気仙沼、釜石、山田町、大槌町に携帯ラジオと救援物資を運んだ司法書士の阿部亮さんに話を伺った。阿部さんはNGOの支援を目的にニッポン放送でも番組を担当されています。

 

気仙沼の大島は市街から20分ほどで着く観光と養殖の島。震災後は数日間外部との往来もできなかった島ですが、島に住む漁師さんたちは船や養殖場や魚市場を失ってしまいました。しかし自然と共に暮らしてした人々なので「津波のせいだ」と恨み事を言わないものの被害の甚大さから立ち直れないでいるとのことでした。

 

体を使って働いてきた人にとって仕事がない、やることがない状況は本当に辛いことだと想像できます。

 

阿部さんは、島の人々を自治体が雇用して瓦礫除去の仕事で賃金を払う。賃金の財源は義援金から回せないかと考えました。しかしながら前例がないということで実現はなかなか難しいそうです。道路を作るなどの公共事業の際は入札が行われますが、瓦礫の撤去を入札ししかも賃金を寄付金からという仕組みがない訳です。

 

愛すべき住まいや仕事場が津波に破壊されたものを「瓦礫」とひとくくりで表現してしまうことに心が痛みますが、この「瓦礫」の山が雇用を生むという発想が必要なことに気付かされます。

 

また釜石では市の社会福祉協議会の方に、「ボランティア迷惑論」や「ボランティア自粛論」について取材したそうです。それに対して迷惑ということは一切なく多ければ多いほどありがたいという答えでしたが、ただし単独で来て勝手に市内で車中泊やテント泊をするのは不審人物として市民が不安に思うので控えて欲しいとのことでした。岩手県では県の社会福祉協議会に窓口を一本化していてそこに登録をする必要があります。

 

浸水家屋の泥出し等の作業は、家屋の安全性の確認後に着手できるわけで、勝手に行って勝手に作業をやってしまったら不審者と思われても仕方ありません。

海外から震災後の日本人の行動は称賛されましたが、残念なことに窃盗や他府県から被災地に入り不当な値段で物資を販売する人は多々いて、私も現地の方々から具体的な話を伺いました。どんな世の中にもその手の人が登場することは仕方のないことなのでしょうが・・・

 

阿部さんは今、大きな被害が報じられた場所にボランティア集中する一方、沿岸部の家屋の片づけはなかなか進まないという支援のミスマッチを何とか解消できないかと考えています。確かにネットで検索すると情報はわっと出てくるのですが、その中から自分ができる作業を望まれている地域でやろうとしてもなかなか大変で、どうしても報道で見聞きしたところに行きがちかもしれません。

 

金曜日に開催された「はせがわ酒店」主催の「日本酒チャリティーイベント」には多数の方にご来場いただきました。チャリティーオークションには全国の酒蔵さんが貴重な逸品を出展していただき、皆さんのご厚意のもとほぼ完売ということになりました。和歌山の平和酒造さんが出品された南香梅12キロと南香梅完熟10キロを落札されたのは「ごごばん!」リスナーの大和市からご来場の加藤さんでした。ご近所の皆さんとおいしい梅を召し上がってください!

 

ニッポン放送

上柳昌彦