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【田中宏昌(たなか・ひろまさ)】陸上・十種競技 (2010年1月25日〜29日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
先週のゲストは陸上・十種競技のの田中宏昌選手です。
キングオブアスリートの称号を目指し戦う田中選手のチャレンジについて伺っています。

【田中宏昌】(たなか・ひろまさ)
山口県出身、1981年生まれ現在28歳。
高校時代から陸上をはじめ、円盤投げと槍投げの選手としてインターハイに出場。
日本大学に進学し、大学1年の秋から十種競技に取り組み大学4年時に学生日本一に輝く。
2004年から日本選手権大会で5連覇を達成
2007年には日本人の十種競技選手としては14年ぶりに世界選手権に出場。




【十種競技とはとは一体どのような競技なんでしょうか?】
その名の通り陸上の中の競技を10個行います。
走る競技が、100メートル、400メートル、1500メートル、110メートルハードル、
飛ぶ競技が、走り幅跳び、走り高跳び、棒高跳び
投げる競技が、砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ
この10種目を2日間かけて行い総合得点で競います。
海外ではデカスロンと呼ばれています、向こうの人達はもともとトライアスロンとかきつい種目が好きみたいですね。
一個の種目で一流を目指すよりなんでもできる選手の方が人気なのかな、と思います。
あと、僕が小さい子供たちにこの競技を説明する時には「スーパーマンだよ、なんでもできるんだよ」と言って説明しています(笑)
 〜一番きつい種目は何ですか?
やっぱり一番最後に行う1500メートルは体力を使っている状態なのできついですね。
見た目にはゆっくり走っているように見えるのですが実際には結構なスピードで1500メートル走りますし、僕はそれが一番きつい種目かな、と思いますけどね。
 〜一つの競技を専門的に行うのと、10種行う事で違う所はどこでしょうか?
走る、投げる、飛ぶ、と全然違う動きですので全然使う筋肉も違うので、バランスよく体を作ると言う事が他の種目と違う所だと思います。
それだけに十種競技で優勝した選手は『キングオブアスリート』と呼ばれるのでそれを目指してやっています。
しかも、十種競技を行いながらその専門の種目に出て普通に戦える選手もいるんですよ。



【十種競技との出会いは?】
高校1年から大学1年までは陸上の円盤投げとやり投げをやっていたんですけれども、大学1年の秋のインターカレッジで十種競技を生で最後まで見て「すごいな」という感じで自分も始めることにしました。
 〜どのような点に興味をひかれたのでしょうか?
その時にやっていた、やり投げ、円盤投げも競技に入っていましたし、一人の選手が10湖の種目をやって総合得点で争うという事に興味もありましたし、色んな事が出来ると言うのが魅力でした。 
 〜ちなみにやり投げ、円盤投げとの出会いは?
小学中学と野球をやっていて高校の時から陸上を始めたんですが、父親と兄弟が陸上をやっていたのですが、小さい頃に父親の試合をよく見に行っていたんです。
それで父はマスターズとしてやり投げ、円盤投げをやっていたので自分も陸上を始めた時は迷うことなくやり投げ円盤投げを選びました。
 〜そして大学で十種競技を見て、すぐに切り替えることが出来たのでしょうか?
そうですね、最大のチェンジしたきっかけが体つきですね、身長も176センチと大学生の投てき選手としてはすごく小さいほうなんですね。
元々いろんな種目にも興味はありましたし、なおかつ『キングオブアスリート』ですからね、文句無しです。
 〜10種競技は専門のコーチがいるんですか?
基本的にはいるのですが、僕の場合は一人でやっています。
大学では各種目に日本のトップの先輩がいてそれぞれに習ったというのもあるのですが、十種競技トータルとしては自分で一人で考えよう、と思ってやっています。
なので、他の大学に行っていたらどうなっていたのかわかりませんね
中でも棒高跳びと言うのが一番難しいというのを聞いていましたが、ちょうど一学年上に日本トップの澤野大地さんがいたのでみっちり基礎から教えていただきました。
棒高跳びは十種競技の中で一番得点が高いのでそこは強みでもあると思います。
今でも、練習や遠征などでは一つも一緒で本当にいいアドバイスを毎日のように貰っています。


【最大の挑戦は?】
十種競技を大学2年から始めたのですが、最初は大学チャンピオンになろうという目標に挑んだことですね。
そしてそれを達成した後は次に日本チャンピオンという形で、その年その年で目標設定をして次々に挑戦していきました。
それでもなんか順調にいきすぎたというか、大学2年で大学の大会で3位になり、3年生で2位、4年で大学で優勝して、社会人1年目で日本一になれたんです、
その時に「ここじゃないな」と自分の中で思ったのでそれがあったのでまだ続けているというのもありますね。
通過点と言うか、ここで満足したとは思いませんでしたね。
 〜そして昨年はアジアチャンピオンになられましたね、何が強みだったと思われますか
自分が思うのは怪我をしないことですね、ハードな種目ですし練習量も多く体に毎日負担をかけるので怪我がすごい多いんですね。。
ぼくが重視しているトレーニングは補強と言うのがあって、メインのトレーニングが終わった後に小さい筋肉を鍛えるんですが、僕はそれにプラスして体を強くしてケアするというのを頭に入れてやっています。
走る時に使う筋肉や投げるときに使う筋肉は大きい筋肉を使うんですね、それをつなぐ小さい筋肉をしっかり鍛えないと、大きい筋肉を使った時に切れてしまうんですね、そうなると怪我をしやすいので、大きい力を出しても小さい筋肉が切れない事を目指しています。



