証人喚問~佐川氏が生き残れる二つの道とは?

3/15(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

安倍政権の運命もこの証人喚問にかかっている!?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

麻生財務相に辞任を受理され、囲み取材に応じる佐川宣寿国税庁長官 =3月9日、東京都千代田区 提供産経新聞

佐川前国税庁長官の証人喚問~来週中にも議決

昨日、参議院での自民・民進両党の国会対策委員長会談などが開かれ、国会が正常化するということで合意できるのであれば、週明けまでに参議院予算委員会で、安倍総理出席のもと、集中審議を行うことと、その後、衆議院予算委員会でも集中審議を行うことを申し合わせ、来週中に佐川前国税庁長官の証人喚問を議決し、証人喚問が実現する見通しとなりました。
一方、野党は真相解明を掲げ、安倍昭恵夫人の証人喚問も突きつけています。改ざんされる前の文書では、森友学園側の説明として、昭恵夫人が「いい土地ですから前に進めてください」という発言をしたとされていますが、安倍総理は昨日の参議院予算委員会で、この発言を打ち消しました。

安倍総理大臣)妻に確認をいたしました。「そのようなことは申し上げていない」ということでございました。

与党としては、文書の改ざん問題を、国有地売却問題と区別し、佐川前国税庁長官の証人喚問は、文書改ざんの真相究明が目的という理屈で、昭恵夫人については、証人喚問を拒否。火の粉がかかるのを必死に振り払おうとしているわけです。
財務省の太田理財局長は昨日の参議院予算委員会で佐川さんの関与の度合いについて、「大きかったのではないかと思う」と述べています。ただ、指示系統や、誰がどう関与したかについては、「調査をしているところだ」とだけ述べ、明言を避けています。

佐川氏証人喚問~裏には公明党と大阪地検特捜部の存在

高嶋)昭恵夫人はないだろうと私は思っていましたが、佐川宣寿さんが来ました。これはどういう力が働きましたか?

佐藤)まず1番大きな力は、政治的には公明党ですね。報道ではあまり出ていませんが、国会の発言や山口代表の発言を見ると、「これは守り切れません。きちんと真実を明らかにしないと、連立政権にとって大変ですよ」ということを、かなり強く言っている。それを官邸にストレートに言うのでなく、党から、二階さんのところから攻めてきている。これが功を奏しましたね。

高嶋)二階さんも「明らかにすべき」と言ったときに私は驚いたのですが、そういう背景があるということですか?

佐藤)やはり公明党との関係において、「もうダメだ」と。こういう判断でしょう。
もう1つは、大阪地検特捜部です。

高嶋)何故ですか?

佐藤)大阪地検特捜部は「いま捜査中ですから、ちょっと外でガタガタしないでください」というのが検察として普通なのですよ。
ところが、「どうぞ。コピーもお返しします」とやっている。つまり、「徹底的にやってもらって構わない」とシグナルを出して行動しているのです。これは、フロッピーディスク改ざん事件の経験から、「証拠に手を付けると組織存亡の危機になる」というのを日本の役所で1番よく分かっているからだと思います。

高嶋)大阪地検特捜部は本当に形無しでしたからね。

佐藤)そう。それで存亡の危機までになったでしょう。あのとき、私は東京の特捜に捕まったんだけど、「特捜部を残さないといけない。警察には果たせない機能が特捜にあるから」と。今回、それが正しかったという事ですよ。
証拠を調べているうちに大阪地検は「これは証拠をいじっている」と気付いたのですよ。すなわち、かつてのフロッピー事件のときは、裁判を円滑に進めるために証拠をいじってしまった。今回は国会答弁を円滑に進めるために証拠をいじってしまった。「証拠をいじると組織存亡の危機になるので、ウチは構いませんよ」と。
これがもし、財務省に忖度して、「ウチの方が知っていることを出さない」とやった場合、「2回これに関与したら組織がなくなる」という危機感ですね。ですから、公明党プラス大阪地検特捜部ということにより、この想定していなかったことが起きたのです。

佐川氏の逃げ道は二つある

佐藤)佐川さんはいま、いい弁護士を用意しています。鈴木宗男さんが証人喚問で呼ばれたでしょう。参考人招致になった喚問での舞台裏をずっと見ていたので、本当にやり手の弁護士と、分厚い受験参考書みたいなのを作って、問答でやっているわけ。その問答でやっても、必ずどこかでこぼれが出てくる。認識の相違の部分がありますからね。
たとえば、鈴木さんの場合は「賄賂」とか、「外務省に指示してモザンビークに行く代表団を止めたか?」だけど、それは主張していることをそのまま言って、矛盾した結果が裁判で出れば、偽証となってしまう。
今回の佐川さんの場合そこから研究すると、逃げ道は1つしかない。「私自身が刑事責任を追求される可能性があるので、お話しできません」です。こういう感じでやると、世の中のイメージは「コイツ、何かやっているに違いない」となる。それで、話を進めていくことになると、「じゃあ本当のことを教えてください」と。たとえば、「安倍昭恵さんからこういう言われたと籠池さんが言うけど、知ってました?」、「知っていました。これは深刻な事態だと思いました」とか言ったら、「じゃあ昭恵さんを呼んでくれ」となる。
先ほどの通り、総理は明確に否定していますが、裁判で考えると伝聞は証拠になりません。なので、本人から聞かなければいけない。国会の論理が、もはや裁判の論理に近づいているのです。だから「本人から聞こうじゃないか」と。そうしたら、「拘置所にいるから、対抗して籠池さんに聞けないじゃないか」と。実はこれ、聞けるのです。

高嶋)聞けるんですか?

佐藤)出張で喚問する方法があるんです。捕まっている人に関しては。特別サービスで、国会議員の方から出張して喚問することができる。

高嶋)では、佐川さんの証人喚問は、蟻の一穴のような生やさしいものでなく、土台を揺るがすような大きな事態になりそうだと?

佐藤)そうです。ですから、佐川さん自身が何も言わず、「自分自身の刑事責任だ」と一身に背負えるかどうか。いろいろ喋り出したら面倒になる。でも、もう官邸や財務省が触れる感じじゃないと思うのですよ。さわったこと自体が言われてしまうと、今度は喚問で、内閣が吹っ飛ぶ。すると佐川さんに安倍政権の運命がかかっているくらいのことになりますから、大変な見せ場になりますね。来週の証人喚問は……

洗いざらい説明し、世論の力を利用し逃げ切る可能性もある

高嶋)去年も知らぬ存ぜぬで言ってきた、素っ気ない発言、それだけはもう許されない。どこかで噛みつかれるだろう、ということですか?

佐藤)佐川さん自身にはもう1つ生き残り方がある。「国民の皆様、ごめんなさい。忖度ですが、その背景にはこんな事情があります。洗いざらい全部話します」と言って、政権に対して少し膨らませたような話をわーっとすることになったら、今度は世論の力で、佐川さんは逃げ切れるかもしれない。「こんな状態になったら、本当に悪いのは佐川じゃない! 佐川はただのパシリにすぎない」というような流れになるか。腹括ってそこまでのシナリオが書けるか。とにかく、彼と彼の弁護士によるところが大きいですね。

高嶋)佐川さんの肝が太ければいいですけどね。

佐藤)肝が太いかどうか分かりませんが、面の皮は厚いので、相当のことができると思いますよ。だから、後は彼がどういう情勢判断をして、捕まる可能性がどの程度あるかを彼がどう見るかにあります。可能性が高いと見ると、先ほどの「国民の皆様、ごめんなさい」から始まり、洗いざらいコースになる。それで最後のチャンスを得る。
ところが、「何とか法の隙間を突けば逃げられるのでは?」という形で、事実上の証言拒否。これは自分が刑事責任を追及されることを認められているのですけどね。そこのところに行った場合、逆に佐川さんにとっては相当キツい感じになってくるでしょうね。

高嶋)「第2の籠池」になりかねない?

佐藤)籠池さんは公人じゃないですからね。それから、「どうしてこのタイミングで辞めたのか」も1つの争点になるでしょうね。そこで「官邸の働きかけがあった」なんて話が出てくると、また大変なことになる。

高嶋)本当はこれで事が収まった感じがありましたよね。財務省があんな事をやらなければ、バレなければ風化してしまう気もしたのですが、また内閣の根幹を揺るがすような……。

佐藤)すごいことになっていますよ。麻生さんは多分、辞める腹を括っていると思いますが、タイミングが遅すぎる感じがしますね。大政局になる可能性があります。

高嶋)そういう可能性が出てきましたよね。野党は張り切っていると思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
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