淵澤:今週も野田聖子さんに「子育ての課題」
について伺っていきます。
きょうは「放課後等デイサービス」です。
自見:これは障害のあるお子さんに向けた学童保育のような
サービス全般を言います。
全国で16万人以上が利用されているとも、言われています。
マー君(野田聖子さんの息子さん)も、利用者ですか?
野田:はい。小学校は保育園と違って早く終わってしまいます。
普通の子供が学童保育に行って親の帰りを待つように、
障害児も同じ権利があっていいのではないかと言う事で、
「放課後等デイサービス」が始まりました。
でも、うちの子は毎日は行けません。
息子の場合は医療的ケア児で、
受け入れてくれる施設が、ほとんどありません。
(受け入れてくれる施設を)医療的ケア児が、
譲り合って使っています。
息子が行っているところは非常に前向きな先生がいて、
知的で、なおかつ医療的ケアで、なおかつ障害があっても
しっかり学習の面倒を見てくれます。
淵澤:どのようなこと、されるんですか?
野田:びっくりしたのは、
先生が「いま2年生の漢字を教えています!」って。
私が「うちの息子、一応知的障害なんですけど」と言ったところ
先生は大変、合理的な方で「いずれ大人になって漢字の看板を
見るようになる。平仮名の学習をやっている暇はありません!」
と。だから息子は「新幹線」を漢字で覚えています。
知的の障害児だから何もわからないだろうではなく、
わからないなりに出来る方法を探ってくれている先生の姿勢が
うれしいです。息子を親同様に想ってくれている人がいる!
ということだけで、親にしてみると心強いです。
自見:聖子先生が考える「子育てと社会のかかわり」について
教えて下さい。
野田:子育ては楽な作業ではありません。命を守る仕事だから。
でもしんどいからこそ得られる知恵や考えが、あります。
楽な時は何も得るものがない。
子供をしっかり育てなくてはならないという苦しい反面、
そこから生まれてくるモノというのは、後世、役に立ちます。
また今の仕事にも、我慢強さや、想定外に対応できるなど、
プラスになっていると思います。
お金で買えない喜び。まあうちの子の場合は特に。
歩けなかったことが、一歩踏み出したとか。
声を出せないはずが、声が出たとか。
それがやっぱり無上の幸せにつながって、
ストレスフリーになります。
私は50まで天涯孤独というか(笑)
結婚もしていたけど、基本的にはひとりで生きてきました。
本当にこの子と出会えて、負荷もかかるけれども、
私も解き放たれたというか。
自分らしく生きていけるようになったというか。
政治家という看板だけではなく「かあちゃん」という看板を
背負うことで、変なこだわりもなくなってきました。
まあ色々な生き方もあるけれども、若い人たちが思っているほど
(子育ては)大変なことばかりではないということを、
伝えたいです。