二つ星シェフの技+駅弁屋さんのハイブリッドフレンチ!~えちごトキめきリゾート・雪月花「上越妙高駅発・雪コース」(14,800円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

bl160623-1'(w680)

「なんだ、この赤は!!!」
思わず叫びたくなるくらい、見た者の魂を揺さぶる「赤い列車」の登場です。
週末の朝10時過ぎ、新潟県上越市のえちごトキめき鉄道・上越妙高駅に入ってきた2両編成の列車。
その名は「えちごトキめきリゾート・雪月花(せつげっか)」。
北陸新幹線開業と共に誕生した第3セクターの鉄道「えちごトキめき鉄道」が、今年(2016年)4月にデビューさせた観光列車です。
雑誌「自遊人」や南魚沼市にある人気の宿「里山十帖」を手がけるクリエイティブディレクターの岩佐十良さんが企画・プロデュース。
えちごトキめき鉄道の気動車・ET122形をベースに、建築家の川西康之さんが設計・デザインした新型車両です。

bl160623-2(w680)

「えちごトキめきリゾート・雪月花」は、北陸新幹線とえちごトキめき鉄道の接続駅・上越妙高と糸魚川の間を土・日祝日に1往復運行。
全席が「ツアー商品」扱いで、乗車には「雪月花予約センター」(電話025-543-8988、平日10:00~17:00)への事前予約が必要です。
乗車プランは「食事付」(14,800円)と「食事なし」(6,000円)の2種類、2人以上で「食事付」の場合は2号車、それ以外は1号車の利用。
今回は上越妙高10:19発の糸魚川(いといがわ)行に乗って、新幹線では13分で走破するところを、およそ3時間かけてのんびり走ります。

bl160623-3(w680)

もう「窓」しかない!
「雪月花」最大の魅力は、この「大きな窓」です。
この窓の大きさ・・・車両を上から見るとよく分かります。

bl160623-4(w680)

上から見ても「窓」が見える!
今まで窓がすごい列車というとJRの「スーパービュー踊り子」のイメージがあったんですが、たぶん超えたと思います。
窓が大きいと「温室のように暑いんじゃないの?」と穿った見方をする人もいるかもしれません。
心配ご無用、窓ガラスは紫外線透過率0.01%以下、遮熱性も備えたものが使われており、明るいのに暑くないんです。
さあ、今回は奇跡的に取れた「魅惑のシート」へ・・・。

bl160623-5(w680)

それは「雪月花」2号車に「4席だけ」設けられた「展望ハイデッキ個室」!
他の座席から2段高い位置にあり、列車が走り始めるとロープが張られて区切られ、プライベート感あるスペースになります。
乗務員室と隣接していることもあって、車掌さんの業務を見ることが出来て「鉄分補給」にもバッチリです。
もちろん最後尾になったり、先頭になったりするので素晴らしい展望も楽しめます。
原則として3~4名での利用限定となっており、1グループごとに15,000円(税込)の追加料金がかかります。

bl160623-6(w680)

乗車早々、2号車の「さくらラウンジ」では、既にウェルカムドリンクの準備が始まっていました。
新潟のワイナリー「フェルミエ」の雪月花オリジナル・スパークリングワイン。
2011年の新潟産シャルドネを使用。
利用プランに関らず味わうことが出来る「雪月花」だけの味です。

bl160623-7(w680)

「雪月花」は、上越妙高を定刻通り10:19に発車・・・でも真っすぐに糸魚川には向かいません。
「えちごトキめき鉄道」は2つの路線からなる鉄道です。
1つは妙高高原~直江津間の「妙高はねうまライン(旧・信越本線)」、もう1つが直江津~市振間の「日本海ひすいライン(旧・北陸本線)」。
上越妙高を出るとまずは「妙高はねうまライン」を長野方面へ向かい妙高高原で折り返します。(妙高高原からの乗車も可)
妙高高原からは来た線路を引き返して直江津へ、そこからさらに「日本海ひすいライン」に乗り入れて終点の糸魚川には13:30着となります。

bl160623-8(w680)

上越妙高を出て15分あまり「雪月花」は早くも本線をそれて、引き込み線のような線路に入って停車・・・。
程なくやってきたえちごトキめき鉄道の主力・ET127系電車を追いかけるように「雪月花」はバックを始めました。
実はコレ「二本木駅」(新潟県上越市)に今も残る「スイッチバック」。
「妙高はねうまライン」の関山~直江津間は、明治19(1886)年に開通した「新潟県で最も古い」鉄道で、
SLの時代は25パーミル(1,000m進むと25m登る)の勾配の途中に駅を設けることが出来ず「スイッチバック式」の駅になったといいます。
昔は各地にあった「スイッチバック式」の駅ですが、新潟県内で残っているのは「二本木駅」のみなんです。

bl160623-9(w680)

