2017年 休刊した雑誌たち

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新聞の雑誌や本の広告とか見ていると、出版は元気なのかなと思っちゃうんですけど、この時期になると、雑誌の休刊のニュースを目にしますよね。そこで、2017年に、休刊、お別れとなった雑誌を取り上げます。

雑誌が深刻な状況になっているようです。出版市場はピークだった21年前の1996年から半減してしまいました。出版科学研究所によりますと、今年の出版市場が前年比7%マイナスのおよそ1兆3700億円になりそうだという事です。この厳しい状況の中、様々な雑誌が休刊しています。

まず、1980年に創刊された働き盛りのビジネスマン向けの雑誌「BIG tomorrow」。自己啓発や、処世術、投資情報などが掲載された、おなじみの雑誌。11月25日発売の2018年1月号、12月14日発売の増刊を最後に38年の歴史に幕を閉じました。

2017年 休刊した雑誌たち

Amazonより

日本(にほん)雑誌協会が公表している印刷部数によりますと、2008年4月から6月は、およそ13万7700部でしたが、今年4月から6月にはおよそ8万2300部に落ち込んでいたようです。ビジネスマン向けの雑誌では「プレジデント」の一強状態で、今後も淘汰が進むかもしれません。プレジテンドは、今年の7月から9月で印刷部数は32万部、2位の週刊ダイヤモンドは12万7千部。

続いて、こちらも厳しいのが若い女の子向けの雑誌です。2014年に、あのコギャルブームを牽引した「エッグ」が休刊、2015年には裏原宿系と呼ばれる10代向けの雑誌「キューティ」などこちらも休刊が相次いでいます。
このほど、休刊となったのが原宿系ファッション雑誌「Zipper」(ジッパー)。こちらは1993年に創刊した雑誌で、24年間の歴史に幕を閉じました。我々、中高年の男性にはピンと来ませんが、実は影響力の強い雑誌なんです。読者モデル、いわゆる「読(どく)モ」を積極的に起用してきた事で有名で、ミュージシャンのきゃりーぱみゅぱみゅさんや、「ぺこ&りゅうちぇる」で知られるモデルのぺこさんなども、ブレイク前から、この「ジッパー」でモデルとして活躍していました。

2017年 休刊した雑誌たち

Amazonより

若い女の子の雑誌離れの背景には、今年の流行語にもなった「インスタ映え」でも知られるSNS「インスタグラム」の影響があると言われています。インスタグラムだと、誰もがいい写真を撮れて、読者モデルになれる。しかも、基本的に無料で、しかも情報が早くて、ダイレクト。これまで雑誌を通じて、カリスマ的な人気を誇るモデルさんやタレントさんの情報を追っていた女の子たちが写真も豊富で、手軽なインスタグラムに流れていったようです。

この他にも、数多くの雑誌が休刊しまったんですが、明るい話もあるんです。それが「休刊した雑誌の復活」。今年、休刊となった日刊スポーツ出版のプロ野球の選手の素顔に迫った雑誌「プロ野球ai(あい)」と、43年の歴史を誇る高校球児を取り上げた雑誌「輝け甲子園の星」が来年、復刊する事が決まりました。名乗りを上げたのが、東京中央区にある「株式会社ミライカナイ」という2011年に設立された新しい会社。

実はミライカナイという企業は年末恒例のテレビ番組「プロ野球戦力外通告」などを手がけるテレビ番組の制作会社。この企業の社長の津川さんが以前から、野球雑誌を手掛けたいという夢を持っていた為、少年時代からの愛読書だった「プロ野球ai(あい)」と、「輝け甲子園の星」の休刊をきっかけに、出版元だった日刊スポーツ出版社から権利を譲り受けて、復刊する事を決めました。

では、どうやって復刊するのか?出版に必要となる諸費用の一部をクラウドファンディングで募っているんです。つまり、その雑誌を読みたい希望者による募金によって、復刊をする。実は、雑誌を作るのは、非常にお金がかかるんです。ある程度の部数を発行する場合、1冊あたりにかかる印刷は、250万円、取材許可のパスを得る為に必要な雑誌の協会の加盟料が高くて、年間140万円、これにライターやカメラマンのギャラや、営業社員、編集社員の給与などもかかるので、雑誌1号あたり700万円から、800万円もかかるそうです。「プロ野球ai(あい)」と、「輝け甲子園の星」は来年、合わせて8冊出版するので、6000万円もかかる。

現在、クラウドファウンディングで出資者を募っているのは、来年2月からの復刊を目指している雑誌「輝け甲子園の星」。出資者には、嬉しい特典があるそうです。細かい説明は割愛しますが、支援は千円から出来ます。復刊支援として、例えば、3千円を寄付すると、雑誌「輝け甲子園」の特設ページに名前が掲載されます。しかも、その名前が掲載された雑誌も送ってくれるそうです。雑誌自体が千円なので、実質2千円で雑誌に名前が載る事になります。しかも、雑誌は送料なしで自宅まで郵送してくれるそうです。

日本の雑誌は国会図書館で半永久的に保存されるので、あなたの孫の代まで、閲覧できるかもしれません。あなたの名前ではなくても、OK!野球をやっているお子さんや、お孫さんの名前でも構いません。お子さんやお孫さんの名前が雑誌に刻まれたら、きっと喜ぶでしょう。ちなみに、思い切って、5万円出資すると、編集会議や復刊記念パーティーに参加できるそうです。高校野球や、出版の世界に興味のある方には、貴重な体験と言えるでしょう。ちなみに、「輝け甲子園の星」のクラウドファウンディング。目標額は100万円なんですが、まだあまり集まっていないそうです。

このケースがうまくいって、愛読者による募金、出資で雑誌が立て直されると、今後の新しいモデルケースになるかもしれません。

デジタル化が進む中、紙の雑誌にも頑張って欲しいですよね。

 

12月29日(金)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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