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【菊地奈々子(きくち・ななこ)】女子プロボクサー、元WBC女子世界ストロー級王者 (2009年9月21日〜2009年9月25日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
先週のゲストは、女子プロボクサーの菊地奈々子選手でした。
日本人女子プロボクシング選手として初めてメジャー団体の世界タイトル王座に輝いた菊地選手にじっくりお話を伺いました。



【菊地奈々子】(きくち・ななこ)
1975年神奈川県出身。
短大卒業後22歳の時にアニメ「あしたのジョー」に触発されボクシングジムに入会。
仕事の都合でボクシングからしばらく遠ざかるも2002年に復帰。
2003年、プロデビュー戦で初勝利。
2004年、デビューから無傷の5連勝で日本ミニフライ級タイトル王座を獲得。
2005年11月WBC女子世界ストロー級タイトルマッチ獲得。
現在は、世界王者奪回に向けてトレーニング中。





【ボクシングとの出会いは?】
22さいの時にアニメ「あしたのジョー」が一挙放送をしていまして、それをたまたま見てハマってしまい瞬間的に『これはやらないと』思ったんです。
普通だったらカーロス・リベラとの戦いだったり力石徹との戦いだったりするんでしょうが、私はもっと前のジョーが少年院にあたりからもうすでにやろうと思っていました。
学生時代はバドミントンをやっていたんですがそんなに一生懸命やっていたわけではなく、高校卒業してからも運動はしていなかったので本当に突然のスポーツですね。
それでいつも電車に乗っているところから見えるジムに体験みたいな形で入り、週に3回〜4回ぐらい日曜日なんかも通ったりしました。
すっごく楽しかったのですが、当時はカメラマンのアシスタントの仕事もしていましてかなり時間が不規則だったので通える時と通えない時の差が激しくて8ヶ月位で通えなくなってしまったんです。
それで一度はやめていたんですが「ちゃんと出来なかったな」と言う思いがありまして26歳の時に年齢も年齢だしこれがラストチャンスかな、と思って意を決して再びボクシングを始めたんです。
最初は「もう一度ガンバロー」ぐらいに思っていたのですが、その時に指導してくれた方が初日に「日本一目指さないならば教えないよ」と言うぐらいに言われて、ホントに死ぬ気でやれ見たいな感じだったのですが、何も知らなかったので素直に「そういうものなんだ」と入って行けました(笑)



【最大の挑戦は?】
初めてのタイトルマッチがタイの刑務所の中で会ったんですけど、相手の方が更生カリキュラムの一環でやられている受刑者の方で外に出れないので刑務所の中にリングを作ってその中で試合をしたんです。
その試合は他の選手が出場できなくなってしまい私がピンチヒッターと言う形で出場、色んなところで探していたみたいで私が話をいただいたのが一週間前、ちょっとだけ考えたのですが「コレはチャンスだ」と2時間ぐらいで試合を受けることを決めました。
それで一週間後に行われたタイの試合は屋外でとにかく暑いし、刑務所ですから鉄格子がいくつもいくつもある所を通ってトイレを行くにも誰かがついてきてとにかく通常とは違う雰囲気でした。
とにかく完全なアウェーですけど絶対勝つという強い気持ちを持って臨みました。そしてホントに勝てた時は言葉にならないくらい嬉しかったですね。
実は母にはボクシングをしている事を言っていたんですが当時は父に言っていなかったんです、なのでこの世界タイトルを取ったことが新聞に載ってしまい「ウチの娘は何やっているんだ!?」となって「詳しく話しなさい」と言う事になりました(笑)



