6つある国務次官ポストの5つが空席~それでもトランプ政権が続く理由

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2/9(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

シャノン国務次官の辞任を表明
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

米シャノン国務次官が辞任へ

アメリカ国務省のシャノン国務次官が辞任の意思を表明した。国務省ではトランプ政権下で士気低下が著しく、6つの次官ポストのうち、5つが空席となる。こうなってしまった背景について、ティラーソン国務長官との関係も踏まえながら解説していく。

高嶋)アメリカ国務省の主要ポストである国務次官。そのポストは6つあるそうですが、ずっと空席が4つ目立っていて。広報と政治の担当はいるのですが、政治担当のトーマス・シャノンさん、言うなれば国務省のナンバー3の方が辞めるそうですね

宮家)そりゃあ、そうでしょう。やってられないもの。

高嶋)国務省に行くと7階の廊下があって、そこにちびっ子ギャングがいるとか。

宮家)そうらしいですよ。だいたい、トランプ政権で国務長官のティラーソンさんが成功するはずがないのです。2つ理由があります。
1つは、トランプ政権がアンチ・ワシントンだから。“職業外交官”は、ワシントンの象徴なので、ティラーソンさんはそもそも信用していない。しかもティラーソンさんがエクソンモービルのCEOだった頃に、国務省と嫌な思いをしたらしい。日本でもよく「外務省が何もしないじゃないか」みたいなのがある。そのアメリカ版です。
もう1つの問題は、ワシントンでは部下を自由に選べないのですよ。いろいろな人がいて、いろいろな力関係から人事が決まってくるから、国務長官になったとしても、部下全員が自分の好きな人にはならない。エクソンモービルとは違うのです。
それがうまく行かなかったために、人が集まらない。しかも、何をやっているのかよく分からないから、誰もやる気がない。仕方ないから、国務省の生え抜き、キャリアの職業外交官を使うのだけど、シャノンさんにはそれがたまらないのでしょう。

それでもトランプ大統領に危機感はなし?

高嶋)このシャノンさんという人は、かなりの大物次官ですよね。「外交歴35年の大ベテランで、6人の大統領と10人の国務長官の下で、駐ブラジル米大使などを歴任」と書いてありますね。

宮家)いい意味でも悪い意味でも、官僚としてはよくできた人だと思います。

高嶋)それで、こういうのが本当に纏まらずに、どうもチグハグでうまくいかない。だけど、一年以上経って、このままずっと空席だらけで担当者がいないような状況がずっと続くと、アメリカの外交はどうなっていくのですか?

宮家)無茶苦茶ですね。このまま行くと、国務省が壊れるか、ティラーソンさんが壊れるかのどちらかです。一時期、「ティラーソンさんが辞めるのでは」と噂がありましたが、辞めませんよね。彼も意地で辞めないのだと思います。「クビになるなら仕方ないけど」と言っているらしいから。ということは、国務省が壊れていくことになります。

高嶋)だけど、よく国が動きますね。

宮家)無くても何とかなる部分が、無いわけではないのです。アメリカには国防省というのがある。NSC(国家安全保障会議)もありますから。日本でもそうですが、もし国務省が機能しなかったら、NSCがやればいいのですよ。

高嶋)では、こういう事態に対して、トランプさんは特に焦るとか、そういう思いはないのですか?

宮家)ぜんぜん関心がないと思います。「俺がいれば十分だ。俺たちで全部やるから。予算は3分の1に減らしてね、あとはティラーソン君頑張ってね」と。やってられないですよ。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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