政権初の「国家安全保障戦略」~トランプ大統領は原稿をただ読んでいるだけ!?

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12/19(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

中国・ロシアを“修正主義国家” 北朝鮮・イランを”ならず者政権“と言及
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター高橋和夫(放送大学教授・国際政治学者)

トランプ

2017年12月18日、米ワシントンで演説するトランプ大統領(ゲッティ=共同)写真提供:共同通信社

トランプ政権初の国家安全保障戦略を公表 ロシアにCIAの情報提供も

アメリカのトランプ大統領は18日(日本時間19日未明)、政権で初めての包括的な安全保障政策「国家安全保障戦略」を公表し、アメリカの国益を守るアメリカ第一の安全保障戦略を行うと表明した。トランプ大統領は演説で北朝鮮とイランを“ならず者政権”と非難した。

アメリカの「国家安全保障戦略」というのはアメリカの安全保障上の国益を守る為の様々な政策を包括的に示す文書で、大統領が議会に提出するよう法律で義務付けられているものです。トランプ政権初めての国家安全保障戦略が日本時間の今日未明公表されましたが、その中では「中国とロシアが国際社会でアメリカに挑戦している」と警戒感を示しまして、この中国・ロシアを名指しして“修正主義国家”と言及しました。国際秩序の現状変更を試みているのが修正主義国家だと位置付けておりまして、特に中国については「政治・経済・軍事・情報などあらゆる分野でアメリカの競争相手だ」と指摘しています。
しかし一方で北朝鮮問題やシリア情勢などでは中国やロシアと協力する考えを強調しました。また北朝鮮が核兵器や生物・科学兵器を追及しており、イランはテロを支援しているということで北朝鮮とイランを“ならず者政権”と非難しました。
トランプ大統領はワシントンで演説しまして「アメリカ第一の安全保障戦略でアメリカは再び強くなる」とこう述べました。「国力や最強の軍事力を保つ為には経済力を再建するんだ」とこのように強調し。
ただこうした中ロシアのプーチン大統領とトランプ大統領は17日電話で会談しまして、プーチン大統領が「アメリカのCIA(中央情報局)からもたらされた情報でテロを未然に防ぐことができた」とトランプ大統領に感謝の意を示しました。ロシア連邦保安局によりますと、サンクトペテルブルクで16日に自爆テロなどを計画したということで、過激派組織IS(イスラム国)に関係した7人を拘束したということです。トランプ大統領は「今回の情報提供は米露2国間の協力の良い例だ」と話したということです。

 
ロシアと上手くやっていきたいトランプ大統領 プーチン大統領は“援護射撃”しているに過ぎない?

高嶋)今になって国家安全保障戦略を公表とか、懐かしい“ならず者政権”なんていう言葉が出て来まして、片やプーチンさんとは会談でサンクトペテルブルクの一件についてはありがとうみたいな、これは全て総合的に考えるとどう分析したら良いのでしょう?

高橋)トランプさんというのは政権が始まったときから閣僚を意見が合っていないのですね。だからティラーソン国務長官、マクマスター補佐官、そしてマティス国防長官は皆「ロシアが脅威だよ」と言っていて、トランプさんだけは「いやプーチンは良い奴だよ、俺は尊敬しているんだ。あいつと上手くやりたい」ということを言っていて、それがそのまま出てしまっておそらく我々としてはまともなこの3人がまとめた報告書が出て、そうまともでもない大統領が全く違うことを言ったという構図になっていて。何というか、こういう統一性の無いトランプ政権がそのまま出てしまったなと。
トランプさんは一応この文書を「アメリカ第一の文書だ」と言うのですけど、本当にこんな難しい文書をトランプさんは読むのかなと思うくらいですね。

高嶋)一方でフリンさんの調べはモラーさんがずっとやっているわけですよね、“ロシアゲート“云々について。それでプーチン・トランプ会談で結構にこやかな感謝の言葉を述べ合ったりして、この辺はどういう風に考えたらよろしいのですか?

高橋)プーチンがこれだけ追い詰められているトランプを援護射撃しているのだと思いますね。ロシアと上手くやると言っても「何も上手くいっていないじゃないか。お前の閣僚は皆ロシアが脅威だと言っているじゃないか」と叩かれている中で「いや上手くいっているんだ」と。その例がテロを防ぐ上での協力だということですね。
FBI(連邦捜査局)の捜査も段々進んできていますけど、アメリカでのかなりの議論はあまり進み過ぎるとトランプさんがまたFBIの長官をクビにしてしまうのではないかということですよね。でもそれをやると流石に怪しいと思われてしまうよね、という議論がワシントンでは今ぐるぐる回っていますね。
 

北朝鮮を“ならず者政権”と非難 北朝鮮もエルサレム問題について反応

高嶋)北朝鮮を“ならず者国家”と言うのは大賛成ですけど、何だかイスラエルの方があんな風な状況になって来て北朝鮮の方がちょっと放っておかれるのではないかと言う人もいますけど、これに対してはどうですか?

高橋)やはり日本の国益はアメリカの重心が東アジアにある方が良いのですよね。その方が北京にいる人も平壌にいる人も真剣に日本やアメリカを見てくれるわけですから。だから今回のエルサレム問題で北朝鮮も非難声明を出していますよね。もう「トランプさんありがとう」ということでしょうね。

高嶋)本当かどうか分からないのですけど、今日一部新聞に出ていましたけどいわゆるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射が1ヶ月遅れただの講堂が壊れただのというので責任者が処刑されたなんていうのがありましたが、それは十分に考えられますか?

高橋)そうなのですね。ただなぜか普段こういうことに関してそんなにつっこんだ報道をしていない新聞の報道だったので「大丈夫かな? どうして他の新聞は報じないのかな?」ということで、もしかしたら北朝鮮がそういう情報を流して実際は何もしていないのに「お前たちいい加減にしろ」と科学者たちに強いメッセージを送っているのかもしれないですね。

高嶋)一言この国家安全保障戦略云々で、対中国というのはどうなりますか?

高橋)対中国に関してもある意味厳しくということは出ているのですけど、でも協力をするとも言っていてどっちなのかということで、あまり強いメッセージは出ないでしょうというのが私の印象ですね。

高嶋)何だかさっき先生もおっしゃった「大統領は読んでいないんじゃないか」という台詞でなんとなく全て解決しているような感じがしますね(笑)。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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