「はれのひ」会見で見た篠崎洋一郎社長は?

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【報道部畑中デスクの独り言】

はれのひ 社長 篠崎洋一郎

おわびする篠崎洋一郎社長

店舗が突然休業し、成人の日の大混乱を招いた振袖販売・レンタル業「はれのひ」が破産手続き開始を決定しました。会見の日時は1月26日午後7時。「あさラジ」の中でもお伝えしましたが、現場の雰囲気も含め、小欄でもお伝えします。

当日この情報が入ったのが午後4時前、渦中の篠崎洋一郎社長も出席…「会場には入れるだろうか」…これまでメディアが殺到する会見は幾度も経験していますが、今回もそんな思いが頭をよぎりました。

移動中、運の悪いことに電車が安全確認のため20分以上停車。そんなこんなで会場に到着した時は、席はもちろんいっぱい、やむなく会見テーブルの背後に身を小さくするしかありませんでした。それでも体は隠し切れず、何人もの知り合いに「映っていたよ」と言われる始末。テーブ上ルのマイクは数えた限り38本。文字通り「すし詰め」の会場となりました。

会場 すし詰め 報道陣 はれのひ 会見

会場はすし詰め 報道陣の「グランドキャニオン」が築かれていた

ただ、背後にいたからこそ見えたものもありました。

予定の午後7時を5分ほど遅れて始まった会見、20分ほど代理人弁護士の説明が続いた後、ようやく篠崎社長が口を開きました。メモを読みながらのおわび、テーブルには添削が入った数枚つづりのペーパーが。想定問答、打ち合わせが入念に行われたことがうかがえました。そして、突然の休業については、「店舗の拡大で人件費が増えて、成人式当日の着付け費用を支払うめどが立たなかった」と、あくまでも経営判断のミスであり、詐欺の意図はなかったと強調。長きにわたり、雲隠れしていたことについては「1人ではどうすることもできなかった」「知人の家にいた」と弁明に終始しました。

はれのひ 社長 カンニング ペーパー

テーブルには「ペーパー」が置かれ…

紺のスーツで姿を見せた篠崎社長は終始、神妙な表情に時折、声を詰まらせる場面もありましたが、後ろ側からみると少し違う姿がありました。病気やストレス、疲労か、あるいは食べ過ぎなのか…スーツのボタンが留まらず、話している間に何度もスーツがはだけ、それをしきりに直していました。マイクを持っていた右手に対し、左手はダラーンと垂れ下がったまま。非常に「だらしなく」見えました。代理人弁護士のきちんとした姿勢とは対照的で、記者会見に臨む姿勢としては違和感があったのが正直なところです。その篠崎社長をカメラマンは前から後ろから、横から斜めから、何とテーブルに潜り込んで撮影する人もいました。「プロ根性」です…。

はれのひ 篠崎社長 左手

うしろから見た篠崎社長の姿勢は…

カメラマン プロ根性 記者会見 はれのひ 社長

テーブルに潜り込むカメラマンも…「プロ根性」

一方、会見は「おわび以外に言うことはないか」「娘を持つ親が自分だったらどうだったか」など、感情に訴える質問が目立ちました。記者からも「ウェットな質問が多かったな」という声が出ていました。

「あさラジ」の中でもお伝えしましたが、代理人弁護士によりますと、負債は6億3,500万円、これにお客の損害分を含めると、総額10億円に上るとみられます。これには従業員の未払い賃金約1,800万円も含まれます。破産手続きがスタートすると、お客さんは被害者であると同時に「債権者」にもなります。債権者はお客も含めて1,600人。着物は順次お客に返還されるということですが、支払った代金は戻ってくるのか…。

篠崎 社長 はれのひ 会見

神妙な表情の篠崎社長

篠崎社長の個人資産は数十万円とわずか、会社の資産としても客がついていない状態の着物が200着ほどあるそうですが、どれくらい現金化できるかは不透明です。篠崎社長は会見で当初、1着10万円ぐらいと話しましたが、弁護士がすぐにその“皮算用”を撤回する一幕もありました。仮にその値段がついたとしても2,000万円。負債総額と目される10億円の50分の1に過ぎません。負債総額の中には税金などの滞納が約5,500万円あります。「あさラジ」コメンテーターの須田慎一郎さんによりますと、着物は中々値がつかない上に、税金が最優先に充てられるとすれば、計算上は手元に全く残らないということになります。厳しい状況と言わざるを得ません。

記者会見 はれのひ 社長

記者会見は約2時間に及んだ

また、刑事責任については、あくまでも会見での発言を額面通り受け取った場合ですが、篠崎社長は「詐欺の意図はなかった」「不正融資はない」と話しています。刑事責任に問えるのか…会見に社長が姿を見せたのは、そうした事情を織り込んだ上かもしれません。

一方でお客は債権者と申し上げましたが、これは代金を全額払った人のことで、仮に分割などでまだ全額を支払っていない状態の人は「債務者」にもなってしまう…極端な話、制度上は残りを追加で払わされた上にそのお金は戻ってこない…なんて可能性もあり得るわけです。さすがにそこまで非情なことにはならないと思いますが…今回の騒動の複雑なところです。

やり場のない怒りがこみあげてくる…そう感じる方も多いと思います。債権者集会は6月20日。およそ5カ月後になります。

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