3月29日
■関西独立リーグ・神戸9クルーズ 中田良弘監督■
山本  プロ野球開幕に先駆けて、3月27日から
    「関西独立リーグ」がスタートしました。
    すでにおなじみの四国・九州アイランドリーグと、
    北信越を中心としたベースボールチャレンジリーグに続く第3の独立リーグです。
    和歌山の紀州レンジャーズ、大阪ゴールド・ビリケーンズ、
    神戸9(ナイン)クルーズ、明石レッドソルジャーズの4球団。
    来年は滋賀と三重の球団も参加する予定です。
    なかでも話題なのは、神戸9クルーズの、初の女性プロ野球選手・吉田えり投手。
    きょうは神戸9クルーズを率いる、中田(なかた)良弘監督に
    お電話でお話をうかがいます。

山本  はじめまして、よろしくお願いします。

中田  よろしくお願いします。

山本  まずは開幕戦、初勝利。おめでとうございます。

中田  ありがとうございました。ほっとしました。

山本  私たちにとっては中田さんはかつてドラフト1位で阪神に入団。
    和製トラボルタと呼ばれる二枚目で、85年には12勝を挙げて
    阪神の21年ぶりリーグ優勝と日本一に貢献した投手でした。

中田  はい、あの年は頑張りました(笑)

山本  今話題のサンダースおじさんが道頓堀に投げ込まれた年でした。

中田  あれは自分の娘が生まれた年だったんです。
    あれから何年と言われるたびに「あーあれからそんなに経つんだ」
    と思い出すので、いい年に子供が生まれたなと思います。

山本  中田さんは松坂大輔投手の大先輩、つまり横浜高校ご出身で、
    横浜の出身ですが、関西滞在は長くなりましたね。

中田  野球やめたら帰ろうと思ったんですが、長くなりました。
    こっちのほうが仕事しやすいんで(笑)

山本  もうすっかり関西人になっているのかというくらいです。
    そんな中で監督というご経験はこれまであったんですか?

中田  まったく初めてです。

山本  引き受けられるときはどんなお気持ちでしたか?

中田  そうですね、迷いましたけど、仕事も続ける上だったので。
    選手たちにちゃんと監督して伝えられるかという不安もありました。

山本  20代前半の若い選手たちがほとんどです。
    監督からの気持ちを若者たちに伝えていきますか?

中田  現役14年、解説で15年、プロ野球に携わってきましたが、
    神戸9クルーズの選手がどのくらいの力なのかわからなかったんです。
    会ってから話をしてみたいという気持ちがありました。

山本  27日にスタートしましたが、四国リーグの最多勝投手である、
    西川投手が初勝利をあげました。

中田  はい、やってくれました。うれしかったですね。
    去年、西川投手のビデオを見て、この子ならけっこういけるなという感覚はありました。

山本  選手は元ロッテとか社会人出身とかさまざまですね。

中田  野球に飢えているというか、純粋に野球がしたい選手が多いですね。

山本  開幕戦で盛り上がって、このリーグを立ち上げてよかったと思いましたか。

中田  よかったですね。選手たちに話を聞いたら、人間関係でやめたとか、
    志半ばで野球をあきらめかけた選手が多かったんです。
    実は僕も横浜高校から一度、亜細亜大学に行って一年でやめているんです。
    たまたま日産に先輩がいて、誘われて日産で続けたから阪神に入れたんですが、
    あの先輩がいなかったら野球をやめていたかもしれないんです。
    野球の世界は狭き門です。独立リーグはもっと野球をしたいという選手には
    いい場所だと思います。

山本  そういうご経験があるから、選手の気持ちもわかるんですね。
    誰もが聞きたい質問だと思いますが、吉田えり投手を開幕戦から投げさせましたね。

中田  本当だったらもっとじっくりやらしてあげたいんですが、
    ファンもメディアもみんなが期待しているんです。
    肩の故障もあって出遅れていたんですが、独立リーグをファンの方に
    知ってもらうためにも、「悪いけど投げてくれ」と頼みました。
    実戦登板もなく、ぶっつけ本番だったんで、いきなり四球を出しちゃったんですが。

山本  でもそのあと三振をとった相手は東海大甲府で甲子園ベスト4に進んだという選手。
    投げっぷりはいかがでしたか?

中田  立派ですね。その一言に尽きます。マウンドに行って「緊張しているか」と聞いたら
    「緊張してません」というんです。「そうなの?じゃ、大丈夫か?」
    「はい、大丈夫です」って感じでした。

山本  現代っ子というんですかね。

中田  そんへんの度胸は据わっていますね。

山本  ピッチングの内容はいかがですか?

中田  思ったよりいいですね。ナックルが。
    ナックルというのは変化が不規則で自分でもどこに行くのかわからないところが
    ありますが、精度を上げて自分の感覚を身につけたら結構勝負球になりますね。

山本  次回は4月5日、ホーム開幕戦、明石とのゲームだとか。

中田  (そう報道されていますが)僕は言っていないんですけどね(笑)
    どうやら本人が言っているみたいなんです。

山本  やる気満々ですね。
    これから7月まで土日祝日を中心に前期日程は36試合組まれています。
    どんな戦いをしていきますか?

中田  勝つことはもちろんですが、鍛えながら戦っていきます。
    調整も大事ですが、それをやっていたら今まで(のプロ野球)と同じなので。

山本  最後にうかがいます。監督の夢はなんでしょうか。

中田  NPB(プロ野球)に一人でも送り出すのが大きな夢です。

山本  中田監督の熱意と野球に飢えている選手の気持ちが結びついて
    実現することをお祈りしています。

中田  はい、頑張ります。





 
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