ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』

By -  公開:  更新:

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第363回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、2月17日から公開された『ウイスキーと2人の花嫁』を掘り起こします。


“命の水”を救い出せ!

ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』
第二次世界大戦中のスコットランド、トディー島。戦況悪化のために、ついにトディー島のウイスキーの配給が止まってしまい、島民たちは完全に無気力に陥っていた。島の郵便局長ジョセフの長女ペギーと次女カトリーナは、それぞれ恋人との結婚を望んでいたが「ウイスキーなしの結婚式なんてムリ!」と猛反対され、困惑する状況だった。

ある時、輸出用の大量のウイスキーを積んだニューヨーク行きの貨物船が、島の近くで座礁。沈没寸前の船内には、なんと5万ケースものウイスキーが積まれていた。「これはきっと、神様からの贈り物に違いない!」と、島民たちはウイスキー“救出”大作戦に打って出る…。

ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』
英国文化の代名詞である、“命の水”ウイスキー。日本では“オトナの男性が楽しむモノ”という印象が強かった時期もありましたが、最近ではTVドラマの影響や炭酸水で割るハイボールの人気も手伝って、身近なお酒として嗜んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんなウイスキーにまつわる、とってもチャーミングな映画が日本にやって来ました。ウイスキーをこよなく愛するお茶目な島民と、父と娘の愛の物語を情感豊かに描いたヒューマンドラマです。

ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』
原作は英国人作家コンプトン・マッケンジーが1947年に発表した小説「Whisky Galore」。「たっぷりのウイスキー」という意味を持つこの小説は、第二次世界大戦中にスコットランドのエリスケイ島沖で大量のウイスキーを積んだ貨物船SSポリティシャン号が座礁した事件を元に描かれた実話。1949年に初映画化され、名作として多くの人々から愛され続けてきました。

その待望のリメイクとなる本作は、少年時代からオリジナル版のリメイクを夢見てきた一人の映画プロデューサーの熱意により実現。当時貨物船に乗船していた士官候補生や座礁した船をいち早く発見した人物など、事件を直接知る人々への入念な取材を繰り返し、まるでウイスキーを熟成させるかのように10年の歳月をかけて製作されました。

ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』
いくら“命の水”と呼ばれているとはいえ、ウイスキーのために親子の愛情がすれ違ったり、島民と関税庁がコミカルな攻防戦を展開したり。「ウイスキーのためにココまでするか???」と思うほど、和気藹々とウイスキーを“救出”する島民たちは実にユーモラス。ハラハラドキドキしながら観るうちに、あなたもきっとウイスキーが飲みたくなるはず。

ウイスキー好きも映画好きも、最高に楽しめる作品です。

ウイスキーをめぐる芳醇でユーモラスな実話『ウイスキーと2人の花嫁』
ウイスキーと2人の花嫁
2018年2月17日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ギリーズ・マッキノン
出演:グレゴール・フィッシャー、エディ・イザード、ショーン・ビガースタッフ、ナオミ・バトリック、ケビン・ガスリー、エリー・ケンドリック、ジェームズ・コスモ、ジョン・セッションズ、ティム・ピゴット=スミス ほか
©WhiskyGaloreMovieLimited2016
公式サイト http://www.synca.jp/whisky/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top