歩行体験もできる!チャリティ・ミュージックソンで盲導犬と触れ合おう

ラジオ・チャリティ・ミュージックソンでは、盲導犬のお仕事や視覚障害についてのお話を聞いたり、盲導犬と一緒に歩いたりできるイベント「盲導犬とふれあい歩いてみよう(協力・日本盲導犬協会)」がニッポン放送1階「視覚障害体験フロア」にて行われています。
12月24日の盲導犬デモンストレーションには、家族連れや夫婦、またお一人でチャリティ募金に訪れた方など、たくさんの方が集まり、日本盲導犬協会の方のお話に耳を傾けていました。

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■8月のホーム転落事故。悲しい出来事を再び起こさないために

盲導犬は目の見えない人や見えにくい人が街を歩いたり、飲食店や宿泊施設、病院などに行ったりするときの、大切なパートナーです。この盲導犬についての理解を深め、誰もが安心して暮らせる社会をつくることが、いま、私たちに求められています。

今年8月、東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害を持つ男性がホームから線路に転落してしまい、亡くなってしまう事故が起こりました。

盲導犬に対して、私たちはつい、目の不自由な人を助ける「万能なパートナー」という見方をしてしまいがちです。ですが、その認識によってこうした事故を防げず、悲しい結果につながってしまうこともあるのです。

「目の見えない、見えづらい方は、頭の中で地図を描いて歩いています。でも、駅のホームや交差点など、どこに何があるか地図を描きづらい場所があります。そんなときには、近くにいる人がぜひ声をかけて、お手伝いをしてください」

そう日本盲導犬協会の方は呼びかけていましたが、柱や点字ブロックの位置、またホームドアの有無などによって、目の不自由な方が安全な歩行がしづらい場所が、街にはたくさんあります。そんなときには、「盲導犬がいるから大丈夫」ではなく、周りの人が声をかけて、盲導犬と歩く人をお手伝いすることも大切なのです。

「盲導犬は、『ここに行きたい』と言えばどこへでも連れて行ってくれる、そんなスーパードッグではありません。盲導犬はハーネスを通して人と意思疎通を行いながら、ひとつひとつの作業を一緒に行うパートナー。万能な犬が何でもやってくれるわけではないのです」

悲しい事故を二度と起こさないために、危ない状況にある人や、困っている人がいたら声をかけ合っていく。私たち人間の間での、そんなちょっとした気配りが大切なのです。

■目の不自由な方をどうサポートすればいいの?

駅のホームなど危険な場所では、「危ないですよ」「大丈夫ですか」と声をかけるだけでも、悲しい事故を防ぐことにつながりますが、交差点で信号を渡るときや、段差の多い場所を歩くときなど、目の不自由な方が歩きにくい場所が街にはたくさんあります。

「そんな場所では、『赤いコートの方、大丈夫ですか』『盲導犬と一緒の方、お手伝いしましょうか』など、誰に話しかけているかわかるように、正面に向かって声をかけてあげてください」

急に腕を引っ張ったり、体に触ったりするのはマナー違反、聞こえるように話しかけてみてください、と日本盲導犬協会の方は話します。

「どうお手伝いをしたらいいかわからなければ、『どうしたらいいですか』と聞いてください。そうすれば『私の右側に来て、肘の上を持たせてください』など、どうしてほしいか教えてくれます。ちなみに、右側に立って肘の上を持ってもらい、半歩から1本ほど前を歩いて誘導するというのが、目の見えない方の歩行をサポートする基本的な動作となりますので、覚えておいてくださいね」

階段やエスカレーターがあるときには、「その先に上りの階段があります」「下りのエスカレーターに乗ります」など、段差があることだけでなく、上りか下りかも伝えることで、どう足を出したらいいかわかりやすくなるのだそうです。

また、盲導犬に出会ったら、こんなことにも注意してほしいと言います。

「ハーネスをつけている盲導犬は仕事中。触ったり、アイコンタクトをとったり、飲食物を与えたりということはしないでください。仕事中に盲導犬の気を引いてしまうと、犬の体の向きが変わってしまい、うまく歩行誘導ができなくなってしまいます。私たちは『優しい無視』と言っていますが、盲導犬は空気だと思ってもらえれば」

どんなにかわいいと思っても、お散歩中の飼い犬とお仕事中の盲導犬とは違います。目の不自由な方の安全を守るために、気を付けておきましょう。

■盲導犬と歩いてみたら……

イベントでは、盲導犬と一緒に歩行する体験もできます。体験では、アイマスクをつけて、左手にハーネスを持ち、コーンで仕切られた道を盲導犬と一緒にジグザグに歩きます。
体験参加者は、みなさんおそるおそる足を前に踏み出しながら歩いていました。
その様子を見ていると、普通の速度よりややゆっくり歩いているように思えても、
「思ったより歩く速度が速く感じられる」
とみなさん口々に話していました。そこで、本サイト記者も体験してみることに。

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「手は自然に下ろして、持ちやすい位置でハーネスを握ってください」
と教えてもらったとおりにハーネスを握ったら、歩行スタート。曲がり角の多いコースでは、盲導犬がどちらに向きを変えたかハーネスを通じて感じるしか手がかりがありません。
寄り添って歩く盲導犬が、「これくらいの角度で曲がってね」と次に歩き出す向きを教えてくれなければ、どれくらい体の向きを変えればいいのかわからない状態に……。

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そして、体験された方がみなさんおっしゃっていたように、思ったよりも自分の速度が速く感じられました。もし盲導犬がいなければ、1歩1歩を歩くのに、どんなに時間がかかるのか。盲導犬がいるから、普段と同じようなスピードで歩くことができたわけですが、視界がさえぎられた状態では、それでも「速い」と感じてしまうのです。

この体験をすることで、目が見えない状態で歩くことの難しさ、そして盲導犬がいることによってどれだけ歩きやすくなるかということを、実感することができました。これはぜひ、みなさんにも体験していただきたい!

この盲導犬体験は12月25日に以下の予定となっています。

9時00分~9時45分盲導犬とふれあい、盲導犬ユーザーによる質問受付
10時00分 盲導犬デモンストレーション
10時30分 盲導犬体験歩行
10時45分~12時00分 盲導犬デモンストレーション

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盲導犬と触れ合ったり、盲導犬ユーザーに質問できたりする貴重な機会。ぜひ訪れてみてくださいね!

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