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【篠宮龍三・しのみやりゅうぞう】 プロフリーダイバー (2009年7月20日〜2009年7月24日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
今週のゲストは、プロフリーダイバーの篠宮龍三(しのみやりゅうぞう)選手です。
プロフリーダイバーとして世界の舞台で活躍する篠宮選手にお話を伺いました。


【篠宮龍三・しのみやりゅうぞう】
埼玉県出身1976年生まれ現在32歳
大学卒業後、本格的にフリーダイビング競技生活を始め
2003年第一回フリーダイビング日本選手権で優勝。
その後も国内外の数多くの大会で輝かしい活躍を飾る。
2001年よりフリーダイビング5種目で通算27個の日本・アジア記録を樹立。
2008年にはアジア人初の水深100m越えを達成し、
史上7人目となる100mダイバーの仲間入り、
世界トップレベルのフリーダイバーです。



【フリーダイビングについてお教えください】
細かく分けていきますと全部で8種類あります。プールで行うもの、海で行うものと分けられています。
基本的には息を止めて一息でどれだけ潜れるか?というスポーツです。
8種類ある中ではコンスタントという種目が得意です、イルカの尾びれのような三角形の一枚の足ひれをはいてドルフィンキックで海の中へ潜っていき“どれだけ深く潜れるか?”を競う競技です。
現在の自己ベストは105メートル、去年初めて100メートルを超えまして今年は105メートルに挑戦したんです。
なぜ105メートルという数字かと言いますと、映画「グランブルー」でおなじみで僕の憧れのダイバー・ジャックマイヨールさんが出した記録が105メートルだったんです、とても達成感がありました。
 〜105メートル潜ると時間にして何分ぐらいなんですか?
潜っていって水面に戻るまでで約3分です、動いている状態で3分間ですがじっと止まっている状態ならば8分間以上は止めていられると思います。
色々考えてしまうと脳が酸素を使ってしまうんです、実は一番酸素を使うのは脳なので“無心”の状態でいられるのが一番いいんです。
ですので、日本の武士道の精神やサムライスピリットに通じる部分が非常に大きいと思います。



【フリーダイビングとの出会いは?】
初めてフリーダイビングを知ったのは映画「グランブルー」を見たのがきっかけだったんです。
それを19歳の時に見まして「世の中にはこんなに美しいスポーツがあるんだ」と言う事を初めて知ったんです。
最初は大学の近くのダイビングスクールでスキューバダイビングを始めたんです、そのスクールにジャックマイヨールさんと知り合いと言う方がいたんです。
それでジャックさんとの交流の話を聞かせていただいたり写真を見せてもらい、もっとダイビングをやってみたいと思うようになって競技会に出るようになったんです。
その後大学を卒業してからは都内で会社員をしていました。
会社員をしながら毎週末伊豆の方へトレーニングに出かけていたんですが、実はその伊豆で1970年9月にジャックマイヨールさんは当時の世界記録76メートルを達成しているんです。
それで27歳の時にその記録にチャレンジしてみたら並べたんです、調べてみたらその当時でも世界歴代8位でもしかしたらトレーニングに専念していったら世界の頂点を獲れるのではないか?と思って会社を辞めてプロになったんです。
しかしフリーダイビングの認知度は低く周りは不安に思っていたようです、自分には全くそんな不安はなくこれで集中してトレーニングできる、と期待に胸を膨らませていました。