【最大の壁・挫折は?】
世界タイトルを獲った後初防衛は勝つ事が出来ました、そして次の対戦相手がアメリカのカリーナ・モレノ選手という選手で実は私がピンチヒッターで出場したタイで行われたタイトルマッチにもともと出場する予定だった選手なんです。
その選手はホントに強い選手で動きとか見た瞬間に群を抜いていて、結果は判定ですが完敗だったんです。
その後2カ月ぐらい悩みましたね「こんなに強い人がいるんだったら辞めた方がいいかなー」とか。
でも出した答えは「もう一緒に練習しちゃおう」と、一緒に練習したらどんな練習しているかもどういう事をやろうとしているかもわかりますし、ぜひ見てみたいと思って見学に行かしていただいたんです。
カルフォルニア州のワトソンビルという小さな町なんですけどそこに行きましてモレノさんのトレーナーの方に会って「一緒に練習したい」と伝え許可をもらい、それで3ヶ月間練習させてもらいました。
とにかくモレノ選手は練習量が多かったんです、私のトレーナーが「日本一になったら日本一練習をしなくてはならないんだよ、世界一になったら世界一練習をしなくてはならないんだよ」と言っていたのですがまさにその通りで、練習時間も長くて集中してやられていましたし、あと筋トレをたくさんやられていて日本ではボクシング選手はあまり筋トレは多くやらないのでそうなんだ、と思いましたね。



【チャレンジソングは?】
私の入場曲なんですけどアニメ聖闘士星矢のオープニングソングのペガサス幻想です。
2戦目からこの曲で入場していたんですが、一度「この曲は卒業だ」と違う曲にしたんですけど今年6月の試合の時に「やっぱりこの曲が一番いい」と思いまして、もう一度この曲を使わせていただくようになりました。
この曲は、カメラマンのアシスタントしていたい時のカメラマンの方が「菊地コレで行け」と勧めてくれたんです。最初は「え!?」と言う感じだったんですけどDVDボックスを全部渡され「お前にはこの聖闘士星矢」が必要なんだと言われ半信半疑でDVDを見たらすぐにハマってしまって(笑)なんて良い曲なんだ!とこの曲を使う事にしました。
 〜カメラマンのアシスタントをしていたという事は当時はカメラマンになりたかったんですか?
そうですね、スポーツカメラマンになりたかったんです。
自分がカメラマンをやり始めたころは1〜2年ぐらい格闘技をリングサイドで撮らしていただいてて今は自分がリングの上に立っているわけですけど、リングの上から「あ、あの人知ってる!」と言う風にリングサイドに知っているカメラマンの方がいらして不思議な感じはしますね。
自分がリングの上で被写体となっている事は思ってもいませんでしたから。



【将来の目標は?】
今年6月に東洋太平洋というアジア地域のタイトルを獲る事が出来たので、次はもう一度世界チャンピオンを取ってベルトを巻く事です。
最大の目標は世界で一番強くなりたい、と言う思いがあるので、そうするとモレノ選手をフっと思い浮かべてしまうので最終的にはもう一度戦いたいと思いがあります。
私が一階級上がってしまったのですが、モレノ選手もいま一階級上げようとしているところみたいなのでまた戦える機会はあると思っています。
日本にも来ていただいて「こんなに強い女子のボクシング選手がいるんですよ」と言う事を日本のボクシングファンの方々に見ていただきたいというのもあるので、その為にも自分が世界タイトルを獲ってモレノ選手と日本で戦いたいですね。





インタビューを終えて
運動が大の苦手だったという少女が、22歳の時にアニメの『あしたのジョー』に触発されてボクシングをはじめる・・・そんな、それこそ漫画のようなストーリーで始まる菊地選手のボクサーとしてのハードデイズ。

はじめての世界の舞台は選手の欠場で急に決まったという、タイの刑務所で対戦・・・そして、そこで世界タイトルを勝ち取るという、とこれまた漫画のような展開。

殴られることで、顔に傷は絶えず、また生活とボクシングの両立の日々・・・小柄で素朴ともいえるまじめさをたたえた菊地選手のどこに、それほどの闘志が眠っているのか…インタビュー中、ずっと気になっていました。

帰り際に「コーチからは、”まじめに努力する”才能、そして”あきらめない”という才能があると言われたことがあります」と笑いながら話してくれた菊地選手。そうか、それが、答え!!ですね。まじめに努力し続ける才能、それこそが菊地選手の強さ。


王座に返り咲く日、またライバルであり、憧れでもあるというモレノ選手との日本で戦うその日まで…”あきらめず”にチャレンジするその姿を私たちにも見せてくださいね!!!応援しています。

(政井マヤ)





政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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