あけの語りびと

鉄道ムードいっぱいの床屋で散髪進行~!

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

BBつばめ

鉄道ムードの床屋『BBつばめ』はこちらです

西武池袋線「清瀬駅」南口、駅前商店街を抜けて、10分ほど歩いた住宅地に、『BB(ビービー)つばめ』という理髪店があります。

BBとは、バーバー&ビューティーの略で、「つばめ」は、かつて東京・神戸間を走った「特急つばめ」から……。ここは、日本で唯一、鉄道ムードが漂う理髪店です。ご主人の、渡邊和博さんは、47歳。自らを「駅長」と名乗り、駅員の帽子に制服姿で髪を刈ってくれます。

渡邊和博 BBつばめ

駅員の帽子と制服でお出迎えの渡邊駅長

よちよち歩きの頃から鉄道が大好きだったという渡邊さん。「大きくなったら、電車の運転手さんになりたい」と思うものですが、両親が所沢市で人気の理髪店を営んでいたこともあり、「僕は、床屋さんになるんだ」と小さい頃から決めていたそうです。

「職人気質の頑固な父親でしてね、今も覚えているのは、幼稚園に入った僕を、父が工作クラブに入れたんですよ。なぜか、分かります? 工作って画用紙をハサミで切るでしょう、ハサミが器用に使えるようにさせたかったんですよ」

BBつばめ

幼稚園の頃から鍛えられたハサミさばき

中学生から、店の掃除やタオルの洗濯などを手伝い、高校を卒業後、専門学校に進み、理容師の国家資格を取得。その後、実家を離れ、修行に出て、他のお店で働きます。

渡邊さんが、鉄道部品を集めるきっかけは、小学4年生の時……、田端機関区で開かれた廃品市で、電気機関車の電圧計を、小遣いの3ヶ月分、1,500円で買ったのが始まりでした。20歳から給料が入ると、鉄道グッズの購入資金に充てます。中でも「サボ」と呼ばれるサイドボード(行先表示板)をたくさん買い集めました。

「どこからどこへと駅名が書いてあるサボは、一枚一枚、味があり、眺めていると、吹雪の中や海岸線を走る列車が、目に浮かぶんです」

電圧計 BBつばめ

小学4年生のときに渡邊さんが1,500円で買った電圧計

30歳を過ぎた頃、アパートは、鉄道グッズで溢れていました。そろそろ実家に戻り、店を継ごうと思った渡邊さん。二代目になるなら、鉄道ムードが漂う店にしたいと、父親に打ち明けると、「だめだ!」の一言でした。

「そんな店にしたら、地元の馴染み客が離れてしまうという、父の気持ちも理解できたので、それなら、自分で始めるしかない、と、いまの清瀬市に、ローンを組んで、自宅兼店舗を建てたんです」

入口の待合室には、本物の四人掛けボックスシートを置き、店内の壁という壁は「行先表示板」で飾り、天井に、首振り扇風機。その他、懐かしい品々でいっぱい! 木の床の細長いお店は、まるで客車のようです。

BBつばめ

お店の入り口から鉄道ムードがぷんぷん匂っています

BBつばめ

ボックスシートの横には吊革もいっぱい!

「上の二つの部屋も鉄道グッズに占領され、妻は呆れ返っていますよ。でも、季節ごとに、行先表示板を変えると、お客さんが、『あ、うちの田舎の駅だよ』と懐かしがってくれるんです」

独立を決意してからオープンまで、準備に2年を要しました。お店を開いたのが、2005年10月30日……、お客さんの8割が鉄道ファンです。鉄ちゃんブーム」に乗って、今では「完全予約制」の人気のお店になっています。

「残念なのは、お店を開く前に、両親が病気で亡くなったことですね。もしも父が元気だったら、この店を見て何と言ったかな? 頑固な父でしたから、『うん』としか、言わなかったでしょうね」

BBつばめ

季節ごとに変わる行先表示板 たくさんの行き先が壁にひしめき合っています

BBつばめ

あちこちに鉄道グッズがありますね 奥には駅長の渡邊さん

今年の営業は、休まず大晦日まで続きます。お正月の予定をうかがうと……、

「毎年『ゆく鉄くる鉄ツアー』を企画しているんですよ。今年は、大晦日の夜10時、東京駅を出発し、熱海あたりで年越し、明石で初日の出を拝み、出雲駅に到着。出雲大社へはお参りせず、20分で乗り換えて、福山、岡山、新大阪、金沢、長野、松本、そして2日の夜、新宿に到着。電車に乗りっぱなしのツアーですが、お客さんに喜ばれています」

『BBつばめ』では、要望があれば、こんなサービスもしてくれます。

『カットで、お待ちの上柳様、一番座席へどうぞ! 散髪進行〜!』

BBつばめ

「散髪進行〜!」サービス精神旺盛の渡邊駅長です

散髪時間は、1時間ほど。この間、鉄道談義に花を咲かせながら、髪を刈っていきます。

鉄道ファンは、自分が、どれだけマニアックか、ちょっと自慢話を聞いてもらいたい人が、多いとか。

「BBつばめ」で、鉄道に関する思い出話や情報交換などをして、髪も心も、さっぱりして、お客さんは帰っていくそうです。

渡邊さんの将来の夢は、貨車の最後尾に連結していた「車掌車」を購入して、そこで、お店を開くことだそうです。

BBつばめ

鉄道ファンなら一度は行ってみたいBBつばめ

『BBつばめ』

東京都清瀬市松山1-46-30
西武池袋線・清瀬駅南口より徒歩10分

電話番号 042・492・8430
定休日 毎週木曜日(年末最後の木曜日は営業)
完全予約制
駐車場完備

ホームページ:http://bb-tsubame.com/index2.html/
Twitter:https://twitter.com/bbtsubame

上柳昌彦あさぼらけ 『あけの語りびと』
2017年12月27日(水) 上柳昌彦 あさぼらけ あけの語りびと より

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

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