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【須田竜太(すだ・りゅうた)】カポエィラ (2010年2月1日〜5日オンエア)


毎週様々なアスリートをゲストにお迎えしてお送りしているスポーツリアルトーク。
この番組ホームページでは放送では触れることができなかった部分も含め、
インタビューの内容をお伝えしていきます。
先週のゲストはカポエィラの須田竜太さんです。
ブラジル生まれの格闘技・カポエィラの普及に努める須田さんにカポエィラの魅力、そしてチャレンジについて伺っています。


【須田竜太(すだ・りゅうた)】カポェイラ
東京都出身、1978年生まれの現在32歳。
本場ブラジルに何度も足を足を運び、カポエィラの洗礼を受け、
2002年にブラジルの団体「カポエィラ・テンポ」に入会。
その年に日本支部での活動をスタート。
以来、同団体でカポエィラの指導・普及に当たっています。

須田さんのブログはこちら
http://ameblo.jp/lyuuta/

カポエィラ・テンポのHPはこちら
http://www.capoeiratempo.com/




【カポエィラとは一体どのような競技なんでしょうか?】
言葉で表すのはなかなか難しく見てもらうのが一番なんですが、一言で言うならば『ダンスのような格闘技』という感じです。
元々は奴隷が自分の身を守るために生み出した護身術なんですが、音楽に合わせステップを踏みダンスにカモフラージュしながら派手な技を入れ練習していたんです。
なので今でもみんなで楽器を使って演奏したり、ポルトガル語の歌を歌って皆でコーラスをしたり手拍子をたたいたりして盛り上げてその中で踊るように戦うんです。
ブラジルではサッカーを路上でやっている子供たちがいますが、カポエィラもブラジルではそういう面もあって道場には行っていないけれどもなんとなくカポエィラができるよという子供たちがいっぱいいるんです。
ブラジルでは本当に文化ですし、国技みたいなものなんですよ。
 〜本日はスタジオに楽器もお持ちいただきましたが(↑画像参照)これはなんという楽器なんでしょうか?
これはビリンバウという楽器です、これだけでも弦楽器の音やリズムが刻めたり様々な音が出るんですよ。
 〜カポエィラは格闘技ということですが試合があって勝ち負けがつくのでしょうか?
そこが違って、上級者は相手を転ばしたりする技も使うのですがそれで「一本」と勝負が決まるのではなく、転んだところから格好よく立ちあがったり転んだと見せかけて逆に反撃して転ばせたりして続いて行くんです。
そしてお互いが満足したところで「お前なかなかやるな!」みたいな感じで終わって握手して、周りで見ていた人が「あいつのほうが上手だったな」とか「あいつは強かったけど、なんか空気を読まない感じで戦っていたな」とか評価するという感じです。
芸術点みたいなものもある、というそこがダンスっぽいところであったりします。
 〜すごく大変そうで男性がやるイメージなんですけども。
日本もブラジルもそうなんですが、男女関係なくそして幅広い年齢層の方がやっています。
蹴りを蹴る時、思いっきり蹴っているように見えるんですが上手に相手がよけられる様に蹴るんです。
相手を負かす事より、相手との調和を大事にして、歯車がかみ合うようにグルグルと蹴り合ってよけ合って行うので、体格差など関係なくできる所がいいと思います。


