しゃベルシネマ

スピルバーグが『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』の製作を急いだワケ

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第379回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、3月30日から公開となる『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を掘り起こします。

メリル・ストリープ×トム・ハンクス×スティーヴン・スピルバーグ監督、報道のあり方を問う社会派ドラマ


ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年。アメリカ国防総省がベトナム戦争に関する経過や分析を記録したトップシークレットである文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープした。

ライバル紙に先を越されたワシントン・ポストのキャサリン・グラハムとベン・ブラッドリーは、残りの文書を独自に入手。その全貌を公表しようと奔走する。

しかし、ニクソン大統領は記事を差し止めようと、あらゆる手段で圧力をかけてくる。キャサリンはライバルのNYタイムズと時に争いながらも連携・団結し、真実を世に出す決意をする…。


ベトナム戦争に関するアメリカ最高機密文書の存在を知った実在のジャーナリストたちをモデルに、報道の自由を守り抜いた記者たちの奮闘を活写した社会派映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』。

ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社では史上初の女性発行人となったキャサリン・グラハム役にメリル・ストリープ、彼女の部下で編集主幹のベン・ブラッドリー役にトム・ハンクスと、二大オスカー俳優が初共演を果たしたことでも話題となっている作品です。


メガホンを取ったスティーヴン・スピルバーグ監督が「いま、撮るべき映画」として本作の製作を発表したのは、トランプ大統領が就任した45日後のこと。すでに手がけていた他作品を後回しにしてまで撮影を敢行し、なんと企画から1年足らずで劇場公開までたどり着きました。

この映画を観ると、劇中で描かれている1971年当時の状況は、政府によるジャーナリズムへの規制の影響により、何が真実で、何が正しいのかがわからなくなってきている現代と酷似していることに驚かされることでしょう。

そして、この危機的状況に警鐘を鳴らすという強いメッセージを発信している本作に、スティーヴン・スピルバーグ監督の表現者としての使命感を感じずにはいられません。


またメリル・ストリープ演じるキャサリン・グラハムの存在には、ハリウッドにおける女性の地位向上を訴える近年の動向と重なる部分が。ジャーナリストとして経営者として、また働く女性の先駆者として活躍したキャサリン・グラハムの勇敢な行動は、男性社会で生きてきた当時の女性たちに勇気を与えただけでなく、“キャリアウーマン”と呼ばれる現代を生きる女性たちにも強い影響を与えていることが本作から伝わってきます。

報道の自由を守り通した人々の物語は、まさに「いま」語られるべきものなのです。


ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
2018年3月30日から全国ロードショー
TOHOシネマズ日比谷にて3月29日特別先行上映
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィット・フォード、ブルース・グリーンウッド、マシュー・リス、アリソン・ブリー ほか
©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.
公式サイト http://pentagonpapers-movie.jp/

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