スポーツ人間模様

葛西紀明選手を奮い立たせる原点「20年前の屈辱」とは?

葛西紀明 2015 ワールドカップ ティテーゼ=ノイシュタット 大会

2015年ワールドカップ ティテーゼ=ノイシュタット大会(葛西紀明 – Wikipediaより)

いよいよ明後日、開会式が行われる平昌オリンピック。スキージャンプは明日の夜から男子個人ノーマルヒルの予選が始まりますが、注目は何と言っても、「ジャンプ界のレジェンド」こと、葛西紀明選手です。

日本人選手では史上最多の8回目のオリンピック出場となる葛西選手。41歳で出場した前回のソチオリンピックでは、日本選手団のキャプテンを務め、ラージヒルで初の個人メダルとなる銀メダルを獲得しました。

7大会連続出場だけでも凄いのに、40歳を過ぎてからの進化はまさに驚異的。これだけではありません。さらにラージヒル団体でも銅メダル。リレハンメル大会での銀メダル以来、実に20年ぶりのメダルを手にしました。41歳8ヵ月でのメダル獲得は、冬季オリンピック・ジャンプ競技では、世界最年長記録であり、この快挙は世界のマスコミにも大きく報じられました。

平昌でも

「目標は毎回同じ。金メダルを獲りたい」

と、自身の持つ最年長メダル記録更新に意欲を見せている葛西選手ですが、さらに今回は開会式で日本選手団の旗手を務めることになりました。

実は「旗手を務めた選手はメダルを逃す」というジンクスがあり、ここ4大会続けてメダリストは出ていません。リハーサルなどで拘束されるため、調整が難しくなるというのも一つの理由ですが、さすがはレジェンド、そんなジンクスなんか関係ないと自ら旗手を買って出たそうです。

もともと葛西選手は、逆境に置かれるほど力を発揮するタイプ。ソチ大会でも、直前に左ヒザを故障に苦しみながらメダルを2つも獲得しました。今回、旗手を引き受けたのは、日本選手団で最年長という立場もありますが、葛西選手いわく「自分自身にプレッシャーをかけるため」でもあるのです。

自分を追い込むことで、集中力を高め、最高の結果を出す……これぞ葛西流です。開会式はマイナス10℃以下も予想され、「歴代最高の寒さ」になる可能性もありますが、葛西選手は、

「使い捨てカイロをたくさん持ってきたので、体中に貼って開会式に出ようかなと思う」「競技は一瞬で終わるけど、一番ヤバいのは開会式。風邪を引かないようにしないと」

と語り、この辺もさすが、抜かりがありません。

葛西選手が40代半ばにして、現役の第一線で活躍し続けられるのは、メンタルの強さはもちろん、あらゆることに研究熱心だからでもあります。筋力を維持するために、今でもウエイトトレーニングは欠かしませんが、フォームを常にチェックし、より遠くへ飛ぶためにはどうしたらいいかを研究。さらに食事面にも気を遣い、競技前に太らないよう、断食をすることもあるとか。

ジャンプでは「体重が1キロ重いと、飛距離を2m損する」と言われるほどで、あくまで距離を伸ばすための我慢ですが、そんなストイックな生活ができる原点になっているのが、20年前に長野オリンピックで味わった屈辱でした。

長野で日本ジャンプ陣は、ラージヒル団体で金メダルに輝きましたが、船木選手、原田選手らが国民的英雄になる中、葛西選手は左足の故障が響き、団体のメンバーから外され、ひとり悔しさを噛みしめました。

「あのときの悔しさがあったからこそ、ここまでやってこられた」

と言う葛西選手。初のオリンピック金メダル獲得で、さらなる伝説を作ってくれるのか。期待して見守りましょう。

2月7日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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