“畳の文化”の日本人が椅子に座るまで 【鈴木杏樹のいってらっしゃい】

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紀元前の古代エジプト時代に、既に背もたれやひじ掛けがついたイスが登場していました。

日本では古くから“床に座る”という文化が根付いていますが、それでも弥生時代のものと思われる、イスをかたどった埴輪ですとか、丸太をくり抜いた“イスらしきもの”が発見されているそうです。
この “イスらしきもの”が日本では“最も古いイス”とされているそうです。
これらは日常の生活ではなく、儀式といったような特別な時に使われていたのでは・・と考えられるそうです。

その後も、貴族や武将の間ではイスの文化が存在していたそうです。
例えば、古くから“男性の一般的な座り方”と言われているものに『あぐら』があります。『あぐら』の『あ』は“足”、『ぐら』は“くら”のことです。
“くら”とは“高い位置に設けられた場所”という意味で、寝る時に使う『枕』の“くら”と同じ意味だそうです。
今でこそ『あぐら』は“座り方”のことを言いますが、元々は“貴族などが座る高い座席”や“腰掛け”といった道具のことを『あぐら』と呼んでいたそうです。

他にも、開いた時にイスの脚が『X』の形になる折り畳み式のイスがありますが、これは戦国時代の頃から、武将が戦の場で座るイスとして使われていました。
このようにイスの文化は日本にもありましたが、庶民が座ることが出来たのは、家の縁側ですとか、木や竹などで作られた縁台、茶店などに見られる“背もたれのない長い腰掛け”などに限られていました。

そんな日本に“イスの文化”が定着するようになったのは、明治時代になってからです。学校や役場などで、イスが使われるようになりました。
それでも、日本には古くから“畳の文化”がありますので、“イスの文化”が一般家庭に普及するまでには、それからまだ時間がかかりました。

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*画像はイメージです。

(2016/6/28放送分より)

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