【カポエィラとの出会いは?】
僕が19歳の時です。色んなきっかけがあるのですが、「鉄拳」というゲームがあってその中にカポエィラのキャラクターがいてカポエィラを知ったのと、深夜に「オンリー・ザ・ストロング」というカポエィラで不良たちを更生させる、カポエィラ版スクールウォーズみたいな映画をやっていたんです。途中でカポエィラを交えたラブシーンもあるというわけのわからない映画だったんですけど(笑)それを見て「かっこいい、自分もやってみたい!」と思ったんです。
それでその時、僕はダンスをやっていたのですが、ストリートダンスの世界でも「カポエィラやばいぞ!」といった感じのうわさが広まっていて、習える場所があるという情報を手に入れたんです。後はそこに行って、そのままはまって、という感じですね。
 〜一番何に魅力を感じたのでしょうか?
パッと見スゴイ超人的な技が多いんですけど、一個一個の事をちゃんと教わって習ってみると少しづつ出来ていくんです、あの技とこの技ができたら一つ一つは簡単だけど凄い技に変化する、といった感じでそういうことが自分の体でどんどん体感できて、自分の体であんな事ができる、こんな事が出来るという事がどんどん見つかっていって、最初はそれが楽しかったですね。
 〜そして本場ブラジルへも渡られたことがあるそうですが、ブラジルにはじめて渡ったのはいつごろですか?
それは20歳のころですね、カポエィラをはじめて数ヶ月です。
カポエィラは格闘技でもあるので帯があるので、帯がほしいと思ったんです。
でも当時はブラジルから先生を呼べなかったんです、先生を呼べないと昇段式が出来ないんです。
「じゃあブラジルに行って取るしかない」ということになり何人かの仲間とブラジルに渡り昇段式で帯をとったんです。
 〜帯もあるという事でどういった格好でやられるのでしょうか?
Tシャツに、裾がちょっと広がっているジャージみたいなものを履くのですが、基本的には上下とも白なんです。その白の服を汚さないで戦うのが上手な人という事なんです。
転ぶと汚れも目立ちますし、けりが当たってしまうと足跡が付いてしまいますし、お尻が汚れている人は尻もちを良くついているんだな、とわかってしまうんです。
師範代の事をメストレというんですが、本場のスゴイ上手なお年を召したメストレの方には上下白のタキシードで来て汚さずに帰るなんて言う達人もいるんですよ。
 〜日本とブラジルで教え方に違いはありますか?
僕はブラジルの道場に行ける時は毎年行くのですが、向こうでの教え方はもっとアバウトなんです。
それは、ブラジル人がもともと持っているカポエィラのノリとか知識、子供のころから目で見て知っているというものがあるので。
でも日本人はちゃんと学ばなきゃダメだなと思って、僕は一つ一つ丁寧に日本人的に教えています。


【最大の挑戦は?】
カポエィラというスポーツ一本でやっていこうと決めたのが最大の挑戦です。誰も過去に例がない状態だったので。
 〜この決断はいつごろに決められたのですか?
22〜3歳の時に決めました。
 〜ご両親はなんとおっしゃられていましたか?
特には、勝手にやれば、といった感じですね、それまでもそうだったので。
 〜お父様が外交官でいろんな国を回られていたんですよね?
そうなんです、でもよく「親父の仕事でブラジルに行ったのか?」と聞かれるのですが全く無くて、カポエィラを始めてからポルトガル語を勉強して自分でブラジルに行った、という感じなんです
 〜ブラジルではカポエィラをする日本人に対する反応はいかがでしたか?
当時は相当珍しがられましたね、今は日本人も相当やっているのですが当時は全くいませんでしたから。
 〜そして日本支部を作られましたが、最初はどのような活動からスタートさせたんですか?
最初はコツコツと教室をやっていたんですが、そのうち地域のイベントに顔を出すようになって子供たちも増えていって、今は幅広い人たちが来れるような教室が出来て行きました。
やっぱり生徒が成長していく姿を見るのが今は一番楽しいですね。
最初は何もできなくて泣いていたような子供が、いまでは力強くカポエィラをして、他の団体のブラジル人の先生に「あの子供はいいね」とか「お前のところの生徒はいいね」と言われると、やっぱり嬉しいですね。
 〜これを一番大切に教えたいな、といったことはありますか?
やはり、自分勝手に動いてしまうとカポエィラにならないよ、という事ですね。
例えば、相手をやっつけたいと思ったらまっすぐ前に向かって蹴りを打っていれば相手は何もできなくて終わってしまうんですけれど、でもそれじゃあ面白くないよね、という事をわからせたいですね。
簡単に相手に当たるような蹴りで相手を追い詰めても全然面白くないでしょ、という事ですね。
美しく、そして調和を大事に、それが大切なんです。


【須田さんにとってのマイチャレンジソングは?】
Mr.Childrenフェイクです。
この曲のプロモーションビデオに参加したんです、これが大変だったんですけど顔にピンクのタイツを被るんです。
それを被って顔がわからない状態で演じたのですが、ピンクのタイツで薄くしか周りが見えないんです。
その状態でとび蹴りをするとか側方宙返りをするとかをしたのですごい大変でした。
GAKU-MCさんと桜井和寿さんの手を出すな!という曲のプロモーションビデオにも出演したのですが、これには顔は出ています(笑)
ワールドカップの時の応援ソングみたいな感じだったのですが、カポエィラの技を使ってボールを蹴るといった感じで面白い感じになっていますよ。
 〜カポエィラで極めたい、もっとこうした事をしてみたいという事はありますか?
まだまだ体が動くうちにいろんなアクロバットをやってみたいですね、他の誰もやったことのないようなアクロバットをしたいですね。
そしてそれを若い世代に教えたりして、須田竜太の開発したカポエィラの怪しい技がどんどんどんどん続いて言ったりしたら面白いですね。


