トランプ減税によりアメリカの景気が良くなる2つの理由とは?

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12/18(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

日本経済への影響は?
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

ホワイトハウス 税制 改革 トランプ 大統領

米ワシントンのホワイトハウスで税制改革について話すトランプ大統領=2017年12月13日(UPI=共同) 写真提供:共同通信社

法人税の低下により、企業は先行投資できる予算が増え、活性化していく

アメリカでは、トランプ大統領が政権公約に掲げていた大型税制改革の実現に向けて動いている。実現した場合、アメリカの経済はどうやって活性化するのか、日本とアメリカの法人税・所得税を比較しつつ、解説していく。

高嶋)公約していた「トランプ減税」についてですが、これが年内に実現するそうで、10年間で170兆円の減税効果があるとか。アメリカの景気は、よくなりますか?

須田)これは、ポイントが2つあると私は思っています。
1つは、今回の減税に関して言うと、1点目としては、法人税が大幅に引き下げられる、ということです。現在は35%の法人税は、来年から21%に引き下げられる。
もう1つは、所得税。所得税の減税で、中間層の家庭では年に2,000ドル(約22万円)の減税になる、ということ。「これがダブルで効いて、景気がいい方向へ向かうのではないか?」ということですが、1点目の法人税減税に関して言うと、21%というのは、世界的な水準で見てもかなり低い方に入ってきます。日本の場合、地方税も合わせて、法人税は37%なのですが、そうすると中小企業は例外としても、大企業としては、たとえば、仕事をして利益を上げて、その約4割が法人税に持って行かれてしまうわけです。残った6割を蓄えておいて、「設備投資や研究開発に使おう」という方向に向かうのですが、アメリカの企業は、そうした意味で言うと、8割残って、それが先行投資に使える。そうなると、競争的に日本は不利じゃないか、と。

高嶋)圧倒的に不利ですよね。

須田)逆に言えば、アメリカ企業は圧倒的に有利になるのです。そうした点で言うと、これも景気に大きなプラスの効果で働くでしょうし、あるいは「日本の法人税も下げられるのでは?」という、法人税減税競争が、世界的に起こってくる可能性もあるということです。

消費の多いアメリカの場合、所得税が下がると消費が拡大し、景気はさらに良くなる

高嶋)アメリカの現在儲かっている企業とかは、国に対するロイヤリティがスゴく低くて。例のも、「税をいかに逃すか、払わずに済むか」に熱中しているでしょう?

須田)そうですね。

高嶋)そういうのもあるのでしょうね。製造業とか、他にいろいろな会社があるわけですから。

須田)だから、アメリカで誕生した企業や、アメリカに本籍がある企業でも、本社を低税率の外国に移すことにより、その国に税金を納めている。するとやはり、(アメリカに)戻ってきて欲しいですからね。それに対してペナルティも課しているけれど、「でも、アメリカは高いじゃないか!」ということで戻ってこない。
もう1点、所得税の減税ですが、これは所得税の減税に関して言うと、「お金を貰わない」と考えるのではなく、「一旦受け取ったものを、同額返済する」という風に考えると、「22万円の補助金を各家庭にばらまく」ということになる。アメリカ人というのは日本人と違い、ものスゴく消費しますから。日本人は「蓄える」という発想がありますが、彼らにはあまりない。ですから、ほとんどが消費に回っていく。GDPの7割は個人消費によって支えられている。なので、消費が拡大すると、さらに景気がよくなる。個人も企業も、景気を後押ししていく。

高嶋)私は経済に関して素人ですが、いつも思うことがあります。アメリカはそうした実体経済で株価が上がっているじゃないですか。日本の場合は年金のお金とか、日銀とか、政府とか……それが、国債買ったり株買ったりして、買い支えている。「いつまでやってるの?」みたいなことになっているわけですが。この違いは、かなりのダメージを持って日本に響いてくるのでは?

須田)そうした意味で言うと、アメリカの株価の上がり方というのは、非常に健全、健康的な上がり方ですよね。日本の場合、カンフル剤をガンガン打ち込んでいますから。打ち込んでいる最中に、個人消費や企業の業績が回復することを望んでいるのでしょうけれど、それが間に合うのか、日本の場合問われているのだと思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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