エルサレム首都宣言が日本に与える深刻な影響とは?

12月14日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

イスラエルの人々の暮らしと平和への可能性
6:32~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

エルサレム イスラエル モスク 小競り合い 治安部隊

エルサレム旧市街にあるモスク(イスラム教礼拝所)には2017年12月8日、多くのイスラム教徒が集団礼拝に訪れた。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都だと認定して以降、初めての金曜日。礼拝後には旧市街の入り口で小競り合いが起き、一瞬で現場が騒然となる一幕もあり、イスラエルとパレスチナの間の緊張が限界状態にあることを示した。旧市街の入り口付近で、騒ぎを起こしたパレスチナ人を連行するイスラエル治安部隊 写真提供:産経新聞社

エルサレム首都宣言~東エルサレムに1万4,000個の住宅建設予定

エルサレムを首都と認定し、大使館移転を早めるアメリカ合衆国。トランプの狙いと考え、現在イスラエルで暮らす人々の様子とパレスチナとの平和の可能性、そしてそれを阻害するハマスについて佐藤優が解説する。

高嶋)トランプさんがエルサレムの首都宣言をして大使館移転だと大騒ぎになっていますが、先日のニュースで東エルサレムだったと思いましたけど、1万4,000個の住宅を建設すると。いや、ネタニヤフさんはやることが速いなと思いましてね。これあれですか、完璧に既成事実化していこうという。

佐藤)そういう考えですね。あっという間に既成事実化しちゃうと。それで東エルサレムって今まで、建物つくったりユダヤ人が入ってくっていうのを抑制してましたから、一気呵成にやっちゃおうということでしょうね。1万4,000くらいだったら東エルサレムにはまだ土地ありますから、あと地上げ屋さんみたいなのも入って来ますからね、できちゃいますね。

高嶋)そうですか。素朴に聞きたいんですけど、前にそのイスラエルのドキュメンタリー番組観ていたら、イスラエルのちょっとお金持ち風の家の庭とか塀とかをパレスチナ人が一生懸命つくってるんですよ。いつも敵対してるんだとばっかり思ったら、あんな光景っていうのは珍しくないんですか?

佐藤)いまはパレスチナ人はあまりいないです。どうしてかっていうと、ハマスという人たちがガザ地区を占領して、そこでテロを行うようになりましたから。ベルリンの壁よりもっと高い壁をつくっちゃって、人の流入をほとんど止めてますから。今、庭師でいるとしたらアラブ人なのですが、パレスチナ人じゃなくてイスラエル人のアラブ人で、キリスト教徒です。

高嶋)え、ちょっと待ってくださいよ。イスラエル人のアラブ人?

佐藤)いるんです。

高嶋)キリスト教徒?

エルサレム パレスチナ 自治区 ラマラ 壁

エルサレムとパレスチナ自治区のラマラの間に設置されたカランディア検問所付近の分離壁。壁にはPLOのアラファト元議長の絵などが描かれている=2011年9月28日、イスラエル・エルサレム近郊 写真提供:産経新聞社

すべてのアラブ人がユダヤ人と対敵しているわけではない

佐藤)はい。イスラエルのシェケルというお札を見ると、ヘブライ語と一緒にアラビア語も書いてあります。イスラエルはアラビア語も公用語です。それで、イスラエルにはパレスチナ人以外にアラブ人のキリスト教徒が結構いるのです。もう昔からいるアラブ人のキリスト教徒で、カトリックとかプロテスタントとか正教とはちょっと違う。5世紀くらいに分かれた古いキリスト教徒がいます。教会もけっこうあります。

高嶋)それ聞いただけではちょっとわからないですね。

佐藤)案外、仲良くやっているのですよ。イスラエルって皆さんびっくりしますが、金曜日の日没の瞬間から、例えばエレベーターは各階停止になります。

高嶋)どうしてですか?

佐藤)火の大きさを変えたらいけないというユダヤ教の戒律があります。電気もファイアーなのです。それだから、休みの日は全部自動的に各階に停まるエレベーターに切り替わります。だから高層ビルなんか50階とか行くのに何十分もかかってしまいます。金曜の夜から土曜の日没まで。それで、その間、ユダヤ人は戒律によって一切仕事をしたらいけない。その日はお祈りしてないといけない。でも世俗的なユダヤ人はお祈りとかしないですよね。でも働いたらいけないのです。そしたらね、ホテルとか運営できなからと困るでしょ?

高嶋)そうですね。

佐藤)全員アラブ人でやる。

高嶋)ええ!

佐藤)シェフもベッドメイキングも、フロアマネージャーもフロントも全員アラブ人でやるの。

高嶋)なんか随分きわどいですね。

佐藤)だから、一週間に一日分アラブ人の雇用が確保されてるわけです。給料も非常に良いですしね。だから決してアラブ人とユダヤ人はいつも喧嘩してるわけじゃないのですよ。で、テロの関係で一昔前と比べるとパレスチナ人の数は減りました。その分例えば、昔は作業現場なんか行くとほとんどパレスチナ人でしたが、いまその分中国人です。それからベビーシッター、昔はパレスチナ人だったんですけど今はほとんどフィリピン人です。そういう変化はありますが、キリスト教徒のアラブ人とは基本、ユダヤ人たちと仲良くやってるんです。

高嶋)じゃあ外見だけじゃ、この人は何の宗教なのかわかんない人がいっぱいる。

佐藤)全然わかんないです。

高嶋)じゃあうっかりしたことできませんね。

佐藤)うっかりしたことできないです。それだから、アラブ人だからということで拘束しちゃえっていうようなことで、もしキリスト教徒のイスラエルのアラブ人捕まえちゃうと大変なことになるので、この辺については非常にイスラエルは慎重です。それからパレスチナと元々仲悪いわけじゃ無い。かつてはアラファトさんともすごく仲良くやっていましたから。

高嶋)一時ありましたね、手打ちになったことが。

ハマース ハマス

ハマースのポスター。ハマースが拉致していたイスラエル兵ギルアド・シャリートの写真を戦闘員が手にしている(ハマース – Wikipediaより)

エルサレム首都宣言~日本に与える心配な影響

佐藤)問題はこのハマスです。イスラエルはパレスチナを認めてないわけじゃ無い。ところがこのハマスという人たちは「イスラエル人は存在したらいけない、ユダヤ人は消し去る」ということが目的ですから、これ対話以前の話ですよね。まず大前提として双方認め合うということが必要なのですよ。

高嶋)そうか、じゃあうんと翻って考えれば、平和に暮らす要素もあるということですね。

佐藤)もちろんそれは可能です。だからそれから考えるとね、いまトランプさんはアメリカの内政上の理由で、「ちょっとロシアゲートがやばいなと、俺のコアな支持層の親イスラエルのキリスト教固めないと」という程度の思いでやったのですね。しかも1995年の10月に既にアメリカの議会がエルサレムが首都で大使館早く移せっていう法律をつくっちゃった。それを半年ずつ遅らせてるから「俺別に新しいことしたわけじゃないぜ、皆止めてたものを止めないだけの話だ」というくらいの調子なのですが、これで何起きるかわからない。しかも日本として怖いのは、いまアメリカは中東と、二正面作戦できないから、北朝鮮でアメリカが譲歩する可能性出てきます。これが我々にとってすごく心配なことです。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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