しゃベルシネマ

絶望の果ての“決断”に衝撃が走る『女は二度決断する』

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第393回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、4月14日公開の『女は二度決断する』を掘り起こします。


もしあなたの家族が、理不尽な事件に巻き込まれて命を奪われたら…。


ドイツ、ハンブルク。ドイツ人女性のカティヤはトルコ移民のヌーリと結婚。彼はかつて麻薬売買に手を染めていたが、今では真面目に働き、幸せな家庭を築いていた。

ある日、ヌーリの勤務先の前で爆発事件が発生、ヌーリと息子のロッコが帰らぬ人となってしまう。警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていたが、移民差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明。容疑者は逮捕され裁判が始まるが、被害者であるにもかかわらず、人種や前科を引き合いに出し、思うように裁判は進まない。

最愛の家族を突然奪われたカティヤの心の傷はますます深いものとなり、憎しみと絶望を抱えてさまよう…。


並みいる強豪を打ち破り、第75回ゴールデン・グローブ賞や第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞(ダイアン・クルーガー)に輝いた衝撃のサスペンスが、いよいよ日本でも公開。

監督は、ドイツの名匠ファティ・アキン。現在44歳にして、ベルリン、カンヌ、ヴェネチア、世界三大映画祭すべてにおいて主要賞の受賞経験を持つカリスマ監督です。


本作の元となっているのは、ドイツ警察戦後最大の失態と言われている、ネオナチによる連続テロ事件。初動捜査の見誤りによって10年以上も犯人の逮捕が遅れ、その間も犯人は殺人やテロを繰り返していたという実在の事件 に、トルコ移民の両親を持つアキン監督は大きな衝撃を受けたとのこと。
もともとネオナチについて問題意識を抱いていたこともあり、この事件から着想を得て本作の制作を決意しました。


テロ事件を扱った作品ではありますが、決して大きな社会問題として扱っているわけではなく、描かれているのはテロの悲劇に遭遇した女性の深い悲しみと怒り。

そんな本作を支えているのは、やはり主演であるダイアン・クルーガーの存在でしょう。カティヤが抱えるとてつもない苦しみや悲しみ、重みを体現する姿はこのうえなく素晴らしく、カンヌ主演女優賞も納得の演技。撮影前、テロや殺人事件の多くの犠牲者と対話し役作りをしたというエピソードからも、本作に賭ける“覚悟”が伝わってきます。

深い悲しみの果てに、カティヤがたどり着く衝撃の“決断”とは。その衝撃の結末に、すべての人が心を強く揺さぶられることでしょう。


女は二度決断する
2018年4月14日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
監督・脚本:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、サミア・ムリエル・シャンクラン、ヌーマン・アチャル、ウルリッヒ・トゥクール ほか
©2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathe Production, corazon international GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH
公式サイト http://www.bitters.co.jp/ketsudan/

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