先週金曜日、赤坂で立川志の輔さんの「中村仲蔵」を

拝見しました。

歌舞伎役者の家系ではないのに一代で名人に登りつめた江戸時代の実在の歌舞伎役者の物語ですが、志の輔さんは「中村仲蔵」を語る前に仮名手本忠臣蔵について史実の赤穂浪士の討ち入りとの違いや、

仲蔵が演じた五段目という幕は当時どのような存在だったのかを語ってくださいました。

前半は忠臣蔵の内容に関する説明があるがゆえに、休憩後「中村仲蔵」をたっぷりとより深く話を味わえるという心憎い構成です。

全十一段の長い長い物語である忠臣蔵に登場する様々な人物の名前や背景について自ら書物をひも解いて調べ、そしてそれらをそらんじで巧みに語る志の輔さんに圧倒されました。

昨年、鶴瓶さんに頼まれて「お直し」と「錦木検校」の時代背景や風習などを、落語の前に私が語るという試みがありました。一つの話で15分ほどの語りだったのですが、それでも大変でした。比べてはいけませんが、志の輔さんの場合は40分以上語った後に落語が1時間ですから、どれだけの準備時間とけいこの量なのでありましょう。

それに比べて私なんざ、お気楽にマイクに向かっていい御身分ですなぁと内なる声が湧き上がってくるのを、抑え込むのに大変な夜でもありました。