【第94回箱根駅伝】総合優勝4連覇を果たし、ガッツポーズする青山学院大・原晋監督＝2018年1月3日東京都千代田区大手町　写真提供：産経新聞社

1月5日（金）のニッポン放送の番組『垣花正 あなたとハッピー！』で、第94回箱根駅伝で青山学院大学を見事4連覇へと導いた青山学院大学陸上競技部長距離ブロック・原晋監督がユニークで熱烈な駅伝論を披露した。

昨年の12月15日に同スタジオに顔を出した時に「ここからが腕の見せどころなんですよ」とポロッと口に出した原監督。そのことについて聞かれると「三ツ星レストランですからね、私はね」とおどけてみせた。どのように最後の仕上げをしたかと聞かれると……

原監督）データに裏付けさているものと、最後のマニュアルではない所謂“さじ加減”、これはやはり寮で学生と一緒に生活しているからこそ出せる技なんですかね。

垣花アナ）なるほど、データの部分ですと早稲田大学の大学院で新たに学んだことが活かされたとおっしゃっていましたよね。

原監督）ええ。担当教員の平田先生の元でいろんな角度で分析をするノウハウをいただきましたので、非常にわかりやすく学生に説明する資料ができました。「決してうちは弱いんじゃないんだ、過去3年間のデータと比べても全く遜色はないんだ」ということを数字で表すことができるんで、学生もその気になりますよね。

原監督が新しく学んだスキルを学生へデータとして開示することで学生は自信を持つことができたという。学びを得て進化した原監督は「自分自身が言葉のテクニックだけでまやかしてるんじゃないかと一見とられがちなんですけど、実は緻密な裏付けがあるんだということが証明できたことは私自身も嬉しく思いますね」と明るい声で語った。そして先の“さじ加減”についてさらに詳しくこう付け加えた。

原監督）“無駄”にこだわりを持つことは最後にはどの分野でも必要だなと。マニュアルだけではない人間が動かすものが最終的には残ってくるなと思います。

またスタジオではスポーツ報知の印象的な記事についても言及。箱根駅伝に出られない選手たちの記録会で、来年がない4年生の石川選手が自己ベストに近い記録を出した。それを見た下田選手は熱いものを受け取り、箱根駅伝の本番につなげたという記事だ。

垣花アナ）『ハーモニー大作戦』というのはつまり、走っている選手以外も含めて全員で奏でているんだと思ったんですよ。

原監督）必要のないピースはないんですよね。どんなに高級な腕時計であっても小さな部品は絶対必要、それがないと動かないんですよね。そういう意味合いで、一見関係ないような外れた選手の頑張りが実はチーム全体のハーモニーを良い音にさせているんですよね。

垣花アナ）監督自身が細かくひとりひとりにちゃんと目を配っていることをみんなわかっているからですね。

原監督）私自身がですね、競技を引退する時に「これだけ頑張ったんだ！」ということを出せなかったんですよね。その後悔がずっと残っているので「お前たちは後悔しない学生生活を、好きな陸上に打ち込んでくれよ。最後に出られるのは10人だけど10人が偉いんじゃないんだよ。自分自身のけじめのためにも最後まで頑張ってくれよ」と常日頃学に伝えていますので、それがチーム青学の力ではないですかね。

そんな力強い言葉を持つ原監督のライバルはサッカー界や野球界だという。

原監督）今日本の人口が1億2,000万人ですが、30年後には1億をきります。50年後には65歳までの高齢者が4人に1人から2.5人に1人になる、人口ピラミッドが決まっている。そうなると、少子化になった少ない牌をどう陸上界が奪い合うかという世界になってくるんですよね。陸上界を魅力的なものにしていかないと優秀な人材が野球やサッカーに流れちゃいますよね。そういう視点で私は、4連覇した監督だからこそ言えるのかなと、そういう発信をさせていただいてます。

日本の人口ピラミッドのレベルで陸上界を語った原監督。レース前の合同記者会見で、4連覇した際には和田アキ子の『あの鐘を鳴らすのはあなた』を歌うと公言し、「チャペルの鐘を青山のみんなで鳴らそうよね」という替え歌にしたらしい。それを受けてか和田アキ子もインスタグラムで原監督とのツーショットをアップしている。最後に原監督はこう締めくくった。

原監督）箱根駅伝を通してみなさんに夢や希望をお届けできたのかなと思います。新年、また1から頑張ってまいりましょう。ハッピー！

垣花正 あなたとハッピー！
FM93AM1242 ニッポン放送 月～金 8:00～11:30