尖閣周辺接続水域を潜水艦航行~中国軍の狙いとは?

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1/12(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

政治的・軍事的、それぞれの狙い
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キャノングローバル戦略研究所研究主幹)

尖閣諸島大正島周辺の接続水域を中国潜水艦が航行

沖縄県の尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域を、潜った状態の外国の潜水艦1隻と中国海軍の艦艇1隻が航行しているのを、防衛省が昨日確認しました。いずれも昨日午後、接続水域を出たということです。防衛省は潜水艦を中国海軍のものとみて中国側の狙いを分析しています。

防衛省によりますと、潜水艦は一昨日の午後から昨日午前にかけて、沖縄県の宮古島周辺を航行しました。領海の外側22kmにある接続水域を進んで、昨日の午前には尖閣諸島大正島周辺の接続水域を潜って航行しました。この潜水艦について防衛省は、中国海軍のものを見ています。また、中国海軍のフリゲート艦1隻も昨日午前、尖閣諸島大正島周辺の接続水域に入りまして、潜水艦とともに昨日の午後、接続水域の外に出ました。

日本政府の関係者によりますと、接続水域を航行しているこの潜水艦を海上自衛隊の船が追尾し、これを追いかけるかたちで、中国のフリゲート艦も接続水域に入ったということです。接続水域の航行自体は国際法上、問題ありませんけれども、外国の潜水艦が潜ったまま接続水域に進入したというのは、一昨年、長崎県の対馬付近で見つかって以来、6回目でして、尖閣諸島周辺では初めてということになりました。

今回、領海侵犯はありませんでした。日本政府としては、北朝鮮の問題での連携とか、日中韓首脳会談での日本開催を実現しようということで、河野外務大臣を今月中に中国に訪問させたい考えなのですが、対応次第では、安倍総理が進める日中関係改善の取り組みにブレーキがかかる可能性もあります。菅官房長官の昨日の記者会見です。

菅官房長官)我が国としてはですね、中国大使に抗議を致しました。中国が日中関係改善の流れを阻害することの無いように強く求めていきたいという風に思っています。

中国としては「尖閣諸島は中国固有の領土だ」という主張を譲る考えはありません。習近平指導部は去年の共産党大会で強国の建設を新たな国家目標に設定しておりまして、国家主権を守る姿勢を示して、習近平の求心力を高めている、そういう側面もあるとみられています。

潜水艦からの核攻撃できるという主張でもある

高嶋)中国の潜水艦がこの接続水域を通るのは二度目だと新聞に書いてありますが、どういうことでしょうか?

宮家)政治的なものと軍事的なものに分けましょう。軍事的に考えた場合には、潜水艦が静かに深い海でじーっとしていて、誰にも見つけられずに、突然ミサイルを撃てる。これが核抑止力という観点から言うと…第二次攻撃能力と言うのですが、陸地の核がダメになっても、海の核が打てますよ。ということです。

高嶋)SLBMですか。

宮家)SLBMです。報復能力があるという意味では、それを持つか持たないかは大きな違いですよね。そして中国の周りというのは大陸棚があるので、浅いから意外と見つかっってしますわけです。見つかってしまったらやられちゃいますから、できれば彼らは宮古島と沖縄本島の間のこの水道を通って、深い深い深い太平洋に出て、そこで静かにして、いつでも撃てるぞという風にやりたいわけですよ。その一環としてこのいろんな準備、実験なり訓練をしているわけです。

高嶋)今、戦争をする気はないにしても。

宮家)そうです。

高嶋)万が一のときはアメリカ本土だって、潜水艦で核攻撃できるんだぞという、そういう力持ってるんだぞと。

宮家)それが最終的には目標だと思います。ですから、その意味で尖閣の問題ももちろんそうだし、宮古島の話が出てきているのはそういった関係があるということです。

尖閣周辺接続水域を潜水艦航行~中国軍の狙いとは?

中国人民解放軍は表向きの日中関係とは関係なく動いている

高嶋)政治的というのは?

宮家)政治的というのは、日中関係改善と言うけれども、中国軍、中国人民解放軍は全く違うロジックで動いていると思います。ですからこんなこと言っちゃいけないんだけど、外交部に文句言ったって、外交部は何も権限ないですから。その意味では残念ですけれども、政治的に言うと、我々が考えている日中の関係改善のものと全く違うロジックで人民解放軍は動いているだろうし、これからもそうなる可能性が高い。強い立場で言わないと、彼らはやめないだろうと思います。

高嶋)なるほど。

宮家)表面ヅラの平和友好みたいな顔と、戦争というものを想定した軍の考えることというのは、もう全く別のことを考えているということです。

高嶋)それで、長時間潜航するための技術だとか、プロペラのその静粛性ですか、スクリューの、ああいうものもすごく進化しているということですね。

宮家)今回、見つかってしまったわけですから、中国海軍からすれば、「アホ」と「お前見つかっちゃったじゃねえか」と。本当は静かに行くはずなのにね。

高嶋)見つかってる分にはこっちも安心ですものね。

宮家)技術が進化してますから、そこで見つけられなくなったときが一番心配なんです。だから、今回はおそらく、海上自衛隊が発表したとしたら、これはもう、「ちゃんと見てぞ」と。「なめんなよ」という話ですよ。

高嶋)文字通り潜水艦なみに潜航したところで、そういう軍備の争いというのは、行われていると。

宮家)これからも続きます。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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