具志堅用高会長が比嘉大吾にアイスクリームを差し入れたワケとは?

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比嘉大吾 トマ・マソン 具志堅用高 WBC 世界フライ級 タイトルマッチ

【ボクシング WBC世界フライ級タイトルマッチ 比嘉大吾対トマ・マソン】勝利した比嘉大吾(中央)を労う具志堅用高会長(右)=2017年10月22日両国国技館 写真提供:産経新聞社

昨日、故郷・沖縄で「KO」で勝ち、世界タイトル防衛を果たしたWBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾選手。これでデビュー以来、15戦連続KO勝ち。過去、日本のジムに所属する選手が「15戦連続KO勝利」を果たしたのは、1986年の元WBC世界スーパーライト級王者・浜田剛史選手と、2007年の牛若丸あきべぇ選手の2人だけ。タイ記録に並ぶ快挙でした。

比嘉選手は、沖縄県浦添市(うらそえし)出身の22歳。中学校までは野球少年でしたが、地元の英雄・具志堅用高さんの昔の試合を、たまたまTVで観て心奪われ、ボクシングを始めました。

高校時代は、オリンピック選手を目指して、宮古島に渡り、宮古工業高校のボクシング部で腕を磨きました。この高校の顧問を通じて、具志堅さんの耳に「将来有望な選手がいますよ」という噂が届き、なんと、具志堅さん自ら

「ウチのジムに入ってプロを目指さないか?」

と宮古島へスカウトに訪れたのです。実は、具志堅さんは故郷・沖縄から新たな世界王者を誕生させようと、人材発掘に励んでいましたが、なかなかいい選手が見付からず、諦めかけていたときでした。

ボクシングを始めるきっかけになった伝説の人に、直々に誘われては、プロ入りするしかありません。2014年1月、具志堅さんが経営する「白井・具志堅スポーツジム」に入門した比嘉選手は、デビュー以来、連戦連勝! しかもすべてKO勝ちという快進撃で、去年の5月、WBC世界フライ級王者に挑戦。メキシコのファン・エルナンデス選手を、6回TKO勝ちで下し、世界王者にとなりました。ついに具志堅さんの夢を叶えたのです。

去年の10月に両国国技館で初防衛を果たし、続く2度目の防衛戦が昨日の試合。試合は沖縄で開催されました。沖縄でボクシングの世界タイトル戦が行われるのは、1981年以来、37年ぶり。

その試合は、具志堅さんが現役時代のWBA世界ライトフライ級タイトルマッチで、具志堅さんは、メキシコのペドロ・フローレス選手に12回KO負けを喫し、14連続防衛に失敗。世界王者を陥落した、因縁の試合でした。

愛弟子の比嘉選手に、凱旋試合で敗れてしまったあのときの無念さを晴らしてほしいという思いもあっての、昨日の試合。

前日計量があった一昨日、計量を一発パスした比嘉選手に、具志堅さんは地元メーカーのアイスクリームを差し入れました。

具志堅さんは現役時代、いつも計量が終わると好物のアイスクリームを食べていましたが、実は37年前の沖縄での防衛戦のときは日曜日で、ほとんどの店が閉まっていたため、アイスを口にせず試合に臨み、KO負けを喫してしまったのです。

「今回は悔しい思いを繰り返さないように」

と、愛弟子に渡したアイスクリーム。比嘉選手は

「最高ですね。会長が食べられなくて負けた理由が分かる。会長のカタキ討ちなので、しっかり食べます!」

と笑顔を見せ、勝利に繋げました。

15連続KO勝利について、比嘉選手は

「僕はKOがなければただの世界王者。特別な王者になるためにも、これからもKOを続けたい」

とコメント。

KO、KOで、師匠をしのぐ防衛記録を作れるか、これからも比嘉選手の活躍に注目です。

2月5日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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