【最後に今後の目標をお願いします】
最近舞台に出ることが多いので、カポエィラの技術を使って舞台で派手に動いてみたいな、と思っています。
 〜どのような舞台に立たれているのですか?
最近だと、和太鼓の舞台なんですがなぜかカポエィラが出てくるみたいな舞台があってそれに出ています。
カポエィラはもともといろんなモノが混ざって今の形になっているので、日本では日本の形もちょっと作ってもいいのではないかな、と思っています。
もちろん基本であるブラジルの教えはずーっと守りつつですね。
 〜日本支部の支部長としてはどういった活動をしていきたいですか?
やっぱりカポエィラの認知度をどんどん上げて生徒を大人も子供も増やしていきたいです、
あとは支部をもうちょっと作って行きたいですね、後輩をどんどん育てて自分みたいな先生が増えたらいいな、と思います。
 〜お子さんも指導されていることですが、子供を指導する上で気を付けていることはありますか?
やはり日本の子供というのは他のスポーツとかで「こうしないとダメ」と言われることが多いと思うんですけど、
カポエィラは基本の基本はちゃんと守ってほしいんですけど、ある程度できるようになったら結構自由なんですね。
ある技が好きだったら「その技をガンガン頑張りなさい」とか「この技が苦手だったらこっちの技をやれば」といった感じで好きなことを伸ばしてけるので、見てるほうも楽しいですよね、「あいつが出てきたぞ!あいつはあの技すごいからやってくれるかな」といった感じで。
カポエィラには楽器の部分もあるので、動きの部分ではかなわないけど歌では負けないよ!という子供もいたりします、自分の活躍の場を自分で見つけられるんです。
 〜そして失敗してもいいという事も教えているんですよね?
勝ち負けにこだわらないので、うっかり蹴りを失敗して転んだりしても転んだように見えないようにしてさりげなく技につなげてカッコ良く立ち上がれば全然OKですし、
もしも相手の蹴りをくらってしまったとしても、あてられて体勢が崩されながらもさりげなくクルっと回転して回転蹴りを出すとか、やられたように見えてやり返せばOKなんです。
やられたところで諦めたりしないで、失敗してもOKだよ、そこからどうするかが大事だよというところがあるので、そこはカポエィラのいいところですね。
 〜最後にカポエィラのどんなところをアピールして今後広めていきたいと思われますか?
まずはカポエィラはこんなにも楽しい全身運動だよ、という事を伝えたいですね。
そして踏みこんでいって文化としてのカポエィラ、カポエィラをやると人生こんな風に変わるよ、という事も伝えていきたいですね。
僕自身変わり続けてきて、元気になりましたからね、体的にも心的にも。


インタビューを終えて
飄々とした…そう表現したくなる方はこれまでのゲストの中にも何人かいらしゃったのですが、須田さんのそれはその中でもちょっと一筋縄ではいかないものを感じました。

負けが負けじゃない…そんなカポエィラ独特の哲学や美学を聞いて、納得。奴隷という過酷な歴史の中から生まれた、踊っているような格闘技。周囲で楽器をならし、手拍子を打ち、唄を歌う…その輪の中で人々と一体になって繰り広げられる闘い。うーーーん、深そう。

遠い国、ブラジルの神髄に魅せられたのは外交官のお父様の影響もあるのでしょうか?


本場ブラジルでもその実力を認めさせたという須田さん。日本で子ども達を教える時のことになると、大きな笑顔がこぼれました。楽器がうまい子、唄がうまい子、いろんな個性を「それでいい」と伸ばしてあげたい、とのこと。一見、力の抜けた、それでいて「強い」師匠なのでしょうね。
(政井マヤ)


政井マヤ
パーソナリティ:
政井マヤ
メキシコ生まれの元フジテレビアナウンサー。フジテレビ時代には、スーパーニュース、ワッツ!?ニッポンなど情報番組を主に担当。2007年3月に俳優の前川泰之さんと 結婚、女児を出産。2008年からスポーツリアルトークのパーソナリティを務めている。
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