 〜大学4年間アルティメット漬けだったと思うのですが、卒業後の進路としては?
アルティメットに染まった4年間でしたので、もちろん社会人に進んでもやると言う事が前提だったので
その中で一番ベストの選択をするために、実業団チームである文化シヤッターバズバレッツに入ることは決めていましたね。
色んな昔からの夢もあったのですが、その中でもアルティメットを一番に取りました。
 〜そして2006年には文化シヤッターバズバレッツがクラブ世界一になられたんですよね
どんなスポーツでもそうだと思うんですが世界一になるということはめったにないと思うので、入社一年目からその瞬間にいれたという事は競技をやっていて幸せだと思いました。
 〜他の国はどこが強いのでしょうか?
アメリカが八勝で強いですし、その隣のカナダですね。ヨーロッパでもドイツやフィンランドでも盛んに行われているので強いというのもありますね。
 〜アメリカで生まれた競技ですが日本人のどんな所に向いていると思いますか?
俊敏な動きですね、細かいパスもそうですし、クイックネスと言うのが優れているのでそういう所からチャンスを広げていくというのは日本人の方が断然うまいですね。


【選手にとってのマイチャレンジソングは?】
試合前に必ず聞いているのはアップテンポな曲ですね
その中でもダディヤンキーファーギーが歌っているImpactoと言う曲があるんですけども、アップテンポですごいテンションが上がるので、試合までは必ず曲一曲です。
朝から晩まで試合はあって、それが2日間続くのでモチベーションを保つためにずっと曲を聞いています。
 〜それでは試合後はどのような感じに?
飲みに行って騒いだりとかもしてみたいのですが、もう体はぐったりしてすぐにでも寝たいという感じですね。
 〜普段はどのようなスケジュールで過ごしているのでしょうか??
今、所属は居酒屋をやっている「モンテローザ」というところ所属していて、陸上と仕事は両立という形で陸上の仕事をしていないときは居酒屋の店舗に出て接客の仕事をしています。
立ち仕事ですし、接客業でずっと気を張っていなきゃいけないのでこれはこれで大変ですけどデカスロンの選手ですから「なんでも出来る」と思ってやっています(笑)


【最後に今後の目標をお願いします】
来年2011年に行われる世界陸上、そしてその次の年に行われるロンドンオリンピックが最大の挑戦ですね。
そこにしっかり目標を合わせて、入賞して世界の8番以内に入れるように頑張りたいと思います。
 〜現在はどんな課題をもって臨んでいるのでしょうか?
苦手な種目もあるんですがやはり総合的に成長しないと大きく点を伸ばせません、それには近道にはないので各種目の底上げですね
 〜十種競技を観戦する時に面白さが伝わるポイントはありますか?
種目種目でトップを取る選手も変わってきますし、平均的に各種目で3〜4番手につけて得点を取る選手もいれば
華が他の種目と言いますが、この種目はこの選手が絶対に得点を取るというのもありますので、
各選手で得点の取り方も違いますから、順位の入れ替わりも一種目ですごく大きいんです。
あと海外の試合で多いのですがリーディングといって2種目目から現在トップの選手が1番のナンバーを付けるんでわかりやすいです。
その選手がその後どうなるのかも、リーディングの入れ替わりなどもありますので。
さらにその1番も選手同士で渡しあいをするんです、そういう点に注目しても面白いと思います。
 〜そして話は戻りますがロンドンオリンピックへの挑戦は最大の目標ですね?
十種競技でオリンピックに出場した選手が過去に一人しかいないんです。
それは東京オリンピックで自国開催枠で一人出場しただけで、それを抜けば自力で出場を決めた人はいないので第一号になりたいな、と言うのはありますね。
日本一になったら出場できるというわけではなく、基準ラインをクリアしてなおかつその年に日本一にならないといけないんです。
2012年は32才になるので一番いい時期なので出れられるようにがんばりたいですね。


インタビューを終えて
あまり詳しくは知らなかったこの競技の難しさと魅力。それを存分に伝えてくれた田中選手。

ヨーロッパでは特に人気があり、キング・オブ・スポーツとまで呼ばれる…。ひとつに長(た)けていることも素晴らしい個性だけれど、すべてに満遍なく長(た)けていることも、また類い稀なる個性、そう認めさせる奥の深いスポーツだと感じました。


メジャーな競技でないだけに十種競技専門の指導者がいない中で、自らを追い込み、練習をする日々…。「ケガをしないことが強さ」と、そのトレーニングの秘訣も明かしてくれましたが、陸上界のスーパーマンを目指す「気持ち」がもうひとつの強さの秘訣なのかもしれませんね!

(政井マヤ)


政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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