現実にいきなり直面しました。南海のキャッチャーのポジションには野村克也捕手がおり、攻守ともに敵いそうにありません。そんな時、「内野手をやれ」とのアドバイスを受け、血のにじむような苦労の末に、内野をすべてこなせるオールラウンダーとして生まれ変わりました。71年のオールスターでは、ショートでファン投票1位に輝きながらも、試合では3塁手や2塁手で起用されたという異例の選手です。
 転機が訪れたのは、72年の東映へのトレード。その後、親会社が日拓、日本ハムへ移り、ついに伝説の74年がやってきます。前年オフに日本ハム・ファイターズが発足し、三原脩さんが球団社長に就任。すると三原社長と中西監督は、ファンサービスのために高橋選手に奇想天外な指示を出しました。スタメンは3番・1塁ながら、イニングごとにポジションを次々と替えたのです。ファーストからキャッチャー、3塁、ショート、2塁、レフト、センター、ライトと8つのポジションを無難にこなし、9回にはマウンドへ。メジャーリーグでもそれまでに2度だけあったという、日本初の1試合全ポジション出場を見事に達成しました。
 


【プロ野球 細川亨捕手】

 圧倒的な強さで日本一連覇を成し遂げた福岡ソフトバンク・ホークス。日本シリーズでターニングポイントとなったのは、10月28日の第4戦でした。ソフトバンクの先発は、摂津正投手。投手出身の工藤監督は、先発投手に合わせて3人のキャッチャーを使い分けており、摂津投手とバッテリーを組むのは細川選手の役目でした。摂津・細川コンビは、同じ東北出身で相性抜群。2人だけの会話はそれぞれのお国言葉で話すため、他の選手にはさっぱりわからないのだとか。そんな細川選手は、第4戦が今シリーズ初の先発出場。3回にタイムリーツーベースを放つと、6回にはヤクルトの戦意を喪失させるようなソロアーチを放ちました。実は今シーズン、2002年のルーキーイヤー以来の本塁打0本。かつて野村克也さんが「捕手は一流。でも打者では2流以下」と評したように、プロ入り後の最高打率は、西武時代の2割3分9厘。ここ4年間は、打率1割台が続いていました。しかしリードは超一流。「裏の裏をかく」という独特の思考法で、コンビを組む投手の癖を指摘し矯正させる能力など、首脳陣から絶大な信頼を得ています。
 


【プロ野球 山田哲人選手】

 今シーズン、トリプルスリーを達成した東京ヤクルト・スワローズの山田選手。10月27日の日本シリーズ第3戦では、3打席連続本塁打を放っています。シリーズ3打席連発は、1970年に巨人の長嶋茂雄選手が記録していますが、この時は2試合にまたがってのものでした。山田選手が記録した1試合3本塁打は、ミスターを超える史上初の快挙なのです。
 ヤフオクドームのシリーズ1・2戦は、7打数1安打とさっぱりの結果。移動日には、福岡空港で遭遇した横浜DeNAの中畑前監督から、「しっかり振り切っていない。左中間へ打て」と檄を飛ばされるひとコマもありました。しかし師匠ともいうべき杉村チーフ打撃コーチは、「山田は神宮に帰ったらティーバッティングも含めて、通常のルーティンができる」と大爆発を予言。実際に今季のレギュラーシーズンでのホームラン38本の内、23本は本拠地の神宮で打ったもの。どうやら神宮球場は、山田選手にとってのパワースポットであるようです。
 


来週のスポーツ伝説は……

 12月14日(月) ラグビー 五郎丸歩選手
 12月15日(火) サッカー 香川真司選手
 12月16日(水) プロ野球 大谷翔平投手
 12月17日(木) プロ野球 鈴木康二朗選手
 12月18日(金) プロ野球 マイク・ラインバック選手

                       以上の5選手をご紹介します。
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