【最大の挑戦は?】
やはり100メートルを超える、と言う事でした。
フリーダイビングを10数年やってきて100メートルと言うのはフリーダイバーにとってとても重みのある数字なんです。僕のやっている足ひれだけで潜っていくコンスタントでは世界で10名しかいません。
100メートルの海の底は、光が届いていない状態で真っ暗です小さなペンライトの光だけが頼りです、音もないですし、重力もほとんど体感として感じられないので、海と言うより宇宙に行って帰ってくるという感じです。
水圧もかなりのものです、潜って5メートル10メートルぐらいで灰が圧迫されるような感じを受けます。水深100メートルでは計算上ですがリンゴぐらいの大きさに灰が縮んでしまうと言われています。
 〜ちなみに深さはどうやって計るものなんですか?
まずロープを陸上でピーンと張ります、その状態で1メートルずつマーキングをしていきます。前日に自分が何メートル潜るという事を申告しておくと、潜る当日そのロープには深度を証明するタグが付いてるんです、そのタグを引きちぎって水面まで戻ってくるんです。
タグまでたどり着けなかったり、タグを落としてしまったら記録は認められないんです。



【マイチャレンジソングは?】
4月の世界大会で105メートルと言うアジア記録を出したんですが、その時自分の気持ちを高めていく時に毎朝起きて聞いていた曲があるんですがそれがキマグレンさんのLIFEです。
毎朝ヨガをしているよ気に聞いていました。
ヨガはフリーダイビングにとても向いていると思います、まず落ち着いて潜るという事が重要なのでヨガでそういう気持ちを作っていけます。あと水圧がかかってくるときに非常に柔らかく受け止める胸やお中の柔軟性が必要なんです、そういったものを養うのに非常に向いています。
他にリラックスしたいときは、本を読むのが非常に好きなので遠征中は本をずっと読んでいます。
今は将棋の羽生さんの本が好きです、勝負に対するこだわりだったり、ただ勝ちを求めると言うだけでなく美しく勝つという哲学や美学があるんです、フリーダイビングもいかに美しく潜って勝つか、そういう事が大事なんじゃないかなと思います。
足ひれを自分の体の一部として海の中に溶け込んでいくような美しさのある潜りを追い求めていきたいですね。



【今後の大きな目標は?】
今、自分はジャックマイヨールさんの105メートルの記録に並ぶ事が出来たので、さらに深くジャックさんの行った事のない世界へ行ってみるのが目標です。
現在世界記録は122メートル、そちらも目標です。
自分が出場する大会は年間で2回か3回、それに合わせて大体6か月かけてコンディションを合わせていきます。
6か月のうち最初の2か月は陸上でのフィジカルトレーニング、そして徐々に水の中に入っていき息を止めるというトレーニングに入っていきます、最後の2カ月ぐらいは試合のある現地に行き少しずつ潜って深度を深め現地の海に体をなじませます。
世界中の海を潜ってきて感じたことがあるんですがよく“七つの海”って言いますよね?でも七つ海があるわけではなく海って全部一つにつながっているんです。
なので自分が汚せば、隣の国の海が汚れてしまいますしゴミをすれれば流れて行ってしまいます。
逆に自分の身近にある海をキレイにすれば一つの海が輝いてキレイになって行くわけです、やっぱりそう考えると一つの海を大事にしていかないといけないと思いまして、一つの海“ONE OCEAN”と言う事をどんどん発信していきたいと思います。


インタビューを終えて
フリーダイビングという競技を多くの人が知るきっかけになった映画『グランブルー』。

『イルカ人間』とも言われたジャックマイヨール氏の自伝をもとに撮られた海に魅せられた世界。

私も大学生の頃、この映画にはまって、何度も見ました。
篠宮選手は、19歳の時に出会ったこの映画によって人生が決まったんですね。
こんなに美しいスポーツがあるのか…と。

そして、今年、その憧れのジャックマイヨールと同じ105メートルという記録を達成。

さらに進化を続けています。

100メートルを身体ひとつで潜る…それはどんな世界なのか…音も光も無い世界。
お話を伺いながらとても想像力が掻き立てられました。

「名前の真ん中をひっくり返すと、『龍宮(りゅうぐう)』なんですよ」と爽やかに語って

くださった篠宮選手。きっと、陸とはまったく違う、私たちが知り得ない龍宮城の世界を
体験しているのでしょうね!!

(政井マヤ)




政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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