二本木駅で15分あまり小休止の後、再び妙高高原に向けて走り出した「雪月花」。
やがて、進行右手には、田植えが終わったばかりの田んぼと妙高の山並みが広がりました。
もちろん「雪月花」は景色の美しい区間では、車掌さんの案内と共にゆっくりと走ります。

bl160623-10(w680)

上越妙高からおよそ50分、「雪月花」は「えちごトキめき鉄道」最南の駅・妙高高原に到着。
妙高高原以南は「しなの鉄道・北しなの線」となる境界駅です。
「雪月花」も、しなの鉄道の115系電車と並びました。
しなの鉄道にも人気の「ろくもん」という観光列車があります。
いつか妙高高原で「雪月花」&「ろくもん」のジョイントが見られたり、乗り継ぎ旅が出来たら面白いなぁ・・・なんて気持ちにも。

bl160623-11(w680)

「雪月花」は妙高高原で11:10~11:27まで17分間停車します。
この停車時間に、車掌さんが駅前の土産物屋さんへ案内してくれます。
かつてスキーシーズンには、上野から多くの列車が乗り入れた妙高高原ですが、クルマなどへの移行が進んで今も残るお店は1軒だけ。
妙高高原で昔、「笹ずし」などの駅弁を販売していた石田屋さんは5年ほど前に廃業。
「石田屋」さんがあった所も更地になっていて、ちょっぴり残念な気持ち・・・。

bl160623-12(w680)

妙高高原駅を発車したところで、全てのお客さんが揃い、いよいよ「雪月花」最大のウリ「ランチ」のスタート!
テーマは「ミシュラン二つ星が手がける・越後上越フルコース」。
新潟県十日町市出身、東京・六本木の二つ星レストラン「Ryuzu」を開いたシェフ・飯塚隆太さんが「日本一の“駅弁”をつくろう!」とオリジナルレシピを考案したといいます。
「駅弁」と名乗る以上、気になるのは実際に調理を担当する人なんですが・・・名前を伺って安心しました。
なんと!直江津駅前にある「ホテルセンチュリーイカヤ」の料理長・石塚強さんなのです。
「ホテルセンチュリーイカヤ」は平成20(2008)年まで「ホテルハイマート」と共に直江津駅の駅弁を手がけていた駅弁屋さん!
8年の歳月を経て「駅弁」から「レストラン列車」に形態は変わりましたが、再び鉄道で「イカヤ」の食事が味わえる日がやって来たのです!!

bl160623-13(w680)

【スープ】
新たまねぎのスープ

スプーンにも「雪月花」のロゴやマークが!

bl160623-14(w680)

【一段目・・・前菜】
越後上越短角牛のコールビーフ コンソメジュレ
バイ貝とタコのバジル風
鯛のエスカベッシュ
海老のフラン ズワイガニのハーブ風味

「越後上越短角牛」は夏は妙高市の笹ヶ峰牧場、冬は上越市内で飼育する「夏山冬里方式」で作られる新潟・上越地方のブランド牛。
.
【二段目・・・メインディッシュ】
帆立と八色しいたけのおかき揚げ
カラフル野菜巻き
茄子のオムレツ
地鶏のスモーク ポテトを添えて

新潟野菜をフレンチに仕立てたメインディッシュ。おかき揚げの食感がとてもイイ!

bl160623-15(w680)

【三段目・・・サンドイッチ】
妻有ポークのかんずりサンド
夏野菜のディップ バケット添え

「Ryuzu」のロゴの入った包装を開けた中から現れるのが「かんずりサンド」。
「かんずり」とは新潟・妙高に古くから伝わる、唐辛子を雪の上にさらして麹で発酵させる香辛調味料のことです。
この「かんずりソース」が面白くて唐辛子を少しマイルドにした感じのピリ辛感が、同じく新潟ブランド「妻有(つまり)ポーク」の自家製ハムとよく合う!
普通、サンドイッチというと辛子マヨネーズを思い浮かべる人がいるかもしれませんが、あれとは全く異次元の辛み。
まさに「新潟でないと食べられない」絶品サンドイッチ、コレは乗って一度味わうべき味です!

bl160623-16(w680)bl160623-17(w680)

【デザート】
煮イチゴとココナッツのブラマンジェ
カラメルソース クレームシャンティ
ガナッシュチョコレート

雪室珈琲 雪月花オリジナルブレンド

bl160623-18(w680)

二つ星フレンチシェフと老舗駅弁屋さんのエッセンスが詰まった「雪月花(上越妙高発・雪コース)」のランチ。
「駅弁の域をはるかに超えた」と謳っていますが、「駅弁」のノウハウがあってこその”冷めても美味い”味わいではないかと思います。
駅弁好きとしては長年、直江津駅弁を手掛けた「ホテルセンチュリーイカヤ」さんが再び「鉄道の食」に関わるようになってくれたことが嬉しい限り!
さらに「雪月花」の旅では、途中駅で駅弁を愛する者にはたまらない風景も見られるのです。
次回、感涙の「雪月花」後編です。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。