高校2年・17 歳の壮太は、母親がいなくってからご飯をちゃんと食べなくなった妹・香織 (かおり)の為に、料理を覚えていくと決めた。しかし、料理初心者の壮太には料理の当たり前が何かも分からない。濃すぎ・薄すぎ・焼き すぎ。当然、悪戦苦闘することに。 香織は香織で、母親がいなくなったのに、父と壮太が以前と変わらない生活を自分に送らせ てくれようとする状況に、自己嫌悪を募らせていく。近づこうとすればするほど離れる兄妹の距離。その様子はまるでバランスを欠いた調理の 味付けのよう。料理を作り、食卓を皆で囲むという世界最古の娯楽を取り戻すため、一家の新米料理長は歩み出す......。
この物語に華を添える名脇役は、実際の料理音・食事音を中心とした効果音たち。 耳に優しく・懐かしい効果音と共に物語は走り出し、ラジオドラマならではの方法でリスナ ーみなさまの何気ない大切な時間をそっと掘り起こします。
生井(うまい)一家との素敵なご飯を心ゆくまで召し上がれ。