本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日

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【大人のMusic Calendar】

1969年に芥川澄夫とのコンビで“トワ・エ・モワ”を結成した白鳥英美子(当時は山室英美子)は、デビュー曲「或る日突然」をはじめ、「空よ」「虹と雪のバラード」などが次々にヒット。解散後はソロシンガーに転じて、持ち前の気品溢れる歌声で活動を続けてきた。女性フォークの旗手・森山良子、赤い鳥~ハイ・ファイ・セットの山本潤子と共に、美声の三大歌姫“V3”としてステージを展開していた時期もある。その後、トワ・エ・モワは再結成され、現在に至るまで活動を継続中。才能を受け継いだ実娘の白鳥マイカもシンガーソングライターとして活躍している。本日3月16日は類い稀なる美声のシンガー・白鳥英美子の誕生日である。

1950年に神奈川県で生まれ、日本音楽高等学校在学中から、渡辺プロダクションが擁していたスクールメイツの一員となって芸能活動を始めた。本来はソロデビューする予定であったが、事務所の意向で同じくデビューに向けてレッスンを積んでいた芥川澄夫とコンビを組まされ、男女デュオのトワ・エ・モワとして東芝エキスプレス・レーベルから69年5月10日に「或る日突然」でデビューした。作詞の山上路夫と作曲の村井邦彦は、翌年の「合歓ポピュラーフェスティバル'70」で赤い鳥へ「翼をください」を供するコンビである。デビュー曲を大ヒットさせた後、シングル「美しい誤解」「愛の理由」、そして4枚目となる70年の「空よ」がまた大きなヒットに。同年には「誰もいない海」、さらに翌年には72年に開催を控えた札幌冬季オリンピックのテーマ「虹と雪のバラード」が国民的なヒットソングとなる。二人の歌は決してフォークではなく、洗練されたポップ・デュオであった。

本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日
本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日

輝かしい功績を連ねたトワ・エ・モワを73年に解散した後、本名の山室英美子に戻った彼女は初のソロ・アルバムを発表している。75年に当時ジャッキー吉川とブルー・コメッツのベーシストだった白鳥健二と結婚した後はしばらく音楽活動から遠ざかっていたが、77年には鴉鷺(あろ)というユニットを結成して再始動し、80年代は白鳥英美子としてソロ活動をメインとする。86年にはCMソングに使われた「AMAZING GRACE」が反響を呼び、天賦の才能ともいえる美しい歌声が改めて評価されることとなった。当初は本人がレコード化を拒んでいたというが、CMディレクターの説得により承諾したそうで、翌87年に同曲をフィーチャーしたアルバム『AMAZING GRACE』が発売されてヒットに至る。90年から始まったTBSのドラマ『HOTEL』(第1シリーズ)の主題歌となった「レット・ザ・リバー・ラン」はカーリー・サイモンのカヴァーだった。91年には、7年後に長野での開催が決定した冬季オリンピック讃歌「花束そえて」を発表している。

本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日

長野オリンピックの前年となった97年には、NHK『想い出のメロディー』で25年前の「虹と雪のバラード」を披露し、それをきっかけにトワ・エ・モワが本格的に再結成された。当時はテレビやラジオでもやはり「虹と雪のバラード」が流れる機会が多かったように思う。以降、ソロ活動と並行して活動を続けながら現在までに至るわけで、デビュー50周年を間近に控え、癒しの歌声は今なお健在である。ちなみに、2015年に出されたトワ・エ・モワのアルバム『タイム・フォー・アス』のジャケットは、「或る日突然」のシングル盤の写真と同ポジで撮影されるという粋な趣向が凝らされた。撮影場所はかつてふたりが修業を積んだ日比谷のミュージック喫茶「メイツ」(現・ケネディハウス)の裏手という所縁の地。その頃の山室英美子は、67年に植木等が主演した映画『日本一の男の中の男』で見ることが出来る。平尾昌晃が「若いってすばらしい」を歌うバックで、やはりデビュー前の平山三紀(現在は、平山みき)と一緒に歌い踊る。名ヴォーカリスト・白鳥英美子の原点が映された貴重なフィルムである。

本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日
本日3月16日はトワ・エ・モワ・白鳥英美子の誕生日

「或る日突然」「空よ」「虹と雪のバラード」ジャケット撮影協力:鈴木啓之

【著者】鈴木啓之(すずき・ひろゆき):アーカイヴァー。テレビ番組制作会社を経て、ライター&プロデュース業。主に昭和の音楽、テレビ、映画などについて執筆活動を手がける。著書に『東京レコード散歩』『王様のレコード』『昭和歌謡レコード大全』など。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』(毎週日曜23時~)に出演中。
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