スポーツ人間模様

西十両12枚目・貴ノ岩 日本の土俵にあがることを決めた8歳の誓い

貴ノ岩 貴乃花 親方

【大相撲三月場所】稽古終わりに囲み取材に応じる貴乃花親方(右)と貴ノ岩=2018年3月1日京都府宇治市・龍神総宮社 写真提供:産経新聞社

大相撲春場所が初日を迎えます。すでに、横綱・稀勢の里の6場所連続となる欠場が発表されましたが、ここへ来て、他の2横綱、白鵬と鶴竜も体調不良を訴えていて、3横綱全員が初日から休場もありえるのではないか、と言われています。

そんな中、出場か欠場か、3横綱以上に注目されているのが、貴乃花部屋の西十両12枚目、貴ノ岩、28歳です。

貴ノ岩は、去年10月下旬、秋の巡業先だった鳥取市内の飲食店で、元横綱日馬富士に殴られて頭を怪我。去年11月の九州場所と、今年1月の初場所を全休。この事件がきっかけで、日馬富士は引退、貴乃花親方は理事解任と、大問題に発展しました。

渦中の人となった貴ノ岩ですが、実は、苦労人です。生まれはモンゴルのウランバートル。本名はアディヤギーン・バーサンドルジ。兄3人、姉1人、5人兄姉の末っ子です。モンゴルでは、日本の大相撲が衛星放送で生中継されていて、幼いころに見た横綱・貴乃花に強く憧れ、「いつかは日本にいきたい」という想いが芽生えました。

波乱万丈の人生が始まったのは、8歳の時。当時46歳だった母親が心臓病で亡くなりました。貴ノ岩関は、父親や兄姉の為にも中学卒業後、日本で一旗揚げることを心に誓います。

日本行きの切符となったのは、相撲の強豪校・鳥取城北高校相撲部の石浦外喜義監督がモンゴルで開催した相撲のオーディション。そこで貴ノ岩は、見事合格し、相撲留学することが決定。16歳の時に、念願の来日を果たしたのです。

しかし、喜びもつかの間、来日からわずか3か月後、今度は父親が肝臓がんで急逝。それでも日本で名を上げるため、悲しみをこらえて厳しい稽古に耐えました。高校時代、国体では個人4位、世界ジュニア中量級で準優勝するなどの結果を残して、高校卒業と同時に貴乃花部屋に入門。「岩のような体つきをしていた」という理由から、しこ名は「貴ノ岩」と付けられました。

幼い頃から憧れていた貴乃花親方の指導の下稽古に励み、2009年初場所で初土俵。着実に力をつけ、2012年夏場所後に十両昇進。モンゴルに住む4人の兄姉に電話で伝えると、全員が泣いて喜んだといいます。

「とにかく日本で強くなって家族に相撲を見せたかったし、師匠と女将さんに恩返しがしたかった。この気持ちを忘れずに上を目指したい」

という貴ノ岩関。

一昨年の7月場所では、3敗で千秋楽まで優勝争いに加わり、初の三賞となる敢闘賞を受賞。去年の1月場所では白鵬を破って金星を挙げ、11勝4敗と好成績を残しました。まさにこれからという中で事件に巻き込まれた貴ノ岩関。

果たして、春場所に出場するのか欠場なのか、貴乃花親方の決断が待たれます。

3